京都に行って、ずいぶんと、なつかしい気持ちになった。
先日、私は仕事のついでに、バンゲリング帝国武装親衛隊に扮し、戒厳令下の京都を散策するという、ゆかいな観光……きわめて危険なミッションに挑んだ(→こちら)。
六波羅探題からの追手や、平安京にひそむエイリアンと戦うなど、チリのノーベル賞作家である、ガルシア=マルケス並な極秘任務であり、その模様は世界に大きな感動を呼んだ。
そこで、レポートをまとめるべく、京都で撮った写真を整理していると、メモリーカードの中から、昔の京都の写真が、あれこれ出てきたのである。
これが、やたらめったらなつかしくて、見ているうちに時を忘れてしまうことに。
ということで、今回はその中から、いくつか公開できそうなものを紹介してみたい。
まず、出てきたのがコレ。
書物を物色する友人。着ているのは144✕10のツーフェリッヒ乗分の1スケール「マイクロ・ブラックホール将棋」柄のシャツ。
学生時代の友人タカオカ君。
京都の立命館大学で哲学を勉強していたが、もともと大阪大学や神戸大学が第一志望という秀才。
残念ながら、運悪くそこに落ちてしまい、すべり止めで関関同立レベルにいた男である。
なもんで、めったやたらに優秀で、ほとんど「全優」の成績で卒業するだけでなく、話をしていても、その教養の深さに、おどろかされることしきり。
このときも、
「京都の名所を案内してよ」
と頼むと、「まずはここだよね」と、ジュンク堂書店河原町店に連れていかれ、本探しにつきあわされた。
メインは写真の通り岩波文庫で、まあこっちも好きだから、それはいいんだけど、絶対にここは「名所」ではない。
この後おいしいラーメン屋を教えてもらったが(店の場所は忘れた)、そこでも友は西田幾多郎とロラン・バルトについて延々と語り続け、「すごいなあ」と感心するやら、あきれるやら。
さすがは初対面で、
「休みの日とか、なにしてんの? 趣味とかある?」
との問いに、
「エントロピーの法則について考察することだね」
と答えた男だ。深みが違う。
そういえば、高校生のとき、入学して最初に仲良くなったマツイ君は、最初の授業の自己紹介で教壇に立って、
「ボクはサブカルチャー諸々をたしなみます。アニメ、プロレス、オカルト、などなど。『週刊プロレス』『宇宙船』『月刊ムー』など読んでいる人、友達になりましょう」
アニメにも、プロレスにも、オカルトにもうといが、放課後すぐさま、声をかけたのは言うまでもない。
後年、『涼宮ハルヒの憂鬱』を読んだとき、オープニングのシーンで、このときのこと思い出しちまったもんだ。
その後、彼とはミニコミや文芸同人誌を作って、
「梅田の喫茶店を拠点に、宇宙から電波攻撃を仕掛けてくるポレポレ星人と戦っている人」
などのインタビュー記事など作ったりしていたが、私の青春といえば、まあそんな感じである。
(清水寺編に続く→こちら)