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BL小説・風のゆくえには〜愛してる記念日2020(浩介視点)

2020年11月03日 07時21分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ 短編読切
【浩介視点】

 11月3日は『愛してる記念日』。
 慶が「愛してる」と初めていってくれた記念日だ。

 今でも時々は言ってくれるけど、そのほぼすべて、酔っているときか、「している最中」ということに大いなる不満を抱いていた。が、一年前、11月3日だけは、シラフで言ってくれる、と約束してくれた。

(覚えてるかなあ……)

 忘れてそうだな……
 でも、こっちから催促するのも面白くないから、黙っていよう。

 と、思っていた、11月2日の深夜。

 慶が寝ているベッドのある部屋と、おれが寝ているリビングの間にある襖が、静かに開いた音がして、ふと目が覚めた。

(トイレかな……?)

 珍しい…と思う。慶は朝まで爆睡するタイプなので、夜中に起きてくることは非常に珍しい。

 こうして寝室を別にするようになってから、もう半年以上たつ。
 世に蔓延する感染症の対策の一環で、家の中でも常にマスク、常に換気、寝室も別、とするようになって、どうしてもスキンシップの時間は減っているし、不自由感は否めないし、漫然としたストレスは溜まる一方だ。

(大丈夫かな……)

 冷蔵庫の開く音がしていたので、どうやら何か飲んでいたようだ。
 おれが起きてしまったと知ったら、気にするだろうと思って、あえて声はかけずに寝たふりを続ける。……と。

(…………?)

 気配がすぐ近くで止まった。

(あー……前だったら、ここでスルッと慶が布団の中に入ってきて、おれの背中にピタッとくっついてくれて……だったのになあ)

 なんて、妄想していたところ……

(え)

 ふいっと耳元に吐息。

 え。え……?

「…………浩介」
「!」

 耳元に直接聞こえる、声。

「…………愛してるよ」
「………っ」

 優しい声が心臓を直撃する。

 あまりもの衝撃に、息ができない。

(………け、い)

 硬直しているおれを置いて、気配が去っていく……

(うそ、夢? 何……?)

 襖が閉まる音が聞こえて、ようやく、そちらを見る。
 何もなかったかのように、静寂が戻っている……

(愛してる記念日………)

 慶、覚えてたんだ……

 体中が愛しさでいっぱいになってくる。

 ……けど。けど……

(これさ………)

 慶、「夜中に言った」って言い逃れるつもりだな……
 おれ、起きてなかったら聞き逃すところだったじゃん……

 朝起きたら、一番に言ってみよう。

 今日は『愛してる記念日』だよって。


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お読みくださり本当にありがとうございます!!
愛してる記念日だからあげたい!と思っていたのに寝てしまって、起きたら6時40分だった…
30分クオリティ、しかも推敲の鬼の私が一度も推敲なし、というあげていいのかこんなの?!の状態ですが、せっかくの記念日なのであげます!!
そのうち時間を見つけて推敲します💦
今頃、浩介君は、朝ごはんを作りながら、慶が起きてくるのを今か今かと待っているところです。

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コメント (4)
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