これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

くじ運アップ作戦

2014年05月08日 21時12分42秒 | エッセイ
 夫が近所のショッピングビルに行くという。ちょうど、私も買い物がしたかったので、一緒に車に乗せてもらうことにした。
「今日まで、福引きやってたよね」
 さすがは専業主夫。スーパーでせっせと買い物をして、福引券をためていたらしい。
 しかし、同じことを考える人間は多かったようで、駐車場はいっぱいだった。
「だめだ、停められない。この福引券あげるから、ママが代わりに引いてきてよ」
「えっ、アタシが!?」
 これは責任重大だ……。
 福引きには何十回も挑戦しているが、一度たりとも当たったためしがない。これに対して、夫はくじ運がよく、何等が当たったとか、何をもらったとか、繰り返し繰り返し聞かされている。福引きは11回できるようだが、まったく当たりそうな気がしない。
「全部ハズレかもしれないけど、文句言わないでよ」
「うん」
 バッグに抽選券をしまい込み、私はショッピングビルに入っていった。
 カランカランカラーン。
 ジャラジャラジャラ……。
 4階の福引会場から、景気のいい音が聞こえてきた。長蛇の列ができていたら顔をしかめるところだが、幸いにして空いている。最後尾につくと、すぐに順番がきた。
「7番にどうぞ」
 案内されて行ってみると、20代そこそこの若いお姉さんがにっこり笑いながら立っており、いい雰囲気だった。
「こんにちは。では、矢印の方向に11回、ゆっくり回してくださ~い」
「えい」
 ぐるっとひと回り。
 穴からポトリと落ちた玉は白かった。ハズレだ。
 2回目も、3回目も白。私は、白い玉しか見たことがない。
 だが、4回目は、赤い玉が飛び出してきた。
 私の目の玉も飛び出しそうだった。こんな色を見るのは初めてだ!
「あっ、4等ですよ!」
 お姉さんは、素早くベルを取り、左右に小刻みに振った。
 カランカランカラーン。
 続けて5回目を回すと、また白。一度当たったからいいやと思っていたら、6回目は黒い玉が落ちてきた。
「5等ですっ!」
 カランカランカラーン。
 お姉さんが、自分のことのように喜んでくれるので、こちらも気分がよかった。
 残りは全部白だったが、まさか2つも当たりが出るとは思わず、現実感がなかった。地面がやけに軟らかく感じられ、雲の上を歩くような足取りで帰った。
 家では夫が洗い物をして待っていた。
「ただいま」
「おかえり」
「福引きで、初めて当たった」
「へー」
 5等のアニマルスポンジ。



 4等の入浴用化粧品。



 高価なものではないが、実用的でありがたい。
 勢いで、宝くじでも買いに行けばよかったのかもしれないが、私はそうしなかった。
 おそらく、ツキは私にあったのではなく、夫の抽選券にくっついていたのだ。身のほどは、十分わきまえている。
 今度から、抽選券を手に入れたら、夫に持っていてもらおうっと。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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コメント (12)
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