海外旅行はダイエットにいい。
と始めてみると、
「えー、旅行中は、おいしいものがいっぱいあるから、むしろ太るんじゃないの?」
そんな疑問の声があがりそうだが、これがけっこう信憑性のある話なのである。
これは経験的にもそう感じるし、パックパッカー漫画のユニット「さいとう夫婦」として活躍する、さいとう克哉さんと小野まゆらさんのお二人も、伝説的旅マンガ『バックパッカー・パラダイス』の中で、明言されているのだ。
旅行中というのは、なんといっても、
「規則的な生活」
「適度な運動」
「バランスのいい食事」
「ストレスをためない日々」
という、減量にピッタリな生活を送ることが多い。
やたらとお金と手間をかけて、運動したり高いダイエット食品を買うくらいなら、それを貯めて観光旅行をした方が、楽しくやせれてコスパは最強。
最悪、やせなくても旅行自体は楽しいしネ。
さいとう夫婦なんて、世界一周から帰ったら、妻まゆらさんは10キロ。
夫克也さんなんて20キロもやせているんだから、ガチもガチ。
だれか、『旅でダイエット』『バックパッカー減量法』なんて本を書けばいいのに。
売れっ子の評論家である勝間和代さんは、
「がんばっていい本を書いても、結局売れるのは《モテ》《金》《ダイエット》《英会話》のコンプレックス産業だけ」
そう嘆いておられたらしいが、特にダイエット本なら「○○でやせるダイエット」の○○に
「ゆで卵」
「コアリズム」
「腹式呼吸」
「もりやすバンバンビガロ」
など、適当な単語を代入すれば一丁上がりという、ほとんど大喜利の世界なのだから、ぶっちゃけ粗製乱造されるのもむべなるかな。
これが売れるんなら、旅ダイエットなんて全然ありではないか。
『バッパラ』を出した『旅行人』はガラじゃないとして、主婦と生活社とか青春出版社から出せばいいのに。
ただ、このダイエットには、わりと致命的な欠点があり、
「日本では、ロングスパンで体重を落とせる旅が、できるほどの休暇を取れない」。
日本は国も企業も、人権やときには生産効率すら無視しても、それこそコロナウィルスが蔓延しようが満員電車に放りこむなど、
「意地でもサラリーマンをこき使いたい」
という強迫観念にかられてるから、こればっかりはいかんともしがたい。
欧米の「バカンス法」とまではいかなくても、せめて有給休暇を取るのが「非国民」と呼ばれなくなる時代にならないと、
「旅ダイエットで印税生活」
これは夢のまた夢であろうか。