むかしむかーしの話。
ロンドンから手紙が届いた。
僕はまだ、二十歳を少し過ぎたばかりだった。
手紙の主は、友達か?と聞かれれば、「そうでもない」と答える。
まだ会ったこともない、友達の友達というやつだ。
なぜ友達の友達から手紙が届いたのか?
たぶん、友達が僕のことをその友達に伝えたからだと想う。
そういうことって良くあるのか?と聞かれれば、滅多にはないことだが、「たまにある」と答える。
なぜロンドンからの手紙だったか?
それは、そいつがその年にロンドンの大学へ一年間留学していたからだ。
詳しい顛末は、忘れた。その手紙に何が書いてあったのかも忘れた。もしかしたら、その手紙は僕宛だったのではなく、友達宛の手紙の中に僕のことが書いてあり、それを友達が見せてくれただけだったのかもしれない。昔の話すぎて、そのほとんどを忘れてしまった。
手紙の内容は忘れてしまったが、一つだけ覚えていることがある。
手紙には写真が一枚同封されていた。
リバプールの「キャバーン」というライブハウス。ビートルズが演奏していたというライブハウス。そのライブハウスの階段に格好つけながら座っているそいつの写真。
もしかしたら、そのライブハウスはキャバーンではないかもしれない。そこらへんにあるただのライブハウスかもしれない。僕が勝手にキャバーンだと思い込んでいるだけなのかもしれない。まぁいい。
話だけは何度も聞いていたそいつなのだが、その写真で初めてそいつの姿を知った。
「ずいぶんとスカしたヤツだな」と僕は想った。ような気がする。
僕の友達は、そいつを僕に会わせたがっていた。そいつも僕に会いたがっていた。そんな感じだったような気がする。
僕はその頃、「人」に興味を持たない時代を生きていた。だから、僕がそいつに会いたかったかどつかはまったく定かではない。「べつにどっちでもいい」・・・そんな風に想いながら生きていた僕の時代だからである。
そいつは、浪人をして大学へ入った。
僕は現役で大学へ入ったが、二年目と三年目はほとんど大学へは行かなかった。お陰様で、僕は大学へ一年余計に行く羽目になる。
つまりこういうことになる。
大学へ入って一年目に、僕は友達から浪人中のそいつの存在を知らされる。
そいつが大学へ入ってからの二年間は僕が大学へは顔を出さない期間である。
僕が仕方なしに大学へ通い始める四年目に、そいつはロンドンの大学へ留学したと。
つまりは、まったくのすれ違いであり、運命はまったく同期しないのである。面白いくらいに。
お互いの存在を知りつつも、四年間。思春期の四年間。
ロンドンからの手紙を読み、スカしたそきつの写真を眺め・・・僕はそいつへ返事を書くことにした。
ロンドン宛の手紙である。
つづく。
注)書きながら思い出したりしながら書いている。支離滅裂度がいつも以上なのは容赦いただきたい。
8/26(土) 下北沢lown
「月に向かって吠えるライオン」
sing from trash box jam)
open 18:00 start 19:00
ticket 2500yen plus drink
ロンドンから手紙が届いた。
僕はまだ、二十歳を少し過ぎたばかりだった。
手紙の主は、友達か?と聞かれれば、「そうでもない」と答える。
まだ会ったこともない、友達の友達というやつだ。
なぜ友達の友達から手紙が届いたのか?
たぶん、友達が僕のことをその友達に伝えたからだと想う。
そういうことって良くあるのか?と聞かれれば、滅多にはないことだが、「たまにある」と答える。
なぜロンドンからの手紙だったか?
それは、そいつがその年にロンドンの大学へ一年間留学していたからだ。
詳しい顛末は、忘れた。その手紙に何が書いてあったのかも忘れた。もしかしたら、その手紙は僕宛だったのではなく、友達宛の手紙の中に僕のことが書いてあり、それを友達が見せてくれただけだったのかもしれない。昔の話すぎて、そのほとんどを忘れてしまった。
手紙の内容は忘れてしまったが、一つだけ覚えていることがある。
手紙には写真が一枚同封されていた。
リバプールの「キャバーン」というライブハウス。ビートルズが演奏していたというライブハウス。そのライブハウスの階段に格好つけながら座っているそいつの写真。
もしかしたら、そのライブハウスはキャバーンではないかもしれない。そこらへんにあるただのライブハウスかもしれない。僕が勝手にキャバーンだと思い込んでいるだけなのかもしれない。まぁいい。
話だけは何度も聞いていたそいつなのだが、その写真で初めてそいつの姿を知った。
「ずいぶんとスカしたヤツだな」と僕は想った。ような気がする。
僕の友達は、そいつを僕に会わせたがっていた。そいつも僕に会いたがっていた。そんな感じだったような気がする。
僕はその頃、「人」に興味を持たない時代を生きていた。だから、僕がそいつに会いたかったかどつかはまったく定かではない。「べつにどっちでもいい」・・・そんな風に想いながら生きていた僕の時代だからである。
そいつは、浪人をして大学へ入った。
僕は現役で大学へ入ったが、二年目と三年目はほとんど大学へは行かなかった。お陰様で、僕は大学へ一年余計に行く羽目になる。
つまりこういうことになる。
大学へ入って一年目に、僕は友達から浪人中のそいつの存在を知らされる。
そいつが大学へ入ってからの二年間は僕が大学へは顔を出さない期間である。
僕が仕方なしに大学へ通い始める四年目に、そいつはロンドンの大学へ留学したと。
つまりは、まったくのすれ違いであり、運命はまったく同期しないのである。面白いくらいに。
お互いの存在を知りつつも、四年間。思春期の四年間。
ロンドンからの手紙を読み、スカしたそきつの写真を眺め・・・僕はそいつへ返事を書くことにした。
ロンドン宛の手紙である。
つづく。
注)書きながら思い出したりしながら書いている。支離滅裂度がいつも以上なのは容赦いただきたい。
8/26(土) 下北沢lown
「月に向かって吠えるライオン」
sing from trash box jam)
open 18:00 start 19:00
ticket 2500yen plus drink