スケルトンハウス‐きまぐれCafe

生活とビジネス

そのときの思いや状況で、いろいろなことを話し合ってきた喫茶店。きまぐれに、思いつくままに・・・

ブラック企業に勤めております。

2018-07-14 08:42:38 | 本、雑誌とCD、DVD

 要はるさん著作の「ブラック企業に勤めております。」を購読しました。

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書名: シリーズ1;ブラック企業に勤めております。
   シリーズ2;ブラック企業に勤めております。 その線を越えてはならぬ
   シリーズ3;ブラック企業に勤めており ます。仁義なき営業対決
〔A6判;文庫本〕
著者:要はる
発行所:株式会社 集英社
初版発行日:シリーズ1 ;2016年11月18日
          シリーズ2 ;2017年5月24日
           シリーズ3 ;2017年10月20日
ジャンル;ラ イトノベル




 BOOKデータベースには、次のように記されています。

シリーズ1;「ブラック企業に勤めております。」
 イラストレーターになる夢を叶えるため、家出同然で東京へ出てきた夏実。けれど、イラストの仕事だけでは食べていけなかった。夢破れ、親に内緒で地元へ戻ってくる。ともかく、生きるためには働かねばならない。夏実は面接18社目にしてようやく、タウン誌を発行する会社の事務員として採用される。だが、そこは個性的すぎる面々が集う、超絶ブラック企業で!?

シリーズ2;「ブラック企業に勤めております。その線を越えてはならぬ」
 イラストレーターの夢破れ、こっそり地元へ戻った夏実。なんとか就職した先はクセモノ社員ばかりのブラック企業・B社K支店。毎朝会う「青い自転車の君」を心の支えに奮闘する日々だ。そんなある日、人手不足のK支店に、他支店から早乙女が助っ人としてやってくる。木村主任とともに、新支店の支店長候補と噂される人物だ。そのせいか、なにかと二人は張り合い…!?

シリーズ3;「「ブラック企業に勤めております。 仁義なき営業対決」
 川原が去り、中杉支店長のもと新体制となったK支店。夏実は、川原とは違うタイプの厄介者である中杉や、相変わらずの面々に振り回される毎日。そんな中、K支店を拠点として、市制八十周年記念のシティガイドを制作することに。複数の支店が参加する大きなプロジェクトだ。各支店から集められたのは、選りすぐりのクセモノたち。夏実のストレスは溜まる一方で…?


 私は2015年8月から2017年6月まで三つのアルバイトをしていました。そのうちの一つに「くらしのガイド」と称するタウン情報誌(フリーマガジン)の出版に関するアルバイトがありました。区分されたエリアの①広告主募集活動②地図調査(発行冊子の対象エリアにある建物、住宅については表札ベースでの名字確認)と③完成冊子の配布。
 この冊子は、この地区では十数年前から作成・配布されているものでした。
 私の担当は区分された6地区を8か月ごとに4年がかりで一巡し繰り返す、その内の②と③ということで始めたのですが、成行きで①広告主募集活動(スポンサー営業)も最初の地区の1回だけしました。
 しかし、スポンサー営業において、金銭面については契約出来高ベースの集金額に対する歩合によるものであり、経費も精算時までの出来高に対する担当者取り分(歩合給)の中からの支出になるということで、営業担当者にとっては、スポンサー巡りに要する自動車(マイカーの持ち込み)のガソリン代や償却費なども個人負担する仕組みでした。この個人負担の重さから、スポンサー営業は割に合わないと思い、二回目からはスポンサー営業を止め、初期の応募動機に立ち返って地図調査及び完成冊子の対象エリア住戸への配布(ポスティング)のみやることにしました。今思えば、スポンサー営業の一部を社長がやっていたようです。

 ここでの“経費もその時までの出来高に対する歩合給の中からの支出”という運営の在り方がブラックだと思います。
 また、この本、「ブラック企業に勤めております。」シリーズの記述とは違って、スポンサー営業を、広範囲に展開するために、正社員を雇用するのではなく、一時雇用のアルバイトで賄おうとしていたのも、ブラック的考え方だと思います。

 発行エリア毎にスポンサー募集が行われ、2か月程度遅れて地図調査と冊子完成後の発行冊子ポスティングの依頼が会社からありました。
 しかし、2017年夏には、既に次の情報更新地域の冊子がポスティングされていてもおかしくない時期になっても連絡がありませんでした。過去の経験から、すでに依頼があって、ポスティングをしていてもおかしく無いのに・・・、他に適任者が見つかったのかなと思っていましたが・・・。

 風評では、以前からこの地区のスポンサー営業をしていた人が辞めたらしい。でも、後任者も見つからず・・・

 確認のため会社に連絡してみることにしました(2018.05)。繋がった電話は「この電話は使われていません」とのNTTのメッセージ。社長の携帯電話も同様のdocomoのメッセージ!Webの検索にもホームページがヒットしなくなっており、ホームページも閉ざされていたようです。

 どうやらこの会社は2017年8月頃に事業撤退・廃業したようです。更に、2018年5月には、破産手続きを開始したようです。

atom-bankruptcy


 この小説に登場する、主人公・佐倉夏美が勤めるB社を、作者は超ブラック企業としています。
 残業代が出ない。有給がなかなかとれない。社内禁煙は無視されている。8時始まりで8時半まで或いは、それ以降の時刻まで朝礼があり、朝礼の時間は仕事(勤務)と看做さないなど。更に若い人たちから3K(細かい、厳しい、怖い)常務と揶揄されるような人が出てきた日には、見事なブラックぶりです。

しかし、私の年代(1960年台後半に就職した年代)の者にとっては、この会社の在り方は、当時としては普通であり、3K常務のような社内権力を持った人がいなければ会社に節操が無くなり、存続が難しくなると考えられており、決してブラックではなかったと思います。ある部分は時代の変化がブラックとしていると思います。我が国の中小・零細企業に限らず、大企業においても、この様な会社は多々存在します。だからと言って良いのではありません。現在で言うなら、このようなことに疑問を感じさせないところがブラックなのです。

 残業や休日出勤について、営業マンや事務員の裁量に任された部分について、後日の報告で上司が認め命令したことにするなどの制度運用の実行や、定時出社・定時退社若しくは定時後一定の休憩時間を取らせた後の就業を残業として把握してくれる制度運用をしてくれていれば、また、休日出勤や残業について事後報告も認めてくれていればまともな企業といえるのではないでしょうか。

 人は往々にして他との比較をしがちです。自社の在り方よりも従業員が優遇されていると思える他社があれば、自社をブラック企業と断じてしまうようなところがあります。
 これが悪いとは言いません。でも、その前に、会社の企画や総務、業務、人事といった制度運用責任部署に対して、他社の素晴らしいと思える在り方を真似るような改善ができないかといった話をする努力をしたのだろうかということです。会社といえども万能ではありません。継続を第一に考えています。従業員の希望全てが掴みきれているわけではないと思います。

 B社がブラックであるとすれば、社内の決裁者や権力者の胸三寸で全てが決められ、①会社の制度が全従業員に明確にされておらず、営業や事務員の事後報告を認めず、実施してしまったことについても、全て決裁者による事前命令による以外は認めないとか、②従業員の就業に時間的制限を設けないとか、③会社が展開する事業そのものにおいて、顧客への説明が十分になされず、顧客であるスポンサーにとって、その費用対効果が不明確であるという点ではないかと思います。


<参考;勤務時間について>

1.労働時間〔労働基準法 第32条〕
 労働基準法では、労働時間は原則1日8時間、1週40時間までと定められています。この法定労働時間を超えて労働をさせた場合が、労働基準法の(法定)時間外労働です。これが割増賃金の対象になります。

2.休日労働(休日出勤)〔労働基準法 第33条〕
 労働基準法では、休日は、1週間に1回あるいは4週間を通じて4日以上付与すること定められています。この法定休日に労働をさせた場合が、労働基準法の(法定)休日労働です。これが割増賃金の対象になります。

3. 以上の他、労働基準法労働基準法第37条では、役職手当や家族手当・通勤手当などについても規定されています。


〔勤務形態〕一般的には、以下のような区分を行っている。

(1) 日 勤 ; ① 毎日出勤すること。
          ② 昼間の勤務。 (通常は8時頃から18時頃まで)
(2) 夜 勤 ; 夜間に勤務すること。(通常は日勤終了後から22時まで)
(3) 深夜勤 ; 夜勤の一種であるが、深夜に勤務すること。(通常は22時から翌朝8時まで)
(4)交代制(shift working) ; 1日の操業時間を複数の時間に分け, それぞれを異なる労働者が担当する勤務方式. 2交代制, 3交代制, それらの混合型などがある。医療機関, 輸送機関, 発電所などのようにサービスが長時間にわたる職場, 製鉄業のように技術的理由から連続操業が必要な職場, 生産費用の側面から長時間操業が経済的である職場などで採用されている。
(5) 非常勤 ; 常勤でなく、決まった日・時間だけ勤務すること。




【関係サイト】

 ○ 労働基準法-電子政府の総合窓口e-Gov


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 ○ ブラック企業-『逃げるが勝ち』





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