ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

シアワセノカタチ。5

2014-10-06 20:29:58 | Weblog
入院中の話。

ある土曜日の話。

売店の前にある憩いのスペースでザクリッチを食べながらボケーっとしている僕に向かって歩いてくる人がいる。

「やぁ、こんなところにいたんだ。病室にいないから探しちゃったよ」

えっと・・・誰だっけ?

つまり、身内以外は病院の場所は知らないわけで、お見舞いの予定は入っていないわけで、つまり、この病院で僕の事を知っているのは、医者か看護師か売店のおばちゃんか、入院患者くらいしかいないわけで。

えっと・・・どちら様でしたっけ?

となるわけであるよ。

声の主が、僕の目の前に立っている。

僕は言ったね。僕は、こう言ったね。

「えっ?なんで?・・・こーかたさん?」

つづく。

シアワセノカタチ。4

2014-10-06 17:16:09 | Weblog
入院中の話。

売店の前に、ちょっとした憩いのスペースがある。
いくつかの椅子と、窓の外に見える上越の山々。

自力で歩けるようになってからというもの、病院の敷地外の土手のベンチと、売店の前の憩いのスペースが、僕の居場所となった。

午後3時には、売店でアイスを買って食べるのが日課。

ある晴れた土曜日の話。

その日も、僕は売店でアイスを買った。憩いのスペースでアイスを食べる。

アイスは毎日「ザクリッチ」。ザクリッチ、知ってる?ザクリッチ、美味しい。
他のアイスは補充されるのに、ザクリッチは補充されない。つまり、ザクリッチは、いつかなくなってしまう。人気がないのか、ザクリッチには、売れないアイス特有の、霜ってやつがたくさん付いている。美味しいのに。
いつの頃からか、売店のザクリッチを買い尽くすってのが、僕の目標となったのである。

ある晴れた土曜日のこと。ザクリッチを食べていた時の話。

「やぁ!」と僕に声がかかった気がした。

顔を上げると、誰かがこちらに向かって歩いてくる。

うーん・・・誰だっけ?どこかで見たことがあるような気がするなぁ。
なんか、誰かに似ている気がするなぁ。とね。僕は想ってね、キョトンとした顔で、歩いてくる人を見ていたんだよ。

つづく。