これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

教員になろう

2014年03月30日 12時12分14秒 | エッセイ
 たまたま、卒業生のアヤカに連絡する用件があった。アヤカは2年前に教育実習しに来たが、本気で教員を目指している風でもなかったので、どうしているかと心配していた。
「今、バイトです。ちょうど繁忙期で休めません」
「…………」
 わざわざ奨学金を受けて大学に行ったのに、アルバイトとは。
 クラスの成績は、不動の1番だったので、かなりもったいない。

 初対面の人に、自分が教員であることを教えると、「俺もなりたかったな」と羨ましがる人がいる一方で、「大変ね」と同情する人もいる。教員とは、毎日のようにモンスターペアレントに悩まされ、反抗する子供たちに手を焼く仕事というイメージらしい。
 しかし、それは間違いだ。
 いわゆる、モンペと呼ばれる親たちはほんのひとにぎりで、ほとんどの家庭は学校に協力的だし、むしろ「厳しくしてほしい」と頼んでくる。家では、厳しくできないことの裏返しかもしれない。学校にもよるけれど、子供たちも、「勉強ができるようになりたい」「部活を頑張りたい」から、「人の役に立ちたい」「成長したい」などの目標を持っているので、普通にコミュニケーションをとっていれば、ちゃんと言うことを聞いてくれるものだ。
 もっとも、「子供と遊んでお金がもらえるなんていいね」と言われると、カチンとくるが……。
 私が、教員になってよかったと感じる最大の理由は、「子供の元気をもらえる」というところである。
 先日、球技大会があった。男子はバスケットボールにドッジボール、女子はバスケットボール、バレーボール、ドッジボールをやった。10代のパワーはすさまじく、大声をあげて5分や10分走り回っても、疲れるどころか楽しそうだ。敵とはぶつかり合い、味方とは力を合わせてボールをキープし、若さならではの躍動感が伝わってくる。これが40代、50代だったら、2分で息切れを起こし、捻挫や肉離れなどのケガ人続出となるに違いない。
 ボールが床に叩きつけられる音、飛び散る汗、応援のざわめき、ホイッスル、一斉に起きる拍手……。
 普通の会社勤めでは、まず見られない光景だ。教員には、見た目の若い人が多い。生徒が発散するエネルギーを吸収し、日々、若さをチャージできるのかもしれない。
 ちなみに、私のクラスでは、男子チームがドッジボールで上級生を破り、優勝した。



「イエーイ!!」
 パチリ。
 カップと賞状の前に並び、全員で記念撮影をした。 
 こんなことができるのも、教員ならではの特権である。

 そんなことを思い出しながら、アヤカとの話を続けた。
「バイトってことは、就職活動が上手くいかなかったの?」
「いえ、就活はしませんでした。教育実習のあと、本当に教員になりたいと思ったので、採用試験一本に絞って勉強したんです。不合格でしたが、また今年も受けます。バイトしながら勉強しています」
 胸が高鳴った。アヤカは、教育実習で教員の醍醐味を多少なりとも感じ取り、実現しようとしている。私が応援しなくてどうする。
「いいねえ! じゃあ、産休代替や講師の口があったら、紹介してもらえるように頼んでおくよ」
「はい! お願いします」
 
 この頃は、将来、何がしたいのかわからない若者が増えているとか。
 教員を、おすすめしますよ。


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コメント (12)
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