春山の季節である。
本格的な厳冬期の冬山を目指すためのトレーニングの山行。
しかし、トレーニングと言っても春山ならではの苦労と危険がある。
湿雪と底雪崩である。
春の雪山は、踏み跡がついていれば歩きやすいが、踏み跡のない、湿った重い雪をかき分けながら登るのは、厳冬期の雪山登山以上に難儀するものだ。
高山の谷沿いで雪崩の音を聞いているのは心地よい。
しかし、自分がまきこまれてはひとたまりもない。
春山が過ぎると、楽しい、ゴールデンウィークの太陽と残雪の山が待っている。
峪なべて雪崩のつくす立山や 素閑
大城の底から返す地のなだれ 素閑
やまびとも雪崩をしかとあかすなり 素閑
谷底も明るき月のなだれかな 素閑
里の朝子らのつどふに遠なだれ 素閑
底雪崩とどろき広がる空と雲 素閑
山小屋や高嶺の峠の雪崩かな 素閑
いずまひを正すに乱る遠なだれ 素閑