ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

田中大輔語録。その九。

2013-03-22 00:15:49 | Weblog
田中大輔は元旅人である。

僕が田中大輔に出会ったのは、バイクとテントで、一ヶ月、北海道を旅する・・・少し前のこと。

田中、大輔は元旅人である。
北海道についても、かなり詳しい。
今は閉鎖されてしまったキャンパーの聖地と呼ばれていた富良野鳥沼キャンプ場のこと。上富良野日の出公園キャンプ場や上士幌航空公園キャンプ場が無料だった頃の話をしてくれた。情報が少々古いのは仕方が無い。なにしろ、かつての旅人なのだから。

北海道へ行くために、僕は一度仕事を辞めた。
田中大輔は、僕にはなむけの言葉をくれた。

「おまえなんて、脚を折っちまいな。」

???

聞くと、外国では、旅立つ人に向かってそう言うのだと言う。英語で言ってくれるならまだしも・・・日本語だったので、なんだか格好が良くなかった。

大ちゃんは、脚を折っちまいな!と、三回くらい言っていた。三回とも、言った後に、「外国ではね・・・」と説明を付け加えていた。

僕らの会社には、温度計があった。

「大ちゃん、おれ、温度計が欲しいんだよね。餞別に、温度計をチョッパって来てよ。電池切れのやつでいいからさ。」

「いやぁ、そういうのはダメでしょ?窃盗だよ?窃盗。」

田中大輔は、ブツブツ言いながらその場からいなくなり、戻って来た時には、真新しい温度計の箱を手に隠し持っていた。

おもむろに温度計の入った箱を地面に置く。そして言う。

「ん?なんか落ちてるよ。」

「わぉ!新品じゃん!やったぁ!ありがとう!」

「ん?なんのことかな?さっぱりわからないなぁ。」

田中大輔。ちょっと面倒臭いが、いい奴なのである。

それからずーっと。もう四年半かな?僕のバイクには、田中大輔からの餞別の温度計が付いているんだよ。