荷物を片付けるのに五日間もかかった。勿論、継続的にやったわけではない。超断続的にやったから五日間もかかった。濡れたものは乾かさなければならない。乾くまでは仕舞えない。寝袋も干さなければならない。玄関先に積んだままの荷物を整理しなければならない。実際はまだ片付いていない。このまま片付かないのかもしれない。
荷物を降ろしたマグナのエンジンをかけてみた。なかなかかからなかった。雨に濡れ過ぎたせいかもしれない。マグナもだいぶ疲れてしまっている。
リアタイヤの溝がもう無くなってる。リアブレーキはほとんど効かない。バッテリーが弱っている。チェーンはもう限界まで伸びているし、スプロケもガタガタ。フロントのブレーキパッドも磨り減ってる。・・・無事に帰って来れたのが、不思議なくらいだ。
バイクが動かなくなったのと、テントのポールが二度も折れたのは前述の通り。他にも、旅の間に色々なものが壊れたり、使えなくなったりした。
カメラのレンズ、10mm-24mmと18mm-200mmの二本。そのうちの一本が使えなくなった。10mm-24mmのレンズをはめるとエラー表示が出てしまう。
エネループの電池とカメラのバッテリー充電用にインバーターを持って行った。バイクのバッテリーから電源をとり、シガーソケット経由で100Vに変換するもの。そのインバーターが途中で使えなくなった。インバーターを介さないiphoneの充電器(シガーソケット)も使えなくなった。おそらく、この二つはバッテリーが弱ったせいだと思われる。
ヘルメットのシールドを開閉するためのアダプターが壊れた。三つあるスナップのうち、一つが使用不能になった。時に時速100キロの風を受けるシールド。辛うじて二つのスナップで留めて使っていたが、ある時、突風に吹かれて空に舞った。ミラーに、路上を跳ねるシールドとアダプターが写るのが見えた。取りに戻って、ガムテープで留めた。
何かが壊れるたびに、この旅の長さを思い知った。雨、埃、潮、振動・・・壊れて当たり前の旅をしていると思い知った。壊れたものを直したり、補修したり、直さなかったり、直らなかったり。
でも・・・絶対に必要なものが最後まで壊れずに済んだから、旅を続けられた。・・・帰って来れた。
そう・・・このカラダと、愛車VTWIN250 MAGNAに、心からの感謝を贈りたい。