真黒なチャンプ

少し前、「疑惑のチャンピオン」という映画を見た。
これまた上映館が少なくて、更に時間帯まで限られるというレア作品でありましたが、どうしても大きい画面で見たかったのである。

前評判では、美しい景色の中での迫力ある映像とありましたが、ハイビジョン放送と解像度の高い受信機器の蔓延る現代においては驚くものはありませんでした。
それよりも、この映画の趣旨であるドーピングについて終始する。
ドーピングしないと勝てないという事実を突きつけられ、悪魔に魂を売ったランス。
ドーピングによって引き起こしたかもしれない、「精巣ガン」からの復活を糧として、世間を味方につけた。
そしてセンセーショナルな活躍は、その業界さえも私腹を肥やしたのだった。という物語だろうか。
「ただマイヨジョーヌのためでなく」という彼の著書を読んだことがあるが、白けてしまう。
ドーピングすればだれでもツールでマイヨジョーヌを着れるわけではないのですが、これほどまでに黒かったとは驚いたものです。
現代の組織がらみのドーピングがどれ程凄いものかを知るという意味では、とてもいい作品です。
丁度今、ロシアのドーピング問題が取り沙汰されているが、この映画が良い解説となるのでしょう。