Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

477人参加のZoom

2020-08-22 | Weblog
477人参加のZoom。
いや、今時のZoom、ウェビナーは、もっと多くの人が参加しているものがいくらでもあるのはわかる。だが、私が参加したのでは最多数だ。

演劇緊急支援舞台芸術ネットワークによる「文化芸術活動の継続支援補助金勉強会 〜誰が申請できるのか、どう申請すれば良いか〜」。

現状は、なぜこうなったか、こうなってしまったか、考えるべきだという切実な思い、そのことと併行して、なんとか生き延びるために自分自身のことも考える、そうするしかない、多くの人たちはそういうスタンスだろう。

個人的には、野田秀樹さんがわざとボケ役を演じていて笑える。
他のパネラーの人達も、初めてこのことに触れる人達のために、最善の物言いを模索している。

PCR検査の話題がもっとでるかと思ったが、そうではなかった。

感想はいろいろにあるが、ともあれ、歴史と自然の猛威を前に、人間は人間で、なんとかしようとはしているのだ。
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特殊な観客として観る、『消えなさいローラ』

2020-08-22 | Weblog
下北沢・本多劇場で、別役実作『消えなさいローラ』上演中。
演出:渡辺えり 出演:渡辺えり・尾上松也

テネシー・ウィリアムズ『ガラスの動物園』の変奏曲と言うべき、二人芝居。
どのくらい前だったか私は覚えていないのだけれど、この戯曲、松本修さんが演出、渡辺えりさんがローラ、私が相手役を演じるということで、上演企画が立ち上がったことがありました。えりさんがご自分で発言されているので秘密にすることでもないのでしょう。
なので私はかなり特殊な観客です。自分なりに読み込んでいるので、思うところ多々ですが、とにかく目の前で『消えなさいローラ』が上演されていること自体が嬉しい。他の観客以上に楽しんでいたかもしれません。

今回のコロナ禍下で、渡辺えりさんが急遽上演を決められたということです。
相手役は、テレビドラマ『半沢直樹』で人気急上昇中の尾上松也さん。

20年以上、上演されていなかったということです。
別役さんのロマンチシズム、残酷さ、そして、さまよえる魂に対する惜しみない愛情が、ひしひしと伝わってくる作品です。
本22日は、まだチケットがあるそうです。
オンライン配信もあります。

8月23日まで、下北沢・本多劇場
※オンライン配信 https://eplus.jp/sf/detail/3304540001-P0030001
http://office300.co.jp/


……上演後、またぜんぜん別の、ある企画の話し合いに参加。
コロナ禍下だけど、みんな、転んでもただでは起きないのだな、と、思う、下北沢の夜でした。
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『誰がための放影研』

2020-08-22 | Weblog
確かに「貴重な」資料なのだろう。被爆者たちの血液と尿が保存されている。
原爆投下が「人体実験」だったことがよくわかる。

放射線影響研究所、「放影研」。
前身は、原爆傷害調査委員会、ABCC。
最初、被爆者たちは「被曝治療を受けられる専門的な場所が出来た」と誤解した、という。
アメリカは、この仕事について、今も手を引いていない。

ABCCを憎んでいた人達が、今、気持ちに変化があり、かつて行っていた解剖=これ以上遺体を切り刻むのはお断りだが、多くの人達が亡くなった事実を無駄にするな、という気持ちになっているというあたりで、あまりの事態の複雑さに茫然とする。
今を生きる者なら、戦争のためではなく、戦争をなくすために役立てる、と言う、勇気はないのか。

『誰がための放影研』。フジテレビ系、深夜の放映だったが、貴重な番組。
『はだしのゲン』を入れているところが、いい。もっと入れてほしい。
まあそれは、私が、『はだしのゲン』を映画で見たいと思っている、ということなのだろう。

これは、撮り足して、映画にすべき。難しいけど、やりがいがあるはず。
かつて、『標的の村』『クワイ河に虹をかけた男』を映画にすべき、と、背中を押した私が、声を大にして言いたい。

同じテレビ画像で、Amazon primeの宣伝で、三浦・松本の姿を見る不愉快について、言わないようにしてきたが、いやなものはいやだ。運動をする気はないけど、あの宣伝を流している間は絶対に Amazon primeの会員にはならない。
テレビというメディアの中で、それとは、対極の、誠実。


かつてABCCと呼ばれ、被爆者に忌み嫌われた研究機関「放射線影響研究所」。何のために存在したのか。これまでの歩みを振り返り、今後のあり方を考える。

広島市内を一望する小さな山の上にある放射線影響研究所、通称「放影研」。放射線が人体に及ぼす影響などを調査する研究機関だ。その事業費は日米両政府で折半されていて、日本は厚生労働省、アメリカは核開発などを行うエネルギー省の所管となっている。被爆者の平均年齢が82歳を超える現在、放影研がたどってきた歴史を知る人は少なくなっている。その前身はアメリカが1947年に設立した原爆傷害調査委員会。略称の「ABCC」と呼ばれてきた。アメリカは原爆を実戦で使用する以前から、放射線が人の身体に影響を与えることを把握。そして広島・長崎に原爆を投下後、長期的な影響調査を行うため設けたのがABCCだった。ここでは、被爆者の検診や遺体の病理解剖が行われ、膨大な数の血液や尿のサンプルが収集された。しかし、被爆者が望んだ“治療”は行われなかった。戦勝国が敗戦国を調査すること、それは被爆者を「科学の目」で見ることであり、被爆者をいわば「モルモット」として扱ったことはヒロシマの人々に大きな怒りと悲しみを与えることになった。番組では、ABCCの検査によって心に深い傷を負った被爆者の証言や、放影研で働く研究員、放影研の最高意思決定機関の議長を取材。放影研は誰のために、何のために存在したのか。被爆者を70年以上見つめてきたこの研究機関の過去から現在までの歩みを振り返るとともに、これからのあり方について考える。
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連載が始まったんですけど

2020-08-21 | Weblog
連載が始まったんですけど



こっぱずかしいので

見たい方だけ 御覧になってください

至らぬ点などご指摘ください

明日に向けて精進します


写真は、チェーホフ像と私。ヤルタ。
連載のプロフィール用。


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ほんとうはこわい、『受付』

2020-08-19 | Weblog
〈別役実メモリアル〉『受付』、公開稽古、開幕。

『受付』は別役実氏が自己ベストスリーの一つに入れた戯曲。

きのう、ゲネプロを見せてもらって、この戯曲の持つ、ほんとうのダークサイドが、ひしひしと伝わってきた。
喜劇仕立てだが、こわいのである。
どこがこわいかというのは、内緒である。

キーワードは、リベンジ。
誰が誰に、どんなリベンジをするのかは、観て、感じて、ください。


演出 大江祥彦
出演 猪熊恒和、鬼頭典子

8月21日まで、梅ヶ丘BOX。
開演は、15時と19時。

お問い合わせは、☎03-6427-3847(11〜17時)、メールは、uketuke@orega.net
だそうです。






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第26回 劇作家協会新人戯曲賞 一次審査通過作発表

2020-08-19 | Weblog
第26回 劇作家協会新人戯曲賞 一次審査通過作
一応ブログにも載せておきます。
発表されました。応募総数は242本、うち46作品が通過です。
最終候補作は9月下旬〜10月上旬に発表の予定です。

写真は、関係ないけどチェーホフさんのヤルタの家。


<一次審査通過作 (応募戯曲到着順)>

・『共骨』松澤くれは (東京都)
・『気楽に笑っていただきます』津島次温 (京都府)
・『生まれたくて生まれたわけじゃない』沼畑真 (福井県)
・『キラメク!』有吉朝子 (東京都)
・『あの少女の隣に』くるみざわしん (大阪府)
・『山家の猿』泉湧々 (兵庫県)
・『二つになる』山田志穂 (福井県)
・『からっぽ』井上明紀 (大阪府)
・『signifié 知覚/思考の放射の果てに』岡田祥吾 (東京都)
・『サカシマ』斜田章大 (愛知県)
・『カプティウス』下平慶祐 (東京都)
・『秘密結社シャンディ』青柳憲司 (山梨県)
・『そこを、もっと、深く掘れ』小粥幸弘 (静岡県)
・『クロップドケーキ 』井川いずみ (東京都)
・『時空の鈴』ナガイヒデミ (京都府)
・『水曜日の男』藤原達郎 (福岡県)
・『散り散り星』吉田のゆり (東京都)
・『鬼より怖い』西本浩明 (石川県)
・『王は自ら城門を開き見下ろす高台から身を投げる』ガラ林 (東京都)
・『椅子は椅子』ビト (奈良県)
・『片道しか見えない』古川真央 (東京都)
・『9階裏ののぞきあな』島ハンス (東京都)
・『深夜の狂宴(七場)』中西義明 (奈良県)
・『方舟と葬列』生方友里恵 (京都府)
・『春の遺伝子』河合穂高 (岡山県)
・『馬留徳三郎の一週間』髙山さなえ (長野県)
・『ミカンの花が咲く頃に』釘本光 (東京都)
・『忘れ果てて』青木文太朗 (東京都)
・『宙が転覆する』二見遼 (神奈川県)
・『いびしない愛』竹田モモコ (大阪府)
・『鮭なら死んでるひよこたち』守安久二子 (岡山県)
・『半ライスのタテマエ』四方田直樹 (茨城県)
・『ひがのぼる』土肥遼馬 (東京都)
・『剥離』タキ・ワリク (東京都)
・『(一)変容する日々 (二)燃料用ガスがあたえられたとせよ』泉晟 (広島県)
・『ハイ、バイバイ』越智良知 (東京都)
・『たぶん、明日も』植田望裕 (東京都)
・『あなたの夢の中でだけ』土橋淳志 (大阪府)
・『すばらしきベースボール世界』森田諒一 (千葉県)
・『液晶線にのって』川津望+月読彦 (東京都)
・『メロスを待つセリヌンティウス』大塩哲史 (埼玉県)
・『脱兎を追う』長堀博士 (埼玉県)
・『劇団ちりぢりは令和を認めない』藤原瑞基 (岩手県)
・『ホワイトライン』山田眞子 (広島県)
・『虚空』太田衣緒 (東京都)
・『ワン ノート マーチ』西脇秀之 (北海道)

<一次審査員>
赤澤ムック 大田雄史 刈馬カオス 工藤千夏 黒川陽子 杉浦久幸 角ひろみ 象 千誠 髙橋 恵 高谷信之 嶽本あゆ美 ナカヤマカズコ 原田ゆう 平塚直隆 ピンク地底人3号 南出謙吾 三好ほたて 芳﨑洋子

⇒ http://www.jpwa.org/main/activity/drama-award/prize

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ほんとのところはどうなんだ

2020-08-16 | Weblog
タコスはメキシコのもの
タコライスは沖縄のもの

私はそう信じてきた。
しかし、これはなんだ。

メキシカン タコライス

タコスはメキシコのものだから何をどうしようがメキシコだ

なのか

タコライスは沖縄のものになりすぎているから、ほんらいのメキシカンな味付けにして、どこからうまれた者なのかを思い知らせてやるぜ

なのか

まさか

メキシコ的味付けの 蛸めし ではあるまい


とにかく、
「国籍争い」は、しないでね。

まあ、要は、本当においしい「タコライス」「メキシカンタコライス」両方を食べたいということかもしれない



※「名古屋名物台湾ラーメン」の即席麺(工場は札幌と表示)を新潟の宿で食べた時の無国籍感も忘れがたいが……




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「飛行機の“前後の席”感染者はマスクをしていたのかどうか

2020-08-16 | Weblog
国内感染者が減少しない日々が続いているが、昨日、「飛行機の“前後の席”で感染」という報道があった。
飛行機内で、前後の席に座っていた人どうしが感染した例があった、ということだ。

今月3日、新千歳空港発成田空港着の便で、飛行時間は、およそ1時間40分。
40代の男性が、前に座っていた20代の男性警察官の感染が確認されたことから、濃厚接触者として検査を受け、感染が判明したという。2人に面識はなく、会話もしていなかった。

これについては、この二人がマスクをしていたかどうか、ということが重要だと思う。

現在、飛行機の搭乗に際しては、チェックインカウンターエリアから飛行機を降りるまでの間、マスクの着用は、必須のはずである。

ところが、ソーシャル・ディスタンスを確保するために隣の席が空いていたら、自分の隣席には誰もいない、ということで、油断して、一人が、あるいは二人ともが、マスクを外していたかもしれない。
外しっぱなしだと、飛行機の座席はそれなりに小さいし、エアロゾルとしての移動の末に付着していたら、互いに感染の恐れはあるかもしれない。
まんがいちマスクを外したさいにウイルスの飛沫が本人の身体等に付着し、座席の移動中などに、それがうつって感染した可能性もある。

機内は高性能空気フィルターも備わっていて換気はある程度出来ているはずだ。同方向を向いてマスクをしたままであれば、乗客どうしの感染の可能性は少ないはずだ。

両者ともマスクをしていたかどうか、そこが重要な判断材料となる。

それでも感染したのであれば、エアロゾルの危険性について、私たちは厳密に知らなければならないし、マスクへの信頼性も、もう一度検証しなければならない。
「当然マスクをしていた」ということなら、そうなる。

このような報道では、そこをはっきりと記載してほしいと思う。

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過去形ではなく

2020-08-15 | Weblog
安倍首相が「追悼式」で何か戦争と平和について語ったらしいが、専守防衛の原則を破り「敵基地攻撃能力の保有」を画策する者が何を言おうと、空疎でしかない。
コロナ禍で「軍事どころではない」という空気が広がるほうが自然なはずではないか。
なんと現実離れしているのだろう。

今年三月、タイの劇作家ニコン・セタン作『安らかな眠りを、あなたに YASUKUNI』をタイの人達と一緒に上演した。
靖国神社に行かず死後の世界をさまよう日本兵の亡霊を描く作品だった。
過去形ではなく、今、思うことが大切だと、あらためて感じた。


愚かな大臣が今日「靖国参拝を外交問題にしないでほしい」と言ったらしい。
A級戦犯を合祀することの意味がよくわかっていないのだろう。


写真は、SHOGO TANIKAWA(ショー)、荻野貴継
撮影・姫田蘭

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山椒粒で何を作れば

2020-08-14 | Weblog
気まぐれに旬の時期、山椒の実を塩茹で下拵えし、冷凍備蓄してある。
一年かけて食べればいいらしい。
多方面から聞こえるのは、「佃煮」「ちりめん山椒を作ればいい」ということではあったが、なかなかそういう気にならない。

山椒の実は目にいいというのは俗説だろうか。最近目がしょぼつくので、食べてみようと思った。
夏に食べるのがさっぱりとしていいような気もする。
とはいえ山椒粒で何を作ればいいのかよくわからないままにいたが、一昨日夜、発作的に豚の山椒焼きを作り、あっという間に食べてしまった。写真で山椒の粒の大きさを見ていただければわかるが、小皿である。

山椒粉は鰻に必須だし経堂のやきとん店「K」ではシロのタレ焼きにかけるが、山椒粒は、どのように食べるのがいいのだろうか。

どこかで「山椒ラーメン」というものを食べたことがあるが、あれはスープに溶かしてあったのか。どう溶かせばいいのか。
キュウリの和え物とかに入れる手もあるのか。
麻婆豆腐でも作るときに入れればいいのか。その時は粒を潰すのかな。やはり中華料理の花椒は山椒とは違うのだろう。

山椒粒はまだたくさんある。
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招かれざる客

2020-08-14 | Weblog
近所のケーキ屋の喫茶コーナーにはテープルが3組あって、その端の席が私の常席であった。
コンセントがあって、挿せるからである。
ノートパソコンを持ち込めるのである。
ところが、ケーキ屋は廃業した。
閉店ガレージセールで私はコップとナイフを買わせてもらった。

そして、同じ場所で、別な店が始まった。

ケーキ屋ではなくなった。
カフェである。
テープルや椅子も変わった。
でも、いつもの席に着いた。

ところが。
コンセントが、蓋に覆われていた。
十年以上前、近所のガストが改装して私の常席のコンセントにガムテープが貼られていたことがあるが、それ以来のことである。
残念なことだ。

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独自の科学的知見があるなら、とっくにそれに基づいて行動しているべきだろう

2020-08-12 | Weblog
「国は難癖をつけている」と被爆者側が思うのは、当然。
高野正明原告団長(82)の怒りは正当なものだ。

いわゆる「黒い雨」訴訟。
75年前、広島市への原爆投下直後に降った放射性物質を含んだ「黒い雨」を浴びた方々への救済を、国が、拒んだ。
国の援護対象区域外にいた原告84人全員(死亡者含む)を広島地裁は、被爆者と認め、被爆者健康手帳の交付を命じた。
それを、国が控訴した。
きちんと原告全員を被爆者と認めた司法判断を、国家権力が、差し戻したのだ。

今回の裁判で被告となった広島市と県がもとめた、控訴の断念と被害者を幅広く救済する「政治決断」を国が認めなかった。
広島市長は、この結果について、謝った。異例のことではないか。

加藤勝信厚生労働相は控訴理由について「十分な科学的知見に基づいたとは言えない判決だ」と述べた。 

一方、援護対象区域については「地域拡大も視野に入れ、検証を進めたい」と表明。厚労省は検証に向け、専門家を含めた組織を立ち上げる方針で、区域拡大に向けた議論も行われる見通しとなった、そうだ。
安倍総理は「本日、上訴審の判断を仰ぐことといたしました。同時に広島県、広島市のご要望も踏まえまして、厚生労働省において黒い雨地域の拡大も視野に入れ、検証することと致しました」と言った。

ということは、まだ厚生労働省は黒い雨地域について、きちんと検証しきれていないということだ。
有識者をメンバーとする検証組織は「これから作る」のだそうだ。
なのに「科学的な知見に基づいたとは言えない」と決めつけている。

厚労省幹部は「広島地裁判決は長崎の裁判と違い、対象者それぞれについて吟味した形跡がない。科学的根拠も示されておらず、次々と手を挙げる人が現れれば裁判を繰り返すことになる」と説明。 
「控訴はしつつ、区域拡大などで実質的に救えるような方法を取るしかない」と与党幹部が語ったという。

気象台の技師らによる終戦直後の聞き取り調査をもとに国が1976年に定めた線引きがある。
中国新聞等によれば、地裁判決はそれを詳細に分析した上で「被爆直後の混乱期に限られた人手で実施された」「調査範囲やデータには限界がある」などと判決で明確に妥当性を否定している。
気象台の調査以降にも、科学的な調査は2度行われているという。いずれも「国の区域より4~6倍ほど広い範囲で黒い雨が降った」との結論が出ているという。
判決が国の線引きの妥当性を否定したのは、その後の二つの線引きとの客観的比較に基づいているのだ。
国の側こそ、その後の調査もなく、根拠なく、何の取り組みもしないできたのに、自らの線引きに固執している。
区域外で黒い雨にさらされたことと健康被害に因果関係がないと言いつのるなら、その根拠を示す責任は国の側にある。

原告や弁護団が記者会見で言うように、原告らが原爆の影響で健康を害したのは明らかだ。長い時間をかけて、それが裁判で認められたのだ。
原告88人のうち4年の間に16人がこの世を去っている。
最高齢の原告は96歳(被爆時21歳)、最年少は75歳(同生後4カ月)という。

誰の目にも明らかだろう。
誤った「政治的な判断」である。
この国は、誤った「政治的な判断」を、とことん繰り返してきた。
そして、ここまでシンプルな案件で、何一つ正当性が認められない悪質な「政治的な判断」を認めてしまうようでは、他の、進行形の、微妙な問題に対する政府の対応を、覆せるはずがない。

これまでも、許すのか。
この国に民主主義はないという現実。
マスコミも、政党も、然るべき対応を継続しなければ、存在価値がない。
当然、国民にも責任がある。
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坂川栄治さん急逝

2020-08-12 | Weblog
坂川栄治さんの急逝を知る。
ただ、亡くなられたのはもう一週間も前だという。

坂川さんは装丁家であり、雑誌『SWITCH』なども手掛けたアート・ディレクター。最近、長野は小淵沢の自然の中で活動されていて、ネット上で知る限り、お元気そうだと思っていたのだが⋯⋯。
コロナがなけりゃ、小淵沢に訪ねて行きたかった⋯⋯。


『TUGUMI』『ソフィーの世界』等、彼の手による装丁本は6000を超えるという。

彩流社から出している私の戯曲集シリーズも彼の手によるもので、これまで五冊が出ている。
最初の『バートルビーズ/たった一人の戦争』のときは、度肝を抜かれた。

色が好きなのは、第2巻『星の息子/推進派』。

ここに、以下のように書きました。

ワイルドです。素敵です。坂川栄治さん直筆のタイトル文字。大胆な、というより、迷いのない、色使い。
タランティーノがわざとB級映画を作ったみたいな勢いのあるテイストでもあるし、同時にヨーロッパ的に整然と完璧なバランスで作られているのも、間違いない。
坂川さんの「本の顔」(そういう題名の「ブックデザインの教科書」的な本を出版されています)による分類では、「文字で装う」部門の「書き文字」ジャンル。そしてどうやら確信を持って「こんな派手な」カテゴリーにポジショニング、のようです。 
きっと書店の皆さんは、平積みせずにはいられない! と、思います。

この本も、きれいです。『くじらと見た夢 / 南洋くじら部隊』。

『神々の国の首都/漱石とヘルン』は、ほんとうに、しぶい。

『8分間  / ゴンドララドンゴ 』も、きれいです。


また違う仕事をしたかったのに。

残念です。

でもご一緒できたことは、本当に幸せでした。




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海の繋がり

2020-08-12 | Weblog
東京都民はよそに行くなと言われて久しく、夏の海など夢のまた夢。

七年前、ヤルタに行ったとき、堤防沿いの猫の額ほどのビーチで、人々が涙ぐましい海水浴をしていたのを思い出す。(写真)
この年、チェーホフ・フェスティバルのオープニング作品として招かれ、『屋根裏』を上演したのだ。

ヤルタはクリミア半島南端で、海は黒海である。
ロシア人にとっては屈指の保養地として知られている。
レーニンはこの地を労働者のための療養の地へと作り変えようとした。
ヤルタ会談のヤルタである。会議場となったリヴァディア宮殿にも行った。
庶民的な市場も素敵で、私は滞在中、毎日行っていた。
この当時は、この地はぎりきりまだウクライナだった。

トルストイもチェーホフもヤルタで夏を過ごした。
チェーホフはここで『三人姉妹』『桜の園』を書いた。彼の住居と日本庭園は今も残っている。この地は「犬を連れた奥さん」の舞台でもある。
ひょんなことで昨夜遅くにチェーホフの家のことで当時の写真をひっくり返していて、あの芋を洗うようなビーチのことを思いだしたのである。

なぜ人は海に憧れるのだろうか。
島国の人間でさえそうなのだから、内陸で育った者たちが海を夢見るのもわかる。

アメリカはでっかい田舎である。その内陸で育った海を知らない若者たちが兵士として沖縄に配属され、海に興奮して舞い上がるのだ、という話も聞いたことがある。

ガルシア・マルケス『エレンディラ』を蜷川幸雄演出で上演するため戯曲化したとき、「エレンディラは海を見たことがなかった」というフレーズが、キーワードの一つだった。作曲のマイケル・ナイマンも、そのことを理解してくれていた。このときタイトルロールを演じた美波が、ジョニー・ディップがユージン・スミスを演じる水俣の映画で妻のアイリーンを演じるというのが、個人的には、海の因縁というか、不思議な円環である。
『エレンディラ』のラストで、ヒロインは海を跳ぶのである。


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周庭さん、保釈

2020-08-12 | Weblog
毎日新聞によれば、
香港警察に逮捕された民主活動家の周庭(英語名アグネス・チョウ)氏(23)が11日深夜、保釈されたという。黄之鋒(同ジョシュア・ウォン)氏(23)らが出迎えた。
周庭氏は保釈後、「政治的な目的による摘発でばかげている」と当局の対応を批判したそうだ。
香港では逮捕から2日以内に保釈される例が比較的多いそうだ。

とりあえず、よかった、と言っていいのか。
これからどういう展開が待っているのか。

世界が見ている、というのは、本当だ。
良い変化を期待するのも、当然だ。

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