My Favorite Things

写真、舞台、Jazz、バーボン、星空 等々。
私のお気に入りです。

オンディーヌ

2007年05月13日 22時10分14秒 | 観劇

本来ならば妖精と人とが共に時を過ごすことはあり得ないことなのでしょうが、この芝居をみているともしかしたらあり得ることなのかと思ってしまいそうです。
経験豊富な孤高のアルピニストが、登山中に命を落とすと言うことを目にすることがあります。
山だけでなく気象も含めた自然を十分に知った人間が、山と対峙している時にまさかの事態が起きる。
もしかしたら、山の精との約束があったのでは?などと思えてきそうです。

芝居では、野村玲子さんが演じるオンディーヌが繰り返し口にする「あと一月で十五。でも、生まれたのは何百年も前。死ぬってことないんです。」というフレーズ。
このフレーズには、どんな意味が込められているのでしょうか?
どれほどの時が過ぎても、自分の気持ちは変わらぬままということを象徴しているのでしょうか?

自分の気持ちに一途である続けることが当たり前の水の精と、周囲に気を遣い目の前の現れるものに時の心を奪われる人との間では、束の間の時を共にすることはできても、それを維持することは到底無理なこと。
人の心の揺らぎを、皮肉っているような気もしてきます。

芝居の中では、野村玲子さんや石丸幹二さん、日下武史さん等が目を惹きますが、セットも魅力的です。
劇団四季にとって歴史のある芝居だけに、満足度の高いものでした。

浜松町・自由劇場にて