立冬、暦の上では冬に入った。紅葉前線はまだ山の上だが、夜の空気には、もうじゅうぶんに冬の匂いがあふれている。
冬の星空は綺麗だ。星空はいつだって綺麗に決まっているが、冬の星空が格別に綺麗なのは疑うことのない事実。空気が透き通った寒すぎる夜には、毛布を持って「氷の丘」まで上りたくなる。オリオンの左腕に触れられそうな夜、そんな表現は、冬の星空にしか当てはまらない。
一ヶ月ほど前から決めていたことがある。丸一日かけて、少し厚めの本を読むということ。他のことは一切どこかに忘れ去って、本の中の物語にどっぷりと浸かるということ。これ、なかなか出来ることじゃない。だが、今の僕には出来る。時間ならまぁまぁ持ってる。
例えばそれは、一日中、長いストーリーの映画を観ているようなものだ。アメリカの人気ドラマ「24」を映画館で24時間かけて観るという過酷な企画を、数年前にやっていたが、その本バージョンってわけだね。
本を読む時には空想が多分に入る。登場人物の姿形、声質、風景、空気、そんなもの全てを自分の空想の中に作り上げていく。それをゆっくりと丁寧に、物語の進行に合わせて、丸一日かけてやっていく。これこそが贅沢の極みと言えるんじゃないか、などと思ったりする。
丸一日かけると決めたからには、決して急いではいけない。先が知りたいと思っても、決して読み急いではいけない。適度に休憩を挟み、コーヒーを飲み、考えを巡らし、タバコを吸い、料理を作り、散歩に出かけ、コーヒーを飲み、そんなことを繰り返しながら、紙の上に印刷された活字の隙間隙間を思考とイメージで埋めていく。この作業が至福と言えば至福。自分の思考、が知らない町をのんびりと旅しているような気分になれるという訳だ。
この丸一日かけて一冊の本を読む企画。・・・丸一日かけて物語に入り込む企画と言った方がいいかもしれないな。企画が先か、本が先かと言うと、間違いなく本が先なのである。この本はこんな風に読みたい、そう思ったから、一ページも開くこともなく、一ヶ月もの間ベッドの脇にチョコンと置き続けていたのだ。
僕の周りには、素敵な本を薦めてくれる人が何人かいる。きっと僕に合う、もしくは僕の好きそうな本を薦めてくれているのだろうが、僕のハートを射抜く確率は100%。完璧なのである。100%の的中率を誇る彼らがすごいのか、100%的中されてしまう僕のハートが単純なのか・・・どちらせにせよ、一つ確実に言えることは、僕は素敵な本に出会えるという幸運に恵まれているということ。
前置きが長くなったので、本題は短くいこう。いや、そもそも、本題は本の紹介ではなくて、この企画を紹介するってことにすれば、もう本題は語ったってことで、ここで終わらせてもいいってことになるな。どうしようかな・・・。えっ、どんな本を読んだのか気になるって?ふむふむ。
「プラネタリウムのふたご」いしいしんじ。
タイトルがいい。実にいい。本の厚み、2.5cm、文庫本にしてはなかなかの厚み。
ある日、冬の夜空から彗星のように双子が堕ちて来た。プラネタリウムの屋根を突き破り、床に転がった半裸の二人。目を覚ますと「ここが地球か?」と片方が尋ねる。「そんなことどうだっていい、暴れようぜ!」「おぉ、そうだな、暴れるとするか!」。そう叫んだ二人の暴れっぷりったらない。六本木ヒルズを吹き飛ばし、レインボーブリッジを腰に巻き、東京タワーをバッドに見立て、フジテレビのシンボルの球を打ち、富士山まで飛ばしてホームラン・・・そう、二人の身長は18メートル、体重は43.4トン。・・・えっ?ガンダム?。
そんな話ではないよ。絶対に。そんな物語に丸一日かけるかっ!!!
これから読む人のために、内容を話すわけにはいかないからね。あとは各々好きな読み方で読んでみてくださいな。
プラネタリウムに行きたくなる。満点の星空が見たくなる。大切な人の大切さを思い出す。自分のすべきこと、つまり役割というものを考えさせられる。すべてのセリフ、すべての登場人物が素敵な、心温まる物語だよ。
今年は獅子座流星群が観れそうだ。一時間に数百個の流星が降ってくるらしい。
さぁ、僕らは同じ空の下で繋がってる。どんなに離れていても、この空の下で繋がっていられる。君が感動するものを僕は知ってる。僕が感動するものを君は知ってる。それが幸せってことなんだ。
だから、これからもずっと一緒だよ。
この作者の作品「ぶらんこ乗り」という本も読んだことがある。それもまた素敵なんだな。
冬の星空は綺麗だ。星空はいつだって綺麗に決まっているが、冬の星空が格別に綺麗なのは疑うことのない事実。空気が透き通った寒すぎる夜には、毛布を持って「氷の丘」まで上りたくなる。オリオンの左腕に触れられそうな夜、そんな表現は、冬の星空にしか当てはまらない。
一ヶ月ほど前から決めていたことがある。丸一日かけて、少し厚めの本を読むということ。他のことは一切どこかに忘れ去って、本の中の物語にどっぷりと浸かるということ。これ、なかなか出来ることじゃない。だが、今の僕には出来る。時間ならまぁまぁ持ってる。
例えばそれは、一日中、長いストーリーの映画を観ているようなものだ。アメリカの人気ドラマ「24」を映画館で24時間かけて観るという過酷な企画を、数年前にやっていたが、その本バージョンってわけだね。
本を読む時には空想が多分に入る。登場人物の姿形、声質、風景、空気、そんなもの全てを自分の空想の中に作り上げていく。それをゆっくりと丁寧に、物語の進行に合わせて、丸一日かけてやっていく。これこそが贅沢の極みと言えるんじゃないか、などと思ったりする。
丸一日かけると決めたからには、決して急いではいけない。先が知りたいと思っても、決して読み急いではいけない。適度に休憩を挟み、コーヒーを飲み、考えを巡らし、タバコを吸い、料理を作り、散歩に出かけ、コーヒーを飲み、そんなことを繰り返しながら、紙の上に印刷された活字の隙間隙間を思考とイメージで埋めていく。この作業が至福と言えば至福。自分の思考、が知らない町をのんびりと旅しているような気分になれるという訳だ。
この丸一日かけて一冊の本を読む企画。・・・丸一日かけて物語に入り込む企画と言った方がいいかもしれないな。企画が先か、本が先かと言うと、間違いなく本が先なのである。この本はこんな風に読みたい、そう思ったから、一ページも開くこともなく、一ヶ月もの間ベッドの脇にチョコンと置き続けていたのだ。
僕の周りには、素敵な本を薦めてくれる人が何人かいる。きっと僕に合う、もしくは僕の好きそうな本を薦めてくれているのだろうが、僕のハートを射抜く確率は100%。完璧なのである。100%の的中率を誇る彼らがすごいのか、100%的中されてしまう僕のハートが単純なのか・・・どちらせにせよ、一つ確実に言えることは、僕は素敵な本に出会えるという幸運に恵まれているということ。
前置きが長くなったので、本題は短くいこう。いや、そもそも、本題は本の紹介ではなくて、この企画を紹介するってことにすれば、もう本題は語ったってことで、ここで終わらせてもいいってことになるな。どうしようかな・・・。えっ、どんな本を読んだのか気になるって?ふむふむ。
「プラネタリウムのふたご」いしいしんじ。
タイトルがいい。実にいい。本の厚み、2.5cm、文庫本にしてはなかなかの厚み。
ある日、冬の夜空から彗星のように双子が堕ちて来た。プラネタリウムの屋根を突き破り、床に転がった半裸の二人。目を覚ますと「ここが地球か?」と片方が尋ねる。「そんなことどうだっていい、暴れようぜ!」「おぉ、そうだな、暴れるとするか!」。そう叫んだ二人の暴れっぷりったらない。六本木ヒルズを吹き飛ばし、レインボーブリッジを腰に巻き、東京タワーをバッドに見立て、フジテレビのシンボルの球を打ち、富士山まで飛ばしてホームラン・・・そう、二人の身長は18メートル、体重は43.4トン。・・・えっ?ガンダム?。
そんな話ではないよ。絶対に。そんな物語に丸一日かけるかっ!!!
これから読む人のために、内容を話すわけにはいかないからね。あとは各々好きな読み方で読んでみてくださいな。
プラネタリウムに行きたくなる。満点の星空が見たくなる。大切な人の大切さを思い出す。自分のすべきこと、つまり役割というものを考えさせられる。すべてのセリフ、すべての登場人物が素敵な、心温まる物語だよ。
今年は獅子座流星群が観れそうだ。一時間に数百個の流星が降ってくるらしい。
さぁ、僕らは同じ空の下で繋がってる。どんなに離れていても、この空の下で繋がっていられる。君が感動するものを僕は知ってる。僕が感動するものを君は知ってる。それが幸せってことなんだ。
だから、これからもずっと一緒だよ。
この作者の作品「ぶらんこ乗り」という本も読んだことがある。それもまた素敵なんだな。