My Favorite Things

写真、舞台、Jazz、バーボン、星空 等々。
私のお気に入りです。

思い出を売る男

2008年06月22日 22時37分22秒 | 観劇

梅雨空から雨が落ちる中、自由劇場での思い出を売る男を観てきました。客席は、下手の通路側にスロープが大きく伸び、戦後の雰囲気のセットとともに独特の雰囲気を作っています。
普段流される開演前のアナウンスもないまま照明が落ちると、舞台中央には1冊の本を手にしたスーツ姿の日下さんの姿が。
キャストでは、乞食のハズでは?。
そんな思いもつかの間、劇団創立55周年記念に創立メンバーの1人としてこの作品を公演することと、劇団四季にとって関わりの深い人であり、この芝居の作者でもある加藤道夫氏の思いを語りました。
日下氏が下手にはけると、再び照明が落ち、スタートです。
数件のバーが並ぶ、どこかのガード下のような場所。
煉瓦ともコンクリートとも見えるグレーの壁。
途中から曲がり、薄暗い明かりを灯す街灯。
街灯からは、電線が客席後方へ伸びています。
街灯の薄暗い明かりに照らされて、「思い出を売ります。・・・」の貼り紙が浮かび上がっています。
田邊さん演じる男はサキソフォーンを吹き、その音色に誘われるかのように、一人また一人と現れ思い出を語り合います。
初めは、まだ8歳のハルミという名の花売娘。
両親を戦争でなくし、ホールで働く女性たちに憧れている無邪気な女の子を大徳さんが演じています。
男のオルゴールに興味を示し、曲の演奏を頼むものの、まだ思い出が無い彼女には演奏する曲が無いことが告げられます。
諦め、ホールの客に男の存在を知らせることを約束して、娘はその場を去ります。
次に現れたのは、腰に太鼓を付け、孔雀の羽をイメージした飾りを頭に付け、銀色の蛇を巻き付けた男が現れます。
味方さんが演じるこの男、最初は何者か解りませんでしたが、その後の会話で広告屋であることが解りました。
才能がない自分には、恥をかくことが金を稼ぐ方法と明るく語り、さらにこの場所を仕切る親父の存在を、男に教えます。
広告屋が去った後、黒い服に身を包んだ女性が男の元に現れます。
ハスキーな声で暗い雰囲気のまま、男と語り始めます。
男が奏でる「巴里の屋根の下」に思い出を蘇らせ、涙ぐむ女。
男は彼女の思い出を次々と語り、それに相槌を打つかのように、戦場へ向かった恋人の話や被災した自宅へ戻ったものの娘の行方が解らないことを語ります。
自分を惨めな女と語る中、男は彼女の思いではいつでも心に蘇ると語り、女は去っていきました。
澄んだ声しか聞いたことが無かった私にとって、重くハスキーな声で陰のある女性を演じた野村さんが新鮮に映りました。
恋人を故郷に残してきたGIの青年は、Jeanie with the light brown hairをリクエストします。
男の演奏に思いを馳せる青年の歌声にあわせ、秋さん演じる恋人がスクリーンとなったグレーの壁越しに美しい歌声を響かせます。
懐がリッチな日下さん演じる乞食の登場に、客席も雰囲気が変わります。
軽快な語り口で、乞食の自分ほど幸せな人間はいないと語ります。
乞食をやめ家族を持ったものの、柵が多い生活に疲れ、妻を亡くした乞食は有り金全てを妻の葬儀に使い乞食の生活に戻ったことを語り、男に曲をリクエストします。
「自由を我らに」のメロディに合わせリズムを取る日下さんの姿が、印象的でした。
最後に現れたのは、広告屋が語っていた親父であり、辺りを仕切っている黒マスクのジョオでした。
博打の途中、人を殺したジョオはピストルを持ち、追っ手の警官から逃れるために、男の服とサキソフォーンを借り演奏を始めます。
歌うことを命じられた男は、ジョオの演奏に合わせて歌うのですが、その曲はあの女が涙をした思い出の曲「巴里の屋根の下」でした。
ジョオは戦場で深い傷を負い記憶を失っていたものの、意識の奥底に眠る記憶がサキソフォーンを吹かせたようです。
男は、街の女の話を思い出し、ジョオに語りかけたとき、再び警官が現れジョオは逃げていきます。
男が再び奏でる「巴里の屋根の下」のメロディに合わせるように、グレーの壁越しにシルエットが映ります。
そこに映るシルエットは、再会した家族のような姿が・・・。
銃声とともに、舞台は明かりが落ちていきます。
ラストは、全キャストが舞台にそろい、美しい歌声を聴かせてくれます。
休憩なしの1時間15分という短いものですが、私には長い時間をかけて楽しませてくれた舞台のように感じました。
それにもまして、豪華なキャストにも少々驚いています。
アンサンブルとして出演されている半場さんの歌声があまり聴かれなかったのは、ちょっと残念です。
ラ・アルプの記事では、さらに多くの方の名前が挙がっていますが、本当に出演されるのならばリピートしてみたいです。

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今回の公演にあわせたキャンペーンで、記念品を受け取りました。
1回目の観劇では、ペンダントトップです。
2回目以降のスタンプが増えるかどうかは、やはりキャスト次第かな・・・。 P4000529

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自由劇場2008年6月22日
思い出を売る男田邊真也
広告屋味方隆司
GIの青年金田俊秀
乞食日下武史
黒マスクのジョオ芝 清道
花売娘大徳朋子
街の女野村玲子
恋人ジェニイ秋 夢子
【男性アンサンブル】半場俊一郎
神保幸由
福島武臣
塩地 仁
シルエットの女斉藤美絵子