フアランポーン駅が、移転することになったらしい。
ということで、前回(→こちら)はタイ旅行の際、バンコクで「フアランポーン駅」がトゥクトゥク乗りに通じず難儀した話をした。
「フアランポーン駅」の正式名称は「クルンテープ駅」だから、現地の人にはそっちで、なじんでいたせいかもしれない。
それで、一応は納得したわけだが(でも、よくはわからない。タイの人からの情報求む)、ここに改めて考えてみると、仮にそこで「クルンテープ駅」と言っても、果たして通用したのであろうか。
というのも、「クルンテープ」はタイの首都の名前(「バンコク」は外国人がつけた名前で「エベレスト」みたいなもん?)で、最近タイでは「通称」のバンコクでなく、こっちを外国人向けでも正式名称にするとかニュースになってたけど、これはまだ略称。
フルバージョンだと、
クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット
長いな、おい!
意味としては、ウィキペディアによると、
イン神(インドラ、帝釈天)がウィッサヌカム神(ヴィシュヴァカルマン神)に命じてお作りになった、神が権化としてお住みになる、多くの大宮殿を持ち、九宝のように楽しい王の都、最高・偉大な地、イン神の戦争のない平和な、イン神の不滅の宝石のような、天使の大都。
だから、長いっつーの!
とはいえ、なんぼわかりにくくても、それが正解なんだからしょうがない。
なので、私としてもあのとき、
「へい、にいちゃん、どこ行きます?」
「うん、用事があるから、クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット駅までやっとくれ」
「あいよ、クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット駅ッスね」
「そうそう。急いで頼むわ」
「でも、クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・(中略)サッカタッティヤウィサヌカムプラシット駅までは、混んでるやもしれまへんで」
「うーん、できれば昼前には、クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン(略)アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット駅に着きたいんやけど……」
「ちょっと大変ですなあ。でもクルンテープ(略)アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット駅はよく知ってるから、やってみましょ」
「頼むわね、クルンテープ・マハーナコーン(略)プラシット駅まで急いでくれたら、チップはずむから」
「そりゃ、うれしいですわ。そいじゃ飛ばしまっせ。ほい、着いた」
「早かったがな。ここがクルンテープ(略)プラシット駅か。……あれ? 駅がなんかの施設になってるで?」
「お客さん、名前が長すぎるから、読んでるうちにとっくに、バーンシーに移転しちまったみたいだよ!」
……とか、落語の『寿限無』みたいなことに、なった可能性もある。
なんでも、さすがのタイ人も「長いやろ」と感じるらしく、「クルンテープ」とふだんは呼んでるとか。
ただ、略称と言うのは「サンフランシスコ」を「フリスコ」とか、ベルリンの目抜き通り「クアヒュルステンダム」を「クーダム」とか言うのは、一部地元の人とか、すごく嫌がったりするからなあ。
「スリジャヤワルダナプラコッテ」が「コッテ」とかは、地元でどう思われてるんだろう。
もしかしたら、タイでも生粋のバンコクっ子は、
「おう、アッシは生まれたときからこの、クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシットに住んでるんでい! 【クルンテープ】なんてダサい呼び方、してほしくないね!」
なんて、粋がってるのかもしれない。んなわけないか。