ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

しんぐくんは、霞を食べて生きているの?そうだよ、霞とナスを食べて生きているんだよ。

2017-08-24 07:05:32 | Weblog
夢追い人は、切なさを抱えながら生きている。


僕の部屋からは、小さな空が見えた。・・・小さな空しか見えなかった。
四角く切り取られた小さすぎる空。


ロントモの部屋へ遊びに行くと、帰りはいつも始発が出るような時間だった。

きっと、僕らは、同じような不安と切なさを抱えていたのだと想う。

僕らはともに大学の四年生である。
大学には就職部というものがあって、つまりそこは、大学版のハローワークみたいなもので、三年生から四年生にかけて、みな頻繁に出入りをする場所である。なんのためか?・・・就職先を決めるためだ。

僕は就職部に足を踏み入れたことがないので、詳しいことは知らない。
ロントモは四年生になってから就職部を訪ねてみたら、担当の人にこう言われたらしい。

「今頃来て、何なの?」

僕らはずっと敷かれたレールの上を歩いて来た。そして、この先、僕らの前にレールらしきモノはまったく見当たらない。

夢を追うんだ。霞を食って生きていくんだ。

就職部なんてクソ喰らえだ。というわけだ。

僕らはきっと、あふれんばかりの不安を抱えていたのだと想う。
やんややんやと騒いで、ケラケラと笑って、クソ喰らえと悪態をついて、おれたちは特別だと息巻いていたのだとしても、結局、心の中は、抱えきれないほどの不安でいっぱいだったのだと想う。

なんたって、若干22歳。

僕は音楽家になる。と言った。
ロントモは、小説家になると言った。

本気だ。

僕にとって、ロントモはとても大切な存在だった。
荒波に出会う時は、いつも、ロントモの存在を探した。
荒波に出会いそうな時も、いつもロントモを探した。

話しかけるのは、いつもロントモだった。
実際に話しかける時も、実際には話しかけない時も。
奴もきっと、そうだったんだと想う。

かけがえのない存在。そういう存在があるということを、僕は知った。


自分の部屋へ帰って来て、テレビを点ける。
まだ朝早い。
放送が始まる前のカラーテストの画面が映っている。
僕は窓辺に寄りかかり、四角く切り取られた小さな空を見上げながら、小さな声で唄を歌った。

つづく。


「薔薇色の憂鬱」

空から墜ちてくる雨が今も僕を責めてる
大切なモノに気づいた人はみな悲しいね

退屈な時の波 僕はやり過ごせない

薔薇色に染まる空 天使たちのステージさ
小さすぎる空から はみ出してしまう


テレビに映るいくつもの色を僕は数えて
始発の電車に揺られてる憂鬱を眺めてる

のら犬と今の僕 どこか似てる気がする

ラベンダーの香りと オレンジ色のルージュ
探してたものは何? 風がかき消す


8/26(土) 下北沢lown
「月に向かって吠えるライオン」
sing from trash box jam)

open 18:00 start 19:00
ticket 2500yen plus drink