ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

#4 こいつはこう見えて稀代のソングメーカーなんだよ。とかプッシュしてくれてもいいと想うよ。

2017-08-31 16:05:34 | Weblog
Fallin' Child at 下北沢lown

四曲目。「Fallin' Child」(trash box jamのアルバム Melodyに収録)。

大学から徒歩数分の場所にあるミウラの部屋である。

ミウラが言う。

「シング、彼女いたよな?」

いないよ、と僕は答える。

「あれ?いなかったっけ?」

いや、いないね。と僕は答える。

「そっか・・・いなかったっけ?」

いないねぇ。と僕は答える。

「いや、やっぱいいたよな?」

いないんだなぁ。と僕は答える。

「なるほど、別れたってことか・・・そういうことか」

・・・。僕は答えない。


そんなわけで、ミウラが同棲している彼女と、その彼女の友達と、四人でご飯を食べに行くことになった。

持つべものは友なのかどうかは、僕には分からない。
飯は食いに行ったが、その後、ミウラが何をしてくれたというわけではない。もつちょっとプッシュしてくれても良かったんじゃないかと、思わないでもない。

とにかく僕は、アキコちゃんという女の子に出逢い、唄を作り、ロントモの部屋へ行き、その唄を聴かせ、いい曲だと言ってもらい、ご機嫌になって、その曲を「フォーリンチャイルド」と名付けた、という話なのである。

ただそれだけ。

ただ、すべてを唄にする。
「すべてが唄になる」。
その頃の僕は、ずっとそんな毎日を過ごしてた。


フォーリンチャイルドの動画、ビデオ班の「カミー」がYouTubeにアップしてくれました。
どうぞご覧くださいな。

#3 大学の最長在籍可能年数は、8年ですよ。

2017-08-31 09:02:17 | Weblog
三曲目、「Rain」(trash box jamのアルバム、Balladに収録)。

ロントモと僕が、「最悪の十月」に大失恋をしたという話は書いた。

アキコちゃんという女の子を紹介してもらって、フォーリンチャイルドという唄を書いたという話も書いた。

フォーリンチャイルドという唄を書く前に書いた唄が「Rain」だった。

大学に「南極越冬隊」という名前の軽音サークルがあったという話を、だいぶ前に書いた気がするのだが、ブログ内検索で「南極越冬隊」を検索しても出てこないから、書いていないのかもしれない。ははは。仕方がない、書くかな。

南極越冬隊に、ミウラという友達がいた。入学した時に同じクラスだった男だ。
僕は二回目の三年生を過ごしていたのだが、ミウラも二回目の三年生だった。ダブリ仲間。
余談だが、ミウラはその後もダブリ続け八年間大学に席を置き、そのまま退学したらしい。すげぇなぁ。

僕は南極越冬隊の部室を訪れた。ミウラを訪ねるためである。
なんのために南極越冬隊の部室を訪れたか?それは・・・失恋して、心も体も暇だったからだと想う。

果たして、ミウラは部室にいた。
ミウラは講義にはちっとも出てこないのだが、大学には来ている。大学には来ているのに、講義には出ないからダブる。大学に来て講義には出ずに何をしているのか?・・・ずっと、南極越冬隊の部室にいるのである。
ちなみに、僕の場合は、二年間、大学自体にちっとも来なかったからダブった。

南極越冬隊の部室にいる僕とミウラ・・・別段やる事がない。やる事がないのは気まずい。特に、僕は部員でもなんでもないので、やる事がなくて気まずいのに部室に居続ける理由がない。せっかく訪ねて来たのに、これで帰るってのも、来た甲斐がないってものだ。

「なぁミウラ、オレの新曲のギターアレンジしてくんないかな?」

南極越冬隊とは、決して南極に行って冬を越す特殊部隊なわけではなく、うちの大学の軽音楽サークルなわけであって、南極越冬隊に所属するミウラはもちろんのことギターを弾くわけである。

いいよ。とミウラは言った。

僕は、ミウラのギターを借りて作ったばかりのRainを歌った。

いい曲じゃん。とミウラは言った。

アレンジしよう。とミウラは言った。

録音しよう。とミウラは言った。

南極越冬隊の部室で、Rainのレコーディングが始まった。

南極越冬隊の部室は、南極越冬隊の部員の部屋であり、だからつまり、部員が出たり入ったりする。知らない人がレコーディングをしているのを見て不思議そうな顔をしたりもしている。

一学年下だが今は同学年の女の子にミウラが声をかけた。

「エビちゃん、ピアノ弾いてくんない?」

いいよ。とエビちゃんは言った。

僕とミウラのレコーディングに、ピアニストのエビちゃんが加わった。

僕がアコースティックギターでバッキングを弾いて、ラフテイクのボーカルを入れた。
続いて、ミウラがアコースティックギターでほぼ即興でリードパートを入れた。
最後にエビちゃんが、書き出したコードを崩しながら、ピアノを入れた。

これで4トラック。完成。

ミウラもエビちゃんもうまかった。イカしたフレーズがいくつもあった。

エビちゃんに礼を言い、ミウラとは一緒に飯を食食う約束をし、僕は南極越冬隊の部室を出た。

バイク置き場に足を向けながら、僕はつぶやいたのである。

「すげぇのが出来ちゃったなぁ・・・」。

僕の手には、録音したてのカセットテープが握られていた。

数年後、僕はRainを録り直した。
ミウラとエビちゃんが弾いてくれたフーズをふんだんに取り入れて。


「Rain」

君の瞳に映る全ての安らぎが
今の僕には悲しみにしか映らない

時計の針が戻せるなら
ため息の色もきっと変わるさ
いつものいつものキスをしてよ

君と出逢ったことがもしも間違ってないのなら
僕はこの悲しみをいつまで背負えばいいのか


過ぎ去った時間に価値なんてありはしないよ
雨音に紛れて傷跡だけが降り注ぐ

壁の落書きが消せたように
あの日のままの二人がいるから
笑って見せてよ僕のために

君と出逢うためだけに僕は生まれてきたのだから
僕の鼓動の中の傷跡全てを拭って