ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

壊れたモノと壊れなかったモノ

2010-10-16 05:37:04 | 2010夏北海道ツーリング~旅日記
荷物を片付けるのに五日間もかかった。勿論、継続的にやったわけではない。超断続的にやったから五日間もかかった。濡れたものは乾かさなければならない。乾くまでは仕舞えない。寝袋も干さなければならない。玄関先に積んだままの荷物を整理しなければならない。実際はまだ片付いていない。このまま片付かないのかもしれない。

荷物を降ろしたマグナのエンジンをかけてみた。なかなかかからなかった。雨に濡れ過ぎたせいかもしれない。マグナもだいぶ疲れてしまっている。
リアタイヤの溝がもう無くなってる。リアブレーキはほとんど効かない。バッテリーが弱っている。チェーンはもう限界まで伸びているし、スプロケもガタガタ。フロントのブレーキパッドも磨り減ってる。・・・無事に帰って来れたのが、不思議なくらいだ。

バイクが動かなくなったのと、テントのポールが二度も折れたのは前述の通り。他にも、旅の間に色々なものが壊れたり、使えなくなったりした。

カメラのレンズ、10mm-24mmと18mm-200mmの二本。そのうちの一本が使えなくなった。10mm-24mmのレンズをはめるとエラー表示が出てしまう。

エネループの電池とカメラのバッテリー充電用にインバーターを持って行った。バイクのバッテリーから電源をとり、シガーソケット経由で100Vに変換するもの。そのインバーターが途中で使えなくなった。インバーターを介さないiphoneの充電器(シガーソケット)も使えなくなった。おそらく、この二つはバッテリーが弱ったせいだと思われる。

ヘルメットのシールドを開閉するためのアダプターが壊れた。三つあるスナップのうち、一つが使用不能になった。時に時速100キロの風を受けるシールド。辛うじて二つのスナップで留めて使っていたが、ある時、突風に吹かれて空に舞った。ミラーに、路上を跳ねるシールドとアダプターが写るのが見えた。取りに戻って、ガムテープで留めた。


何かが壊れるたびに、この旅の長さを思い知った。雨、埃、潮、振動・・・壊れて当たり前の旅をしていると思い知った。壊れたものを直したり、補修したり、直さなかったり、直らなかったり。
でも・・・絶対に必要なものが最後まで壊れずに済んだから、旅を続けられた。・・・帰って来れた。

そう・・・このカラダと、愛車VTWIN250 MAGNAに、心からの感謝を贈りたい。

ランダム・ナンバーズ

2010-10-16 04:10:06 | 2010夏北海道ツーリング~旅日記
1-720
2-133
3-247
4-395
5-335
6-255
7-235
8-286
9-276
10-319

11-0
12147
13-232
14-169
15-178
16-392
17-219
18-54
19-223
20-294

21-108
22-388
23-21
24-267
25-174
26-402
27-162
28-347
29-189
30-195

31-181
32-188
33-69
34-96
35-207
36-374
37-740

恒例の「数字の羅列」。左の数字が旅の日数、右の数字が走った距離。

ライダーにも色々ある。
例えばショートステイのライダーは、ただ走ることのみに特化し一日に500キロ走る。一週間もかけずに北海道を一周していく。ロングステイのライダーは、一日250キロ走れば「今日は走ったねぇ」と言われる。超ロングステイの旅人ライダーは、キャンプ場やライダーハウスに長逗留しているため、普段はあまり走らない。もちろん他にも色々なライダーがいるはずだ。

僕の場合は、ロングステイの観光ライダー。一日に250キロも走れば、花丸がもらえる。右側の数字を見てみると、行きと帰りの日を除いても、250キロを超えた日が12日もあるじゃないか。そのうち300キロを超える日が8日もあるじゃないか。・・・花丸どころじゃないな。ご褒美が欲しいくらいだ。

きっとあれだ。あの星空や、あの夕陽や、あの風や、あの雲や、あの笑顔や・・・僕が見たすべてが・・・ご褒美だったんだ。余りあるご褒美だ。

37日間。総距離・・・9006キロ。

これは目指した距離なんかじゃない。そもそも目指した距離なんてない。迷ったり、戻ったり、同じ道を行ったり来たり・・・行きたい場所へ好きなように走った・・・ただの結果。
ほんの少し誇れる・・・ただの結果だ。

9000キロを超えるほどの夢を見たんだ。
そう想うほどに・・・瞬間に感じ続けた、幸せな気分が蘇ってくる。

リトル・フィロソフィ

2010-10-16 01:58:04 | 2010夏北海道ツーリング~旅日記
旅の目的は・・・ない。

旅のプランは・・・ない。

どうしよっかなぁ・・・旅の目的とプラン。どうしよっかなぁ・・・やっぱりあった方がいいよなぁ・・・目的とプラン。
そんなことを想いながら始まり、そんなことを忘れて旅は終わった。

自分探しとか、出会いを求めてとか・・・そんなもの、探して見つかるもんじゃないってこと。
美味しいものを食べるとか、綺麗な景色を見るとか・・・そんな当たり前のこと、目的にもプランに当てはまらなそうだ・・・。

とりあえず、ノープランで行ってみよう。走ってみよう。旅の目的を探す旅。・・・なんだそれ?


目的を持たない、気ままな旅だった。

行きたい場所はあったが、行けなくても構わなかった。たどり着きたい場所は設定したが、たどり着かなくても気にはしなかった。
朝起きて、テントを畳んで、荷物をバイクにくくり付けて、エンジンをかけて、ヘルメットを被りグローブを付けてアクセルを吹かす・・・あれ?どこへ向かうか、まだ決めてないや・・・そんな旅だった。天気予報ではなく、雲の流れを見て行く先を変更する。道に飽きて道を変える、つまり目的地の方角を変える。北へ向かっていたはずなのに、いつの間にか進路は東に向いている・・・そんな旅だった。

そう、ふと気づいたんだ。目的が・・・気まま。どれだけ気ままに旅ができるか・・・それが目的になっている。

時に運命に身を委ねる。例えば、それは出会いだったりもする。気ままな旅だからこそ、身を委ねられる。気ままなんだから当たり前だ。出会いは啓示であり、それに従うのが運命だったりもするのだろう。プランが無くて良かったと想う。偶然や啓示や運命や気紛れにプランを壊されることもない。

時々人にこう聞かれる。
じゃぁ、これから最北端を目指すんですね?・・・僕はこう答える。稚内は最初の方に行っちゃいました。えっ、どういうルート?・・・ルート、ないんです。
時々人にこう聞かれる。
道東から来たのなら、これから西へ向かうんですね?・・・僕はこう答える。これからまた道東に戻ります。えっ、なんで?・・・なんとなく。

それが、気ままってことだ。

去年は北海道一周を目指し、自分なりに達成をした。今年は・・・目的がないのだから、達成するものがない。生き抜いたと言う程に、生き抜くのが大変な場所ではない。

ならば、何を得た?・・・僕はこの旅で何を得た?


多分・・・何も得てはいない。残念だ。笑っちゃうくらいに残念だ。


旅から生まれた小さな「哲学」が三十七個。
そう、ただ三十七個の小さな哲学を、ポケットに入れて持ち帰って来ただけなんだ。

ただいま。ただいま。ただいま。

気ままな旅がくれた小さな哲学とオホーツクの荒波が削った小さな石ころ、それが君へのお土産だよ。