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BL小説・風のゆくえには~四捨五入して40歳

2018年09月11日 07時21分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ 短編読切

昨日、9月10日は、「風のゆくえには」シリーズ主役その2の桜井浩介君の44歳のお誕生日でした。ということで、小ネタを一つ。

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【浩介視点】


 ベッドの中。
 時計が12時を過ぎたのと同時に、慶が「おめでとう」と言って、ちゅっとキスしてくれた。

「44は『四捨五入して40歳』最後の一年、だってよ」
「何それ?」

 同じようにキスを返してから聞くと、慶は苦笑いしながら、

「おれの誕生日の時に、溝部に言われたんだよ。自分はまだ3になったばっかだから、あと2年あるけどな~~ってさ」
「あー……」

 おれ達の同級生の溝部は3月生まれなので、4月生まれの慶とはほぼ一歳違うのだ。

 慶は、うーん、と言いながら、おれの手をぎゅっと握ってくれる。温かいぬくもりが嬉しい。

「考えてみたら、もしおれが1ヶ月早く生まれてたら、お前らより学年一つ上だったんだよな。そう思うと、不思議な感じ」
「うん」

 慶のお母さんは、慶を生む1ヶ月前に、切迫早産で入院していたそうなのだ。もし、その時に慶が生まれていたら、と思うとゾッとする。

「慶が4月までお腹にいてくれて良かった……」
「まあでも、おれ達、同じ学年じゃなかったとしても、出会えてたと思うけどな」

 妙に自信たっぷり言う慶。
 前にも言われたことある。おれ達が出会ったのは偶然じゃなくて必然。運命だったのだと。

 でも………

「でもそうすると、同じクラスじゃなくなるし、修学旅行も一緒に行けないから、つまんねえな」

 ニッと笑った慶が愛しくてしょうがない。

「………うん。やっぱり同じ歳で良かった」
「だな」
「うん」

 再びちゅっと唇にキスがおりてきた。

「えーと……それじゃあ、来年はついに『四捨五入したら50歳』になるってことだねえ」
「だな。うわー50って想像つかねえ」
「慶はまだ30代で通用するよ」
「んなわけあるか」
「あるよ」

 慶は昔から見た目が若い。最近ますます年齢差が開いてきた気がする……

「だからおれ、真面目に頑張る……」
「何をだ?」
「スキンケア」

 今回の誕生日のプレゼントは、『男性用スキンケア』にしてもらったのだ。今まで何もしてこなかったので、これからは真面目に頑張ろうと思う。これ以上、年齢差を広げたくない。

 早速使ってみたところ、肌が潤った感じがして、とても良い気がする。………けれども。

「あー……、それさあ……」
「ん?」

 慶は言いにくそうに口を尖らした。

「自分でプレゼントしておいて何なんだけど………」
「うん」

 恐る恐る、といった感じに、慶の温かい手がおれの頬に触れてきた。

「せっかくつけたから、もう触っちゃダメって感じがして…………嫌だな」
「……………」
「……………」
「慶…………」

 か………かわいい。

「そんなことないよ。触って?」
「んー……、でも……」

 またまた唇にキスがおりてきた。

「キスはここにしかしちゃダメな気がする」
「………慶」

 ああ、それでだったのか、と思い当たる。
 いつもの慶は、唇によりも、頬や額やこめかみにキスをくれることの方が多い。それなのに、さっきから妙に唇へのキスばかりだと思ったら……

「そんなこと……」
「まあ……いっか。ここにたくさんすれば」

 またまた唇へのキス。愛しくて愛しくてたまらない。

「慶……」

 ぎゅっと抱きしめると、慶もぎゅっと抱きしめ返してくれて、

「誕生日おめでとう」

 再び言ってくれた。

 幸せな幸せな『四捨五入して40歳』最後の誕生日だ。


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お読みくださりありがとうございました!
本当は当日の0時に上げるつもりが、寝落ちて間に合わなかったので、やむなく今朝の更新となりました。自己満足失礼しました~💦

予定通り、9月14日に再開する予定です。

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今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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「風のゆくえには」シリーズ目次 → こちら
コメント (2)
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