黒柴ひめちゃんの葛塚村だよりⅢ

葛塚城堀之内に住んでます。毎日歩いているひめちゃんとおかあさんの見て歩きです。時には遠くにも出かけます。

養命の城夜討ちの事、付けたり、敵味方討ち死にの事

2024-11-19 17:32:24 | 桐生老談記の世界

寒い寒い朝です。

赤城山は、うっすらと初冠雪です

 

2019年の12月は、名胡桃城や小川城などの北毛を探訪していたようです。

この頃の、寒さにもめげずにお散歩したひめちゃんと獅子丸です。

本日のひめちゃんとタバサねーちゃんは、午前中赤堀の「小菊の里」に行ってきて、昼間はお外のサークルで過ごしました。

床暖マットを2枚にしました。

あまりの寒さにシニア・ハイシニアの姉妹は早めに夕方のお散歩を済ませて、早々と室内犬です

 

 



養命の城夜討ちの事、付けたり、敵味方討ち死にの事

去る程に、里見兄弟は手合わせの合戦に打ち勝つというとも、大勢にかこまれ、千に一つも勝つべき様なし。

この上は逆さ寄せにして敵陣を押し切り、思いのままに働き、討ち死にをして名を末代に留めんと、百騎の勢を三手に分け、唯一っさんに押し寄せる威勢の程こそいさましけれ。

頃は九月十七日、夜に入手、養命の城に押し寄せ、三方の責め口より打ち破り、時を作って込めいれば、大いに驚きあわてさわいで、勢の疲れたる武者なれば、同士討ちする人多かりける。

藤生、金谷は早鐘をつかせ、夜討ちあるぞ、たいまつを出せと呼ばわり下知なせば、味方もこれに力を得て、半時ばかり戦いけり。

寄せ手は無勢の事なれば、終には城を追い出し、暫く息ぞつぎにけり。

さて俄(にわか)のことなれば、手負い、死人おびただしく、引田善八、渥美又兵衛、嶋田文五郎、藤沼源右衛門、板橋竜右衛門、稲垣源次郎、薗田彦六、木村縫殿之介、大沢丑之介、此れ等を始めとして、両家の軍勢八十三人、里見兄弟の為に討ち死にしたりけり。



あらすじです。

高津戸城では、由良の軍勢を撃退しました。
けれども、状況は千に一つも勝てそうにありません。
このうえは逆に敵陣に押しかけ、思う存分奮戦して、名を末代に残そうと、百騎を三つに分けて養命の城に押し寄せました。
その様子は本当にいさましいものでした。
9月17日の夜、養命の城に押し寄せ、三方の攻め口を破って鬨の声を上げながら、攻め入りました。
中の人々は、驚いて大混乱になり、みんな疲れていたので、同士討ちをする人々が多かったのです。
大将の藤生・金谷は早鐘をつかせ「夜討ちだ、たいまつを出せ。」と大声で指示したので、味方は力を得て、半時ばかり戦いました。
寄せ手は少数だったので、ついには城から追い出し、ようやく一息つきました。
急なことだったので、けが人や死人がたくさん出ました。
引田善八、渥美又兵衛、嶋田文五郎、藤沼源右衛門、板橋竜右衛門、稲垣源次郎、薗田彦六、木村縫殿之介、大沢丑之介、これらを始めとして、両家(桐生・新田)の軍勢82人が里見兄弟の為に討ち死したのです。



「討ち死にをして名を末代に留めん」とは、戦国時代の武士の価値観ではありませんね
一所懸命、所領を確保するために、みんな戦ったのです
それに、相手は桐生と新田からやってきた由良の軍勢です

確か父の敵は石原石見(いしはらいわみ)でした。
石見は養命の城に住んでましたけど、里見兄弟が討ち入ったときは足利に逃げ去っていました
どうして石原石見の所に押しかけないのでしょう?
高津戸から足利まではさほどの距離ではありません。

何か不自然な結末を迎えようとしています

兄弟の父は甲州の人で、武田信玄に領地を取られ浪人して桐生にやって来ました
そして、仁田山の城を任されたのです
浪人が城主になるなんてことは、普通ではありえないことです


けれども、小川可遊斉(おがわかゆうさい)は、浪人から上州月夜野の小川城の城主になりました
なんとなく、里見兄弟の父・里見入道(里見パパ)のモデルのように感じます
2019年12月、月夜野の小川城に行ってきました

後家の英断?(月夜野小川城)



『桐生老談記』では、桐生親綱に愛想をつかして去って行く人々の中に、「上泉・小川」が出てきました
上泉は上泉伊勢守信綱、小川は小川可遊斉だと思われます
まあ、彼らが桐生親綱に仕えるはずはないのですけど
作者は、小川可遊斉を知っていたのです

 


( 養命の城夜討ちの事、付けたり、敵味方討ち死にの事   終  )

 

 

 

初稿  2019.12.17  FC2ブログ「黒柴ひめちゃんの葛塚村だより」

改稿  2024.11.19

 

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