これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

どっちもどっち

2012年09月06日 20時54分43秒 | エッセイ
 ウォシュレットを買い替えたのは1年半前だ。
 センサーがついていて、人が近づくと「パカッ」とフタが開き、便座から立ち上がると6秒後に自動洗浄する。そして、1分半経つと自動でフタが閉まるものだから、「賢いなぁ」と感心していた。
 トイレ掃除は私の役目だ。お掃除シートでせっせとふき取り、ピカピカになるのが楽しい。自分なりに大事に使ってきたつもりだが、なぜか7月あたりから、自動でフタが開かなくなった。
 ドアを開けても「シーン」としたままで、まったく反応がない。リモコンの開くボタンを押しても、うんともすんとも言わず、実に気に入らない。イラついて、「このっ」とばかりに手でフタをこじ開け、便座に腰かけると、ようやく「ウィーン」という音を出して脱臭作業を始める。「あら、いたの?」と鈍くさく人を認識すると、やがて自動で水が流れ、勝手にフタが閉まる。
 大勢に影響はないけれど、これではフルに機能を使えず、出費額に見合わない。TOTOに電話をし、修理に来てもらった。
「では、ちょっと拝見いたします」
 サービスマンが、手馴れた様子でウォシュレットに近づく。中には、家人のときは動かないくせに、サービスマンが来ると途端に動き始める機械がある。根性の曲がったヤツと同じで、人を見るようだ。「特に異常は見受けられません」と判断され、サービスマンが帰るとまた動かなくなるのが腹立たしい。その点、このウォシュレットは公平だった。誰が来ようが、徹底的にシカトを決め込んでいた。
「開きませんね」
 サービスマンは、リモコンの電池残量をチェックしたあと本体を見て、すぐに原因を突き止めた。
「センサーです」
「はい」
「人がいることを認識するセンサーがあるんですが、錆びています」
 彼はグレーのセンサーを指差した。



「これを交換すれば直ります」
 彼がてきぱきとセンサーを換えた結果、無事にフタが開くようになった。
「センサーを長持ちさせるには、決してトイレ洗剤に触れないようにしてください。洗剤はアルカリ性をお勧めします」
 正義の味方のように、さっそうと、サービスマンが帰っていった。
 トイレ洗剤は、便器の内部にしか使っていないが、心当たりがある。

 お掃除シートがNGだったんじゃないかしら!?

 私はウォシュレットの取扱説明書を引っ張り出し、「お手入れ方法」という項目を再度読んでみた。
「洗剤を使わず、水ぶきしてください」
 私は目を剥いた。しまった、全然気づかなかった……。
 お掃除シートには、洗剤がたっぷり含まれている。これでゴシゴシこすれば、1年半で錆びても不思議はない。
 今まで、ウォシュレットが言うことを聞かないと決めつけていたが、取扱説明書を無視した私のせいだったようだ。


    ↑
クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (18)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする