2009年9月に実施された衆議院議員総選挙で、自由民主党から民主党への政権交代を実現しました。これにより、1955年(昭和30年)11月の戦後保守合同で結党された自由民主党は55年間の政権の座から降りることとなりました。
さて、我々はこの総選挙でなにを期待して民主党政権を誕生させたのでしょうか。
人それぞれに思いは異なるとは思いますが、大多数的には自由民主党の長期政権下、内輪での馴れ合いや政治・経済・社会保障等の閉塞感にピリオドを打ちたかったのではないでしょうか。
政権政党が換わることにより、前政権において閉塞感を齎していた原因を優先的に排除して欲しいとの思いが強かったのではないでしょうか。
そして、イギリスやアメリカのように、政権交代が当り前であり、政権交代があっても社会基盤に関する行政の安定が保証される制度運営が確立されることを望んだのではないでしょうか。
自民党の物真似でもなければ、長期政権でもない。
議会、内閣、行政の全てが、自己保身中心の内向き理論で物事を考えるのではなく、常に国民目線で必要な政策を考え、制度作りが迅速に成され運営されること。経済面では安定的微インフレの維持が成される政治介入を。憂国の情をもって事に当たる国家のリーダーたる立法・行政集団・組織を望んでいるのではないでしょうか。
その為に、与党(政権政党)も野党もinnovatorであることを我々は望んでいるのだと思います。
『事業仕分け』だけがinnovationではありません。金銭的効率性のみに基づいて『事業仕分け』を行うと、誤った結論を齎すことがあるという事にも気づいて貰いたい。時には国家としての“見栄”や“体裁”も必要だということも考えに入れておいて欲しいものです。
何よりも良くないのは、議会や省庁の内向き理論によるお手盛り予算であったり、政策の決定協議を議会以外の料亭で密かに行ったり、議会では対立政党との非難合戦ばかりを行ったりと、なんとも幼稚で恥かしいばかりです。
『事業仕分け』を公開で実施したように、政策や立法の決定協議を議会で正々堂々と行い、対立政党との非難合戦、足の引っ張り合いこそ夜の帷に紛れて、料亭や私邸で行ってもらいたものだと思います。
我々は、innovatorとしての期待を込めて政権交代に結びつく投票をしているのだということを、現政権政党の民主党に限らず、全ての政党に、真摯に受け止めて貰いたいものです。