頑固爺の言いたい放題

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安倍内閣の支持率

2015-08-16 09:59:15 | メモ帳

安倍内閣の支持率が落ち込んでいる。憲法学者がこぞって「集団的自衛権の容認は違憲」との見解を表明したことが大きく響いたと思われる。

私は、「安倍首相には言いたくても言えないことがあるために、集団的自衛権の限定容認に関する説明が歯切れ悪くなり、国民の共感を得られない」と推測している。

その言えないこととは

(1)  米国が世界の警察官の役割を放棄した。これによって、日本の有事の際にも、米国がどこまで本気になって助けてくれるか疑問がでてきた。しかし、これはあくまで懸念であって、安倍首相としては口にするわけにはいかない。

(2)  「米国は日本を助けるが、日本は憲法によって米国を助けることはできない」という現在の変則的軍事同盟では、米国政府としては国民(具体的には米軍兵士)を納得させることが難しくなった。そこで、米国はせめて集団的自衛権の限定容認に踏み切るよう日本に要請しているのだろう。安倍首相の立場から見れば、日米軍事同盟のタガが緩んでいるので、これを引き締める意味でも、集団的自衛権の限定容認を議会で可決したいということになる。しかし、これを正直に言うわけにはいかない。

(3) 米国の弱腰を見透かすかのように、 中国は南シナ海でやりたい放題。東シナ海でも日本との境界線のすぐそばで堂々とガス田を採掘し始めて、その拠点が軍事目的に使われる懸念がある。安倍首相としては、憲法解釈を変更する理由として中国の脅威を強調したいところだが、安保法制と中国をあからさまに結びつけると、中国から抗議されるから言えない。

日本はこれまで国連憲章で保持を認められている集団的自衛権を行使しないことにしてきたが、(1)(2)(3)のごとく国際状勢が変化したので、今後は限定的に行使できるようにしたいというのが安倍政権の立場である(こんなことは私ごとき素人が言わずとも、わかっている人はわかっているはずだ)。安倍首相としては「言えないけど、わかって頂戴」ということだろう。

なお、国際法は国内法に優先するから、集団的自衛権の限定容認が合憲か違憲かという議論は意味をなさない。

念のために、集団的自衛権が国連憲章第51条でどのように記述しているか確認しておこう。

国連憲章 51

この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない

Charter of the United Nations, Article 51

Nothing in the present Charter shall impair the inherent right of individual or collective self-defence if an armed attack occurs against a Member of the United Nations, until the Security Council has taken measures necessary to maintain international peace and security.