台風が来ている。
雨が落ち、風はまだないが、いずれ突風を伴うであろう。
しかし、今は静かに雨が降っている。
サマセット・モームの『雨』は、少し捉えるのが難しい小説だが、「世界」の裏側を見つめることができるという点では、絶好の作品だ。
得体の知れない宣教師、得体の知れない女、この二人が織りなすストーリー展開は、ある意味、息をも継がせない。
世界は、これから平和に向かうのか、全面戦争に向かうのかは分からないが、それが抱く「不条理性」は誰もが理解しておかなければならないことだろう。
鬼城忌の夜はしんしんと雨の落つ 素閑
影踏みの影ののびたり鬼城の忌 素閑