10年近く前、逗子を拠点に鎌倉へ行ってきた。
その時の紀行と、詠んだ句一句、それに今日の投句一句。
逗子の駅前のドトールに入って、今日の行程の計画を練る。
取り合えず、法性寺を通り、名越の切通しを越えて鎌倉に出てみようと思った。
細い、車の疾駆する街道を法性寺へ向かう。
法性寺は猿畠山、日蓮宗の寺だ。
日蓮が松葉が谷で焼き討ちの難に遭ったとき、身延山の山神である猿が、日蓮を導いて、難を逃れたと言う。
街道から大変な坂道で難儀したにもかかわらず、山門からも、急な坂が続いている。
雨が降ったりやんだりする中、大汗を流して坂道を辿った。
法性寺の本堂は、坂道の尽きた、小高い頂にあった。
これは、ちょっとした山岳宗教だ。
本堂の向こうは墓地になっていた。
名越の切通しには、まだ坂道を登らなければらない。
墓地の外れの草に覆われた小道を探し出して、分け入って行く。
しかし、大変な山道だ。
枝がかぶさり、手で掻き分けながら、あえぎあえぎ登る。
深山に道を案内す秋の蝶 素閑
ここに来た目的の一つである、まんだら堂やぐらへ続く山腹は、固く鉄線が張られ、立ち入りができないようになっていた。
数十年前、ここを訪れたときには、法を説く老人が居て、この道筋には、法を聴聞し法華経に帰依するもののみが、やぐらに参詣できる、と書かれた看板が掲げられていた。
またも、まんだら堂を見逃し、がっかりして峠を越した。
ここから、道は急な下り坂。
山道を過ぎ、アスファルトの道になって、住宅街に入った。
鎌倉の市街を抜け、若宮大路に出た。
鳥居を抜けて、一応、八幡宮に形ばかりの参拝した。
紀行は取り敢えず今回はここまで。
今日の投句。
世過ぎにて嘆きもあらじ秋麗や 素閑