ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

Who I am? ~旅人のアイデンティティ

2010-08-27 11:43:26 | Weblog
さぁ、何処へ向かおう

ずっとそんなことばかり考えていた

さぁ、何処へ向かおう

ずっとそんなことしか考えていなかった

・・・


旅が僕に与えてくれるものは、とてつもなく大きい。
哲学が生まれ、アイデンティティは確率されていく。

表現という手段は、僕が持つ唯一の武器なのかもしれない。
その表現の源になるものは、いつだって旅の中から生まれる。

旅をするのに理由はいらない。計画もいらない。
行きたい場所へ向かえば、必ずそこに何かがある。

そんな当たり前のことを知ったのは、つい最近のことだ。
そんな当たり前のことを教えてくれたのも・・・旅だ。

さぁ、旅に出よう。ただあてもなく、旅に出よう。


・・・


そんなわけで、今週末の活動、土曜日のストリート、日曜日の西川口ハーツを終えたら、旅に出るよ。

一年間、休まずに続けたストリート、一ヶ月と少し、休みます。

しばらく会えなくなるからね、みんな会いに来ておくれ。

再会のその先

2010-08-27 06:01:46 | Weblog
嶋田家を出た僕は、まずは道東に足を向け旅を続けたわけだ。

日高牛を御馳走してくれたシビジロウに出逢ったのは、嶋田家を出たその夜だったし、キュウリと梨をくれたサフ吉おじさん、厚岸のスーパーで出会ったカキエモン君や、屈斜路湖で出会ったバリオス姉さん、納沙布岬で出会い一緒に銭湯へ行ったボルティ&Dトラッカー。根室で出会い知床で再会した日本一周マン、開陽台で出会ったロードキング、網走のスーパーマーケットで出会って能取湖の珊瑚草を一緒に観に行ったタケ坊、呼人浦のホテルの受付の「網走に咲いた花」・・・あっ、これは出逢いとは言わない・・・。さらにさらに、礼文島のキャンプ場の管理人の「小女子おじさん」、富良野で出会ったブルーべりおさん、あとスイカ泥棒の確率90%の怪しいおっさん、セブンイレブンの前で採ってきたばかりの落葉キノコを分けてくれたキノコおじさん・・・まぁ、主立った人物を挙げるだけでも相当な数になる。受けた親切は数えきれない。


「再会は運命みたいなものだ」。先のブログで、僕はそう書いた。それならば、さらなる再会は・・・何と呼ぼう。


去年の北海道ツーリングブログを読んだ人は覚えているだろうか?サロマ湖畔でホタテを食べたら、所持金が数十円になってしまい、宿代が払えなくなっちゃう、どうしよう!!!の話。

あの時の話を一つ。

困った僕は、店のおばちゃんにコンビニの場所を聞き、お金を下ろしに佐呂間の街を目指して走った。一番近いコンビなのに20キロほどの距離だ。国道を逸れ、県道を進む。国道だろうが県道だろうが農道だろうが、北海道の道は気持ちがいい。緩やかに曲がる一本道を走っていると、後ろから猛スピードで迫って来る車がミラーに映る。「飛ばしてるなぁ」なんて思いながら走っていると、その車はアッという間に僕を追い抜いて行く。

そのとき僕は狐につままれたような気分になった。本気でそんな気分になった。一瞬事態が飲み込めない時ってあるでしょ?・・・うーん、そうだな。人生を左右するような約束がある日に寝坊して目覚めた時の気持ちみたいな感じ?違う?

僕のバイクを猛スピードで追い抜いていく青い車、その助手席から身を乗り出してこっちに手を振っている女性の姿。

「・・・めぐちゃん?・・・えっ?・・・何?・・・ここはどこだっけ?・・・』

僕はバイクを停める。青いプリウスから降りて来たのは、紛れも無く、健ちゃんとめぐちゃんとプー助だった。

「何してんのぉぉぉぉ!意味わかんないんだけど!!!」と叫びながら、僕は二人と一匹に走り寄った。


つまりこういうことだ。
めぐちゃんの実家は網走にある。そしてめぐちゃんのお父さんの具合が悪いと嶋田家に連絡が入る。嶋田家の面々は車に乗り込み、網走に向かう。ブログをチェックしている二人は、シングはサロマ湖辺りを走っているはずだと予測する。何気にすれ違うバイクをチェックしながら走る。サロマ湖畔でシングらしきバイクとすれ違う。「シング、発見!」と興奮しながらUターンをし猛スピードで追いかける。シング、なぜか国道を逸れて左折する。さらに猛スピードで追いかける。追いついてシングを拿捕する。そういうことだ。

実のところ、国道で青いプリウスとすれ違ったのは覚えている。覚えてはいるが、まさか健ちゃんめぐちゃんが乗っているのは夢にも思わない。「あっ、青いプリウスだ」と想い、健ちゃんとめぐちゃんを思いだしていたのだった。



彼らは、ブログを見る事により、僕のおおよその居場所を把握していた。北海道の幹線道路は少ない。つまり、発見出来る可能性が高いとお思いだろうか?

つまりこういうことじゃないか?国道を逸れるタイミングがあと数十秒早かったら、僕らはすれ違えもしなかった。僕がもう少しお金を持っていて、ホタテをあと5皿くらい食べていたら、僕が食堂にいる間にプリウスは通り過ぎていた。・・・もし宿に早く着いていたら?もしその日が快晴でサロマ湖展望台を目指していたら?・・・もし、もし、もし・・・。もし・・・の選択肢など無限にある。それなのに、そのギリギリのタイミングで出会える確率は?・・・考えると笑ってしまう。



健ちゃんは笑いながら僕にこう言った。

「今日、全然走ってないんじゃないのぉ?」

その通り、寄り道ばっかりしてるから全然先に進めない。

「だって洗濯物乾かしたりして、能取湖でお祭りやってたし、サロマの原生花園見ちゃったし、サロマのホタテは美味しいし、お金なくなるし・・・うん、全然走ってない。もう夕方なのにねぇ、まだねぇ・・・100キロくらい」

「洗濯物は乾いたの?」とめぐちゃんが聞いてくる。

「ううん、全然。頑張って待ったんだけど、結局全部生乾き」



「再会は運命みたいなものだ」。先のブログで、僕はそう書いた。それならば、さらなる再会は・・・何と呼ぼう。そうだな・・・僕はそれを「絆」と呼ぼう。


プー助を思いっきり抱きしめて、夫妻と固い握手をして、先を急ぐ僕らは別れた。




僕が全然走れていないことも、洗濯物が乾いていないことも、僕がサロマ湖に見とれていることも、全部知ってる。
何が嬉しいって・・・。みんな一緒に旅をしているみたいで嬉しいんだよ。それがね・・・とても嬉しかったんだよ。



もう一つ、再会を果たす前に、めぐちゃんが僕にメールをくれていた。
「今日は網走に泊まるんでしょ?もしも雨がひどくて大変だったら、うちの実家に泊めてもらえるように頼んであげるからね」って。

そのメールを見た時、僕はもうキャンプ場にいて、雨も降っていなかったから、めぐちゃんの実家にお世話になることはなかったんだけど・・・
実はね、「次こそは」と、密かにめぐちゃんの実家を狙っている・・・僕なのである。だってぇ、網走にも親戚が出来たら・・・嬉しいじゃない?






そんなこんなで、あれから一年。僕は「嶋田家」の話を書きたくて、書かなければならなくて、結局一年を費やしてしまった。想いの深い事柄に手をつけるというのは、なかなか大変なことだと、あらためて思い知らされた。

北海道ツーリング、まだまだ書くことがたくさんある。書きたいことがたくさんある。それはまたあらためてということで。
僕の第三の故郷、北海道にいる健ちゃんとめぐちゃんに多大な感謝を贈りつつ、「嶋田家の章~人生で一番重要なのは、図々しさと茶目っ気であるの巻」、とりあえず完結。