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風のゆくえには~現実的な話をします 2 +おまけはBL

2017年03月10日 07時21分00秒 | 風のゆくえには~現実的な話をします


【有希視点】


2016年10月9日(日)


 たいして行きたくもない同級生の集まりに、二つ返事で「行く」と答えたのは、陽太の所属する少年野球チームの練習を見に行かない正当な理由が欲しかったからかもしれない。

 当番じゃない親は行かなくてもいいのだけれども、ほとんどの子の父親が、お父さんコーチをしているので、母親が来なくても父親は来ている。父親がいない陽太には、私しかいない。

 保護者の人達は、皆いい人ばかりで、うちが片親なことも理解して受け入れてくれているし、それについて何か言われたこともない。
 でも、やはり、その場に居づらい……と思う瞬間が度々ある、というのが正直なところで……

 そんな裏事情があって参加することになったバーベキュー大会。
 午前中からの雨で野球も中止になったので、バーベキューも中止になるかと思いきや、

『午後は晴れる!晴れ男渋谷様がいるから大丈夫!』
『つか、肉大量に仕入れちゃったから中止は無し! 屋根あるから大丈夫!』

と、やたらテンションの高い、幹事の溝部のラインメッセージが、今回のバーベキューのためのライングループの中に何件も入ってきて……

「…………うざっ」

 溝部、あいかわらずウザイ!
 思わず声に出してしまったら、なんだかおかしくて笑えてきた。

 私はこんなに変わったのに、全然変わらないでいる溝部。つられて私も変わる前の私に戻れそうな気がする。

 真っ直ぐ前だけを向いていた、あの頃の私に。


***



 今回のバーベキュー大会は、山崎君の結婚祝いと、私たちの母校・白浜高校を目指して頑張っている斉藤君の息子さんの激励会、ということで開かれたらしい。

 よってメンバーは、

 山崎君と山崎君の奥さんの菜美子ちゃん(なんと今日婚姻届けを提出してきたそうだ。そんな大切な日にバーベキューなんか来て良かったの?と聞いたら、山崎君は苦笑いしていた。あいかわらず、溝部は強引に山崎君を引っ張り回しているらしい)

 斉藤君とその奥さんと中3の息子さんと中1の娘さん。

 長谷川委員長とその奥さんの沙織(この2人は高校の同級生カップルだ)と小3の娘と年長の息子。

 小松ちゃんと、その旦那さん。

 私と陽太。

 渋谷君と桜井君(あ、この二人も高校の同級生カップルということになるな)。

 それから、幹事の溝部(あ、溝部だけ誰とも一緒じゃない……)

 総勢17人。でも、会場である溝部の家は、庭もすごく広くて、庭の端に大きな屋根もあるため(元々庭で畑をやっていて、収穫したものを一時的に置いておくためのスペースだったらしい)、降ったり止んだりしていた雨に影響されることもなかった。


 そして、バーベキュー自体も大変スムーズに行われた。
 6歳年上の小松ちゃんの旦那さんがいわゆる「バーベキュー奉行」で、全部仕切ってくれて、やたらと手際のいい桜井君が野菜を切るのとか全部やってくれて……

「今日は主婦休みの日だから、奥様方は何もしなくて結構です!」

 溝部が喜々として言って、自分も小松ちゃんの旦那さんの指示に従って、セコセコと働いている。
 溝部って昔から、発言力もあって仕切ることもできるのに、仕切れる人がいると全部そちらに任せられる度量の広さがある。場の雰囲気とかそこにおける自分の立場とか、そういうものに敏感なんだと思う。

「おれも主婦なんだけどなあ?」

 テキパキと野菜やキノコ類の用意をしながら桜井君がいうと、それを運ぶ溝部は軽く笑って、渋谷君をアゴで指した。

「じゃあ、渋谷にやらせろよ」
「それはダメ。使い慣れない包丁使って怪我したら困るから」

 桜井君、あいかわらず渋谷君を溺愛してるんだなあ。この二人も変わってない。

 斉藤君のうちの子供二人も思春期真っ只中だろうに、よくこんな父親の同級生の集まりなんて来てくれたな、と感心して奥さんに聞いてみたところ、

「長男は肉で、長女はイケメンで釣ったの」

 とのことだった。渋谷君のイケメンっぷりは、今時JCにも有効らしい。そしてJSにも有効らしく、沙織の娘も一緒になって頬を紅潮させながら渋谷君に話しかけている。今時の子は積極的だ。

 うちの小学校4年生の陽太といえば……

(あ、またゲームやってる……)

 みんなの輪から抜けて軒下の隅に腰かけて、一人携帯ゲーム機に向かっていた。
 こっちに着いたらしないでねって言ったのに……

「もう、陽………」
 声をかけようとしたところで、言葉を止めた。

(………溝部)
 あちこち動き回っていたはずの溝部が、いつの間に陽太の横にいた。何か話しかけている。でも、画面から目を離そうともしない陽太……態度悪すぎ。

(ああ、イライラする)
 ああいうところ、本当にイライラする。どうしてあの子はああなんだろう。家にいてもゲームばかり。こちらが話しかけても生返事で……

 ふっと周りに目をやり、余計に落ち込む。

 斉藤君の息子君は、斉藤君と小松ちゃんの旦那さんと三人で肉の話で盛り上がっていて、沙織の息子君は沙織にべったりくっつきながらも、菜美子ちゃんと何か話していて……。
 どうしてうちの子はああなんだろう。あんな風に冷めてて、すかしてて。私の育て方が悪かったといわれればそれまでで……でも……

「うわっお前すげーな!」
「!」

 溝部のあいかわらずの馬鹿でかい声にハッと我に返る。……何?

「お前強えなー。後で一緒にやってくれよー」
「………。何で?」
「欲しい素材があるんだけどオレ一人じゃ取るの無理でさー」
「………」
「で、こないだネットで全然知らない奴とやったら、オレ弱いからすぐ死んじゃってボロクソ言われてさ。もう二度と知らない奴とはやんねーって思って、そのまま取れてなくて」
「………。オレもボロクソいうよ?」
「直接ならいい。画面に「シネ」とか書かれると凹む」
「………。そんなことは言わないけど」
「じゃ、よろしくな! あ、そろそろ肉焼きあがりはじめるぞ?」
「………」

 陽太は画面と溝部と見比べてから、パタンとゲームを閉めると、溝部の後について立ち上がった。そのまま二人で何かゲームの話をしている。

(…………溝部)

 さすがだな、と思う。溝部って昔からそういう奴だった。クラスの輪に入れてない子に、それとなく声をかけたり……

(まあ、それでウザがられてたりもしてたけど)

 ふっと笑ってしまうと、すかさず溝部が突っ込んできた。

「今、笑ったか?」
「え」
「なんだよ、呆れてんのか? あーやだねえ、ゲームの面白さが分かんない奴はっ!」

 ゲーム? ああ、ゲームの話をしていることを笑ったと思ってるのか。

「いや……溝部、全然変わってないなって思って、ちょっとおかしくなっただけ」
「なんだそれは。オレが高校から成長してないとでも……」
「してないじゃん。ゲームしてるなんて子どもみたい」
「ばっかだなあお前!今やゲームに年齢の壁はないんだぞ! なあ?陽太!」

 ぽん、と肩をたたかれた陽太。さっとその手を払い除けると、高飛車に言ってのけた。

「陽太さん、だろ? オレの方がレベル高いし」
「なんだとー!みてろよすぐに追い抜いてやるー!」

 うりうりと頭を撫でられ、陽太はムッとした顔を作ろうとして失敗して、変な顔をして笑った。

(…………陽太)

 胸が詰まる……。こうして撫でてくれる男の人の大きな手を陽太から奪ったのは私だ。私がもう少し我慢すれば、もう少し見て見ぬふりを続けられたら、この子から父親の手を奪うことはなかったのに……


***

 これでもかというくらい、お肉を食べて、食後にケーキまで出てきて、その上、本当に上げ膳据え膳。

「天国だわあ」
 斉藤君の奥さんがビールを飲みながら呟いた。帰りは斉藤君が運転してくれるから飲めるらしい。斉藤君より5つ年上の奥さんは、頼りがいのある姉貴っていう雰囲気。斉藤君、尻に敷かれてる感じがする。

「溝部君っていい男だよね」
「…………は?」

 奥さんの言葉に耳を疑う。え、どこが?

「尽くす男って感じ」
「ああ……そう、ですね」

 確かに今日もみんなに尽くしてたか……

「子どもの扱いも上手いし」
「………え」

 奥さんの視線を追って庭に目をやると、陽太と溝部がキャッチボールをしようとしていて驚いた。さっきまで軒下でゲームをしていたのにいつの間に……。降ったりやんだりしている雨も今はあがっているようだ。

「おー、ナイスボール。いい球投げるじゃん、お前」
「当たり前っ」
「お!いいねー」

 陽太の生意気な口調も気にならないように、溝部は笑っている。

「良い父親になりそう」
「ああ……そう、です……かね……」

 奥さんの言葉にうーん、と唸ってしまう。

(良い父親……良い父親ってどういう人のことを言うんだろう……)

 陽太にとって、父親は、何でも買ってくれて、甘やかしてくれる人、という認識だろう。元夫は、自分の気が向いたときだけ、陽太のことを猫可愛がりする人だった。

 でも、本当にしてほしいこと……例えばこんな風にキャッチボールをしてくれたことは一度もない。自動車ディーラーである元夫は、土日はほとんど仕事だったので、陽太の少年野球の試合も一度しか見に来たことはないのだ。

 それでも、父親は父親……。
 私の選択は正しかったのだろうか、と、この一年ずっと自問自答し続けている……と、

「鈴木!」
「……っ」

 いきなり名前を呼ばれ、ドキッとする。
 旧姓に戻って10ヶ月目なのに、いまだに変な感じがする。結婚生活15年でしみついた「田中」姓がまだまだ抜けきらない。

「お前の息子すげーぞ!」
「え?」

 溝部のデカイ声に、陽太を見ると、陽太は照れたように溝部に叫んだ。

「溝部、大袈裟!」
「お前、年上呼びつけにすんな! 溝部さん、だろ」
「お前が『さん』なら、オレは『さま』だ!」
「年上にお前言うな! 陽太さまっ」
「うわ、ほんとに『さま』って言ったー」
「お前が言えっていったんだろー!」

 …………。溝部、小学生か。

「……で、何?」
「フォークだよ!フォーク!」
「は?」

 フォーク?って、え、まさか。

「小4でフォーク投げられるなんてすげーじゃん!」
「ちょっと、陽太!」

 小学生は体の発達を考えて、変化球の投球は禁止されている。

「フォークなんか投げちゃダメじゃん!」
「え、そうなのか?」
「みんなやってるよ。試合で使わなきゃいいだけだろ。つか、オレ、ピッチャーじゃないから関係ねえし」
「陽太……」

 陽太は元々ピッチャー志望で、以前所属していた野球チームでは、ピッチャー候補と言われていた。
 でも、ティーボール(3年生の12月末までは、バッティングティーを使うため、ピッチャーはいない)が終わると同時に、離婚により引っ越しをしたため、そのチームを退団することになり……。

 新しい野球チームには、4年生から本格的に入ったので、すでにいるピッチャーを押し退けてまでピッチャーをやりたい、とは言えなかったらしい。

「あーそうなのかあ。なんだ。もったいねえなあ。いや、ほんと、すげー落ちたんだよ!」
「だから溝部大袈裟ー」

 あはははは、と笑った陽太。グローブをした陽太がこんな風に笑うのを久しぶりに見た。

 陽太は今、打撃面でも伸び悩んでいるのだ。ティーではあれだけ打てていたのに、ピッチャーからのボールは打つことができず、バッティングセンターにもしょっちゅう連れていっているけれど、今のところ成果はみられず……


「あ!見て!」
「虹!ママ、虹ー!」

 沙織の子ども達のはしゃいだ声に、皆一斉に空を見上げた。

 ぼやっとした虹……でも、綺麗。

「わあ、虹だ……」
「おー、虹だあ」

 ポカーンと口を開けて虹を見上げる陽太と溝部。妙に、似てる……

(兄弟みたい)

 そんなことを思った。
 でも、そうすると、溝部は私の息子ということになってしまう。

(それはナイ。ナイナイ)

 また笑ってしまった。でも、馬鹿兄弟は揃って空を見上げたままで………

 だから、私も、空を見上げた。



-------------------

お読みくださりありがとうございました!
こんな真面目で地味な話、読んでいただいてすみません~っでも書かないと進めない!
「策士策に溺れる」タイプの溝部君。果たして今回この策で良かったのか……

続きまして今日のオマケ☆

-------------------


☆今日のオマケ・浩介視点


 バーベキューから帰ってきてから、腹ごなしのために二人でスポーツクラブに行った。

 4キロは泳ぐ慶には付き合っていられないので、おれはいつものように一人でユルユルと水中ウォーキングをして、マッサージプール、サウナ、ジャグジー……と転々としていたんだけど……ジャグジーの中で、はしゃいだ女性たちの声が聞こえてきた。

「みてみて! 今日、王子いる~ラッキー!」
「あ~今日もかっこいい~~」
「やった!こっちくるよ!」

 ………。

 日に日に渋谷慶王子ファン増えてるような……

「こんばんは~♥」
「こんばんは~~♥」

 その30代くらいの女性たちに♥つきで挨拶された慶。水泳帽を脱ぎながら、「こんばんは」とにっこり返していて……

(あーもー、どんだけかっこいいんだ……)

 毎日見ているおれでさえ赤面してしまうイケメンっぷりに、女性二人もきゃあ♥と声をあげてしまっていて……

(いや、気持ちはわかる。わかるよ! この顔!この体!抱かれたい!とか思うでしょ~?)

 ふっと笑ってしまう。

(まあ、残念ながら、この人、おれだけのものだけどね。しかもおれが抱いてるんだけどね……)

 ふっふっふっ……と笑いを押さえきれず、ジャグジーの水の中に口元まで沈んでいたところ、

「お前、何やってんの?」
「…………」

 ご本人様が、一人分のスペースを空けておれの横に座った。さっきの女性二人も、少し離れたところにいるため、念のため「友達」の距離を保っているのだろう。

「何ニヤニヤしてんだよ?」
「えーっと……」

 本当のことを言ったら恐ろしいことが起こるので、無難な返事をしておく。

「いやー、今日、溝部、頑張ってたなーと思って」
「だなー。『将を射んと欲すれば先ず馬を射よ』ってのミエミエだったけどな」
「まあねえ。雨のおかげで陽太君もはじめからこられて良かったよね」
「すっかり仲良くなってたよな」

 溝部があんなに用意周到な奴だとはちょっと意外だった。前もって小松さんから陽太君の情報を聞き出していて、今日はグローブと携帯ゲーム機まで用意していて……。まあ、溝部は元々、本当に野球もゲームも好きなので、苦はなかったようだけど……

「いやー、でも鈴木的にはどうだったんだろうなあ?」
「来たときと何も変わらず帰っていったよね……」
「なあ……」

 うーん……と二人で唸ってしまう。

「大変だよなあ。これから恋愛って……」
「だよねえ……」

 以前にもしたことのある会話だ。この歳になってからはじめる恋愛は大変だって。

「おれ、ほんとに無理って思った」

 慶はしみじみ、といった感じに呟いた。

「高校時代、頑張っておいて良かった」
「!」

 ちょん、と腿のあたりにくすぐったい感触。慶の足の指……。パッと横を見ると、慶が照れたようにうつむいていて………

(うわ、かわいい……っ)

 抱きしめたい……っっ
 と、思ったら、バサッと慶が立ち上がった。

「じゃ、おれ、もうちょっと泳いでくる」
「う、うん……」

 か、顔のニヤケがおさまらない……
 慶の完璧な後ろ姿を見送りながら、再度ブクブクと水中に沈む……

「あ、王子行っちゃった」
「あの人、王子の知り合いなのかな?」
「ちょっと話しかけてみる?」

 こそこそと話している女性二人の声が聞こえてきて、

(……面倒だな)
 話しかけられる前にジャグジーを出た。

 まあ、おれに何を聞いたところで、残念ながら、王子とその先には進めないけどね。
 だって、王子はおれしかみてないから。おれだけの王子だから。

「…………あ」
 水中ウォーキングのレーンに入ろうとしたところ、コースの折り返しにいた慶が即座におれに気がついて、ニッと口の端をあげた。

 ほら、やっぱりおれしか見てない。

 慶は昔からそうだ。おれがどこにいても、すぐに探しだしてくれる。

 綺麗なフォームで泳ぐ慶を横目で見ながら、ゆっくりと水中を歩く。
 この人はおれのもの。おれだけのもの。そんな幸せな気持ちに包まれながら。


-------------------------------


お読みくださりありがとうございました!
慶にはレーダーついてます。浩介探知機。

毎週火曜日と金曜日の朝7時21分に更新する予定です。
次回は3月14日火曜日、どうぞよろしくお願いいたします!

クリックしてくださった方、見にきてくださった方、本当に本当にありがとうございます!
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風のゆくえには~現実的な話をします 1 +おまけはBL

2017年03月07日 07時21分00秒 | 風のゆくえには~現実的な話をします


【溝部視点】


2016年9月11日(日)


 正直に言おう。

 オレは、桜井と渋谷が羨ましい。
 男同士のくせに、四半世紀もずっと想いあっていて、今も一緒に暮らしていて、ちょっと油断すると、イチャイチャしてたりして………お前らどんだけだ!どんだけだよ!羨ましすぎるんだよ!

 そして、斉藤も羨ましい。
 さっさと結婚して、今や中学生の息子と娘がいて、息子はオレ達の母校、白浜高校を受験するために頑張っていて……オレが高校の時に描いていた未来予想図そのものの生活してやがる。小遣い減らされてる、とか贅沢いうな!

 そして、今、一番羨ましいのは山崎。
 8歳年下の菜美子ちゃんと、12月に結婚することが決まったという。一緒の合コンに参加して、一緒のタイミングで出会ったオレと明日香ちゃんは、結局どうにもならなかったというのに、山崎の奴だけ上手いことやりやがって……くそー………


「招待状は?」
「今月末には発送する予定なんで。よろしくお願いします」

 ペコリと頭を下げた山崎。
 前日が桜井の誕生日だったので、そのお祝いのお好み焼きパーティー、ということで集合かけたんだけど、山崎の結婚式の日程が決まったことも分かり、急遽山崎の結婚祝いの乾杯もすることになった。

「相手、医者だっけ?」
「うん。美人女医だよ~」

 菜美子ちゃんに会ったことのない斉藤の質問に、なぜか桜井が自慢げに答えている。

「慶の同僚で、おれの主治医」
「主治医? 桜井、どっか悪いの?」
「うん。でもおかげでもうだいぶ良いんだ」
「ふーん?」

 斉藤、それ以上突っ込むなよ? と心の中で思う。
 菜美子ちゃんは、心療内科の医師だ。と、いうことは、桜井は心の病気ということだ。詳しくは知らないけれど、人に話したい話ではないだろう……と、思ったら、

「心療内科の先生でね、慶の病院と、心療内科クリニックと掛け持ちしてるんだよ」
「…………」

 あっさりと桜井が言うので拍子抜けしてしまった。周りが思うほど、本人は気にしてないのか……

 でも、斉藤もそこは掘り下げず、山崎に向き直ると、

「去年言ってた合コンの相手だよな?」
「うん。そう」
「その合コンって、確か溝部も……」
「わーわー」

 そこを掘り下げるかっ

「まだ傷が癒えてないから、その話題はやめてくれー」
「傷? え、じゃあ……」

 え、と口に手を当てた桜井にコクコクとうなずいてみせる。

「そうなんだよー明日香ちゃん彼氏できちゃったんだよー」
「え、知ってた?山崎」
「あー、まあ……」

 頬をかいた山崎。山崎の婚約者の菜美子ちゃんは、明日香ちゃんの親友だ。当然知ってるだろう……

 明日香ちゃんは、6月末に一緒に幹事をやった結婚式の二次会で、佐藤という軽~い感じのイケメンと速攻で意気投合してしまったのだ。二人とも平日休みなので、予定を合わせやすかったのが一番の理由だと、明日香ちゃんは言っていたけれど……

「どうしてあんなチャラ男と付き合うかなあ。オレのこの大人の魅力が分からんかなあ」
「溝部も充分チャラいだろ……」
「なんだとー!?」

 聞き捨てならない山崎の発言に、食いついてやる。

「オレは全然、チャラくないっ。明日香ちゃんにだってずっと紳士的にだなあ」
「チャラいくせに押しがたりなかったってことか……」
「さーいーとーおーっっ」

 今度は斉藤。結婚歴16年=恋愛から離れて16年の奴に言われたくない! 
 斉藤は「まあまあ」と苦笑すると、

「その明日香ちゃんってのは、どんな感じの子だったんだ?」
「どんな感じ……」
「うーん、見た目は可愛い感じだよね?目がキョロッとしてて」

 明日香ちゃんと一度だけ会ったことのある桜井が、一年以上前の記憶を呼び起こしてブツブツといいはじめた。

「誰に似てる?」
「うーん……顔だけいったら、吉田さんとか?」
「ああ~~」

 高校の同級生の名前を上げられ、オレと山崎も納得でうなずく。と、桜井はそのまま、アッサリと嫌なことを言った。

「でも性格は鈴木さんに似てるよね。サバサバしてて、言いたいことズバッていう感じ」
「…………」
「…………」
「…………」

「………………あ」

 ハッとしたように口を閉じた桜井。遅いっもう遅いっ!

「さーくーらーいー!!古傷を抉るなー!!」
「わーごめんごめんっっ」

 ガシガシと蹴ってやる。いつもなら速攻でやめさせに入るであろう恋人の渋谷は、現在ソファで爆睡中なので、遠慮なく蹴ってやる!

「まあ、鈴木のことはもういいんだけどな! 人妻には興味ねえし!」

 そう言ったところで、斉藤が「いや?」と手を振った。で、驚きの発言。

「鈴木、離婚してこっち戻ってきてるぞ?」

「え?」
「え?」
「えええ?」

 な……なんだとお!?

「な……なんだよそれっ」
「ほら、オレ、実家が鈴木んちと近いじゃん? 先月実家帰った時に、偶然鈴木と会ったんだよ。年末に離婚成立して、年明けから息子と一緒に実家に住んでるって言ってた」
「え………」

 鈴木、去年の7月に飲んだ時は、旦那とも上手くやってるって、幸せだって、「溝部もさっさと良い人みつけなよー」とか言ってたのに……っ

「斉藤ー!! なんでそれを早く言わない!?」
「そんなこと言われてもっっ」

 鈴木……っ
 あいつ、また、泣いてるんだろうか。あの時みたいに、一人で隠れて、静かに涙を流してるんだろうか………

 オレは……オレは、また、何もできずに見ているだけなのか……?

 そんな……そんなの……っ

「よし!決めた!」

 ぐっと拳を握りしめ、立ち上がる。

「バーベキューやるぞ!バーベキュー!」
「は?」
「は?」
「バーベキュー?」

 こういうときは、肉だ肉!

「名目は、山崎の結婚前祝い!」
「え」
「あと、斉藤息子の激励会!」
「は?」

 きょとんとした山崎と斉藤をビシビシッと指差す。

「だからメンバーは、山崎と菜美子ちゃん、斉藤一家、でー……」

 鈴木を誘えるメンバーと言ったら……

「桜井と渋谷、桜井経由長谷川委員長一家、そこ経由で小松夫妻、鈴木親子! これでどうだ!」
「どうだって……」

 顔を見合わせる3人に畳み掛ける。

「去年、鈴木とはライン交換したから連絡とることはできるけど、オレがいきなり誘ったって断ってくる可能性高いだろ! まずは外堀を埋めるんだよ!」
「あ、なるほど」

 桜井はうなずくと、「それじゃあ……」とスマホを取り出した。

「とりあえず委員長に、奥さんの川本さんが鈴木さんか小松さんと最近連絡とってないか聞いてみるね」
「おお。頼む。川本と小松は同じバトン部だったから繋がってると思うんだよ」

 委員長は、同じクラスだった川本沙織と結婚して、現在小3の娘と年長の息子がいる。……揃いも揃ってみんなして幸せ一家してやがって…………

「でも、こんな大人数でバーベキューってどこでやるの?」
「前みたいに海の公園予約するとか?」
「あ、いや」

 ブンブン手を振る。前にバーベキュー合コンをしに海の公園にいったこともあるんだけど、今回は子供もいるし、リーズナブルにいきたい。金がかかる、とか、行くのが大変、とか、断る理由になりそうなことは全力で排除するっ!
 
「うちの実家の庭、畑やめたから広さだけはあんだよ。前に会社の連中20人以上集まったけど大丈夫だった」
「おー、それはいい」
「あ、そう言えば溝部のうちって広かったよな」

 ぽん、と手をうった斉藤。

「一回行ったことあるよな? あれ? それこそ、鈴木と小松と……」
「あ、クリスマスパーティー?」

「斉藤君、山崎君、君たちもオレの古傷を抉らないように!」

 ムッとして遮ると、二人は「ごめんごめん」と苦笑いしやがった。

 くそー……今に見てろよ!!
 逆転サヨナラホームラン打ってやるー!!!


-------------------------------


お読みくださりありがとうございました!

この話、『幸せな誕生日(後編)』の後半の話直後の話となっております。

浩介と委員長は昨年の再会時にフェイスブックを教えあって以降、やり取りが続いています。(浩介は記事はあげないけれど、委員長が読んだ本の感想とかをあげるので、それにコメントしてるって感じ)

続きまして、今日のおまけ。


-------------------


☆今日のおまけ・慶視点


 ふっと目を覚ますと、じーっとこちらを見ながら何か飲んでいる浩介の姿が目に入った。

「………あれ? みんなは?」
「もう帰ったよ?」
「あー、また寝ちゃったのか、おれ……」

 最近、どうも酔いが回るのが早い。家なので安心感があるせいかもしれないけど……

「お水飲む?」
「いや、いい。……お前何飲んでんの?」
「これ。昨日実家から貰ってきたやつ」

 ウイスキーの瓶がテーブルに置いてある。昨日浩介の実家に行ったときに、お中元のお裾分け、といってお母さんがくれたのだ。

「慶もいる?」
「…………」

 軽く首を振ると、そう?といって、浩介は再びグラスに口をつけた。おれは寝そべったままなので、浩介が斜めに見える。斜めの浩介は、まだ目を細めておれを見ている。

「何?」
「ん?」
「何見てんだよ?」
「えー?」

 嬉しそうに笑った浩介。

「ほんと、綺麗な顔してるなあと思って観賞してたの」
「観賞?」
「そう。昔、美術部の浜野さんが『渋谷慶は観賞物』って言ってたんだけど、なんかそれ思い出しちゃった」
「……は?」
「いや~も~この顔を独占して観賞しながら飲むお酒は最高です」
「…………。なんだそりゃ」

 変な奴。あいかわらず変な奴だ。
 浩介はニコニコという。

「見てていい?」
「……やだ」
「えー」

 なんでーケチー、と、間延びして言う浩介にちょいちょいと手招きをする。

「なにー?……わっ」
 近づいてきた浩介の腕を掴んで引き寄せる。

「おれは観賞物じゃねーよ」

 そして、噛みつくみたいなキスをしてやる。

「おれは実用品だ」
「ん」

 もう一度キスをする。
 見てるだけ、なんて許さない。ちゃんと触れて、ちゃんと包み込んで、一緒にいるって感じさせろ。

「慶」
「…………浩介」

 愛しそうにおれの名を呼んでくれる浩介を、ぎゅうっと抱きしめた。



-------------------------------


お読みくださりありがとうございました!

今日のおまけは『ウイスキーをチビチビ飲みながら、慶の寝顔を眺めてニヤニヤしてる浩介の図』が書きたくて書きました。
『渋谷慶は観賞物』と浜野さんが言った話は、『巡合2-2』。まだ浩介が慶を親友としか思ってない時代。青春の高校二年の文化祭♪

オチも何もない『おまけの話』。誰得?私得!
こういう小話書くの大好きでして、学生時代も色々な話の小話をノートに書き綴り、最終的には7冊分計63話になってました。
今後もそのノリで合間合間に書かせていただこうと思っております。

毎週火曜日と金曜日の朝7時21分に更新する予定です。
次回は3月10日金曜日、どうぞよろしくお願いいたします!

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風のゆくえには~現実的な話をします 0 おまけのBL

2017年03月03日 07時21分00秒 | 風のゆくえには~現実的な話をします

☆本編はじめる前に、おまけの話☆


1991年12月(高校2年生)

23日の夜、めでたく両想いになった慶と浩介。
24日の朝、溝部からその夜のクリスマスパーティーに誘われますが、二人して断ります。だってクリスマスデートの約束してるんだもん♪
溝部は山崎と斉藤を誘って、女子とパーティーしたらしいけど……

ということで。25日の朝。2年10組の教室にて。浩介視点です。


**


注:両想い3日目の浩介君。超浮かれてます。


(あー………)

 どうしよう……幸せすぎて、顔のゆるみがおさまらない……。
 冷静になろうと、いつものように本を開くのだけれども、一行も頭に入ってこない。

(わああ……)
 顔をおさえようとしたところ、唇に手の平が触れ、それで昨日のキスを思い出して余計に顔がにやけてくるんだからどうしようもない。

(慶……まだかな……)

 早く会いたい。って気持ちと、今でももう心臓がドキドキしてるのに、会っちゃったらこれ以上どうなっちゃうんだろうっていう心配と、でも会いたい。会ってぎゅううってしたいって気持ちと……もう、本当にどうしようもない。

(今日、授業なくて良かった……)
 今日は2学期の終業式と学活だけだ。授業なんか絶対に何も聞けなかっただろうから助かった。


「桜井? どうかした?」
「おっ、おはようっ! 山崎っ」

 山崎から声をかけられ飛び上がってしまう。2学期の間、山崎はおれの後ろの席だった。せっかく話せるようになったのに、3学期からは席替えで離れてしまうだろうから、ちょっと残念だ。

「き、昨日どうだった? 溝部のうちでパーティーしたんでしょ?」
「そうそう。大変だったんだよー」

 山崎が苦笑して言う。

「溝部が荒れちゃって」
「荒れる?」
「いや、ほら、鈴木がさ……」

 声をひそめる山崎。

「やっぱり、好みは大人の男!って言って……」
「あー……」
「で、溝部がいつもの調子で鈴木をからかって、喧嘩になって」

 溝部と鈴木さんはいつも喧嘩をしている。それなのに、昨日、溝部が赤くなりながら、パーティーに鈴木さんを誘った、と言ったからビックリしてたんだけど、やっぱり喧嘩になったんだ……。

「まあ、それはいつものことだったんだけど……」
「だね……」
「女子が帰った後に、溝部がヤケ食いみたいに馬鹿みたいに食べて飲んで、んで、食べ過ぎて吐いちゃって」
「えええっ」
「溝部、今日学校休みかも」
「…………」

 た、大変だったんだな……

「まあ、せめてあんな失態を鈴木に見られなくて良かったよ」
「山崎……」

 山崎って良い奴だなあ、と思う。おれと同じでおとなしくて目立たないタイプなんだけど、おとなしさの中に芯があるというか……ちょっと大人っぽいのかもしれない。

「で、桜井は? どうだった?」
「え」

 急に話を振られ、きょとんとしてしまう。

「デートだって言ってなかった?」
「あ」
「あ、違うか。デートだったのは渋谷で、桜井は何もなかったんだっけ?」
「えーっと……」

 なんと答えたものかと迷っていたところで、

「はよーっす」
「!」

 途端に世界がパーッと明るくなった。眩しいオーラを振りまきながら、慶が教室に入ってきたのだ。

「わ、なんか渋谷、いつもにもましてキラキラしてるな」
「…………うん」

 山崎の言葉にコクリとうなずく。ほんと、キラキラしてる……

 慶は窓際のおれの席まで真っ先に来てくれると、真っ直ぐにおれを見つめて、

「はよ……」
「おはよ……」

 う……照れる……。
 そんなこと知らない山崎が、ちょっと笑いながら慶に言った。

「渋谷、デートうまくいったんだ?」
「え!?」

 二人一緒に声をあげてしまったけれど、山崎は気にした様子もなく肩をすくめた。

「そんなキラキラ、溝部に見せつけたら何されるかわかんないから気を付けて」
「なんだそりゃ」

 眉を寄せた慶。ああ、可愛い……

「まあ、溝部、今日休みかもしれないけど」
「なんで?」
「あー……あ、ごめん、桜井あとよろしく」

 山崎は手を振りながら、廊下に向かっていってしまった。鉄道研究部の一年生がきていたのだ。その背中を見送ってから、慶がこちらを振り仰いだ。

「溝部、なんで休み?」
「んー、なんか昨日のクリスマスパーティーで食べ過ぎたらしいよ」
「アホだな、あいつ」

 慶が、あはは、と笑う。
 その原因は鈴木さんとうまくいかなかったことらしいけど……。

「慶……」
「ん?」

 見上げてくれる慶の瞳は湖みたいに澄んでいて、今にも吸い込まれそうだ。こんな人がおれなんかのこと好きでいてくれる……
 溝部は想い叶わず、やけ食いして具合悪くなったっていうのに……

「両想いになるって、ホント大変なことだよね……」
「…………何いってんだお前」

 照れたように顔を赤らめた慶。

「………」
「………」

 あーもー!可愛すぎる!!

「慶ー!」
「わっお前!やめろ!」

 我慢できなくてムギューッと抱きしめると、慶がおれから逃れようとワタワタしはじめた。それもまた可愛いすぎる!!

「大好きー!」
「人前で抱きつくな!」
「じゃ、人前じゃなかったらいい?!」
「アホかっ」
 
 真っ赤になった慶は可愛いすぎて可愛いすぎて!

「あ~~も~~幸せ~~」
「分かった分かったっ。分かったから落ち着けっ」
「あー」
 
 無理矢理腕から抜けられてしまった。あーああー……

 ガッカリして席に座って俯いたら、こんっと額を拳骨で押された。そして耳元に顔を寄せられ、囁かれた。

「………続きは今日帰ってからな」
「!」

 バッと顔を上げる。慶はやっぱり照れたように笑って、いいこいいこって頭を撫でてくれた。

 もう、幸せ過ぎる……


 結局、この日溝部は学校にこなかった。でも、鈴木さんはいつもと何も変わりなかった。やっぱり恋って難しい……。

 そして年明け……。教室に入るなり、

「くっそー! クリスマスの奇跡、おれにはなかったぞー!」

 そう叫んだ溝部に体当たりされた。八つ当たりもいいとこだ。

 女の子紹介してもらうのに一緒にこいとかうるさいから、溝部にもさっさと彼女ができればいいと思う。鈴木さんは無理そうだけど……。



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お読みくださりありがとうございました!
深夜に投稿した、人物紹介・あらすじに引き続き、おまけの25年前のお話でした。
「巡合」「将来」の間の話になります。
この頃の浩介君は、まだ慶にしか心を開いていないので、溝部に対してもイマイチ興味が薄いというか……
今、同じことが起きたら(わー溝部かわいそうにー。おればっかり幸せでごめんねー。溝部も上手くいくといいのになー)くらいのことは思いそうだ。

自分が高校生の時は、40過ぎなんてすごいオトナ!って思ってましたが、実際自分がなってみると、高校の時と感覚とかそんなに変わっていなくて……
でも、色々なことに割り切りができてたり、一歩引くことを覚えていたり……

そんな大人の現実的なお話を火曜日からお送りいたします。
BLカテなのに、男女カップルですみません…でも、浩介×慶、しょっちゅう出てくると思います。
出てこない回は、どうでもいい二人のマッタリ話をおまけに書きたいなあ……とか思っていたり。
やりたいことだけは頭の中で盛りだくさんです。

毎週火曜日と金曜日の朝7時21分に更新する予定です。
次回は3月7日火曜日、どうぞよろしくお願いいたします!


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コメント (2)
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