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スケルトンハウス‐きまぐれCafe

生活とビジネス

そのときの思いや状況で、いろいろなことを話し合ってきた喫茶店。きまぐれに、思いつくままに・・・

サーバ室の熱対策

2009-05-30 09:24:44 | デジタル・インターネット

 わが社では情報システム機器を本社サーバ室に集約し、運用管理しています。このサーバ室は18㎡ほどの広さ、約45?の容積で、サーバやネットワーク機器を満載した、高さ約2m19インチラック4台と高さ約1.3メートルのラック1台を設置しています。排熱対策としては、7年前に購入した、定格冷房能力14kWの天吊型エアコン1台を室温設定20℃で運転しています。

 

 現在のサーバ室自体、5年前の状況に合わせてエリアスペースを決めたものであり、サーバやネットワーク機器も現在の3分の1だったと言っていいでしょう。

 

 拠点の増加やネットワークセキュリティの強化、ファイルサーバ類の増設などが数年来続いた結果、現状ではサーバ室が狭小になり、排熱量がエアコンの処理能力を上回るようになりました。最近14か月間でエアコンの室温監視システムのアラートが50回近く発せられています。

 

 

 

 

Photo  216日朝、システム室に踏み込んだ途端、ムッとした熱気に包まれました。サーバ室とシステム室の境のドアが解放されており、そこから熱い空気が流れ出ていたのです。

 

私より30分先に出勤している担当者に、どうしたのか尋ねると、出社してサーバ室を覗いてみると、サーバ室の温度が29℃近くになっていたのでとの返事が返ってきました。早急に室温を下げなければならないので、セキュリティ標準を解除する緊急対応事項と考え、サーバ室の社内通路に面したドアも直ぐに開けるように指示しました。過去の経験ではこの処置で室温は低下し、基準としている温度になるのですが、今回は一向に改善しませんでした。

 

 

 

 

ついに、217日の午後に室温が39℃近くまで上昇し、グループウェアのサーバがダウンしてしまいました。取り急ぎ関係部署に連絡をとり、社内にある家庭用扇風機3台とビルメンテンナンス用の業務用扇風機1台を借り受け、サーバ室内に空気の流れをつくることにしました。この処置でサーバ室の温度は28℃前後を保つようになりました。

 

退社後の処置として、システム室のエアコンを冷房22℃で運転させ、サーバ室とシステム室を隔てるドアは解放しておくようにしました。この処置はある程度功を奏したようです。朝のサーバ室の温度は25℃程度を維持していました。その後考えられる幾つかの緊急避難的な処置を試してみましたが、あまり効果はありませんでした。

 

メーカーの担当者と話をしても、エアコンに異常はなく、室温が低下しないのはエアコンに過負荷運転を強いているからだとの言葉しか得ることができません。

 

 

 

 

 224日夕、明日からはサーバ室のドアを閉鎖して、室温の変化を観ることにしました。このテストは3日実施しましたが、この間室温が27℃前後を維持していることから、エアコン自体は故障しておらず、室温を22℃にする負荷を何らかの機械的要因で拒否しているのではないかと思うようになりました。

 

 エアコンメーカーに、サーバ室内収容機器の消費電力リストを提出し、わが社のサーバ室環境で室温22℃を維持できるエアコンを提案するよう依頼しました。

 

 一方で、エアコンを補助し、熱溜まりを解消するための、サーバラックに取り付けるサーバクーラーについても検討しました。

 

 何れにしても早急に新たな排熱対策を実施しなければなりません。

 

サーバ室の面積を排熱量に見合うよう何倍にもする、或いは最近頻繁にPRされているソリューションに合わせてサーバ室を作り変えるとかの案は現状のテナントスペースにおいて現実的ではありません。

 

 

 

 

わが社のサーバ室は狭小です。冷静に観察すれば、「サーバラック列で冷却する」ソリューションの“サーバラック列”そのものがサーバ室なのだ考えることもできます。(チョット乱暴かな?)

 

 そう考えれば、サーバ室に冷却能力が倍以上のエアコンを設置し、その後には温度データロガーを設置するなどして排熱監視を続け、熱溜まりが発生するようなら、その原因となっているラックを“クーラー付きのラックにする”とかの個別対策や“排熱を囲い込んで室外に排出する”といった抜本的対策を考えればいいと思います。

 

 

 

 

何せ目に見えない温度を相手にした戦いです。排熱対策ソリューションはいくつかありますが、自社の状況、状態を客観的に捉え、分析して、少し時間が掛っても現実的な対策を打っていくことが肝要だと思います。

 

 

 

 

<豆知識>

 

 サーバ室の排熱処理を考えるには、当然のことですが、理論値で構わないので

 

①総排熱量の測定

 

②除去すべき熱量の算定(基準とする室温と機器の総排熱量に基づく発生温度との差)

 

が必要となります。

 

このとき欠かせないのが、各機器の消費電力量を求めることです。機器の「取り扱い説明書」等に“消費電力○○kW”と表示されています。この「kW」は「kWh」のことです。

 

 UPS(瞬断無停電電源装置)の消費電力は内部消費電力が排熱となります。内部消費電力は「[入力電力][出力電力]」で求めます。

 

 

 

 

中学生のときに物理の授業でやった単位の換算方法を思い出し、整理してみました。

 

 ・電力(W)=電圧(V) ×電流(A)

 

Photo_6    電力の単位はW(ワット)です。左図の回路で電源の電圧が1V(ボルト)で抵抗 に1A(アンペア)の電流が流れていれば、抵抗は1Wの電力を発生していることになります。

 

   つまり、この抵抗が機器に該当します。

 

  ・次に、電力を熱量にまで換算します。

 

  1kW=1W×1000

  1kWh=1kW×3600[] = 3600kJ[ジュール]

  4.2J1cal

 

3600kJ÷4.2J/cal857kcal

 

∴ 1kW857kcal

 

 

 

 

 【例 題】

 

  ・消費電力が1150Whと表示されたサーバの発熱量

 

    1150Wh÷1000=1.15(kWh)

    1.15×857=985.55kcal

    1kcalは約1℃と考えていいでしょう。

 

  ・発熱源となるものが何もない状況で、室温が22℃のとき、このサーバを運転し、室温を22℃に保つために除去すべき排熱温度は、

 

    985.5522963.55(kcal)

    963.55÷8571.12kWh

    ∴ 理論上は、1.12kWhの冷却能力を有するクーラーをこのサーバに適用すれば、室温は22℃に保たれることとなる。





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