今、幸福感いっぱいです。
ようやく、智恵さんのマリアを観る事が出来ました。
劇場でキャストボードをチェックして、万が一のケースが無くなり安心をして客席へ。
オケピから響いてくる楽器の音も、心地よく聴こえてくるのは、自分でも笑ってしまいました。
鐘の音が響き渡ると、秋山修道院長の『朝の祈り』の歌声が響きます。
マチネの席は、下手の階段前の席。
佐和さんのシスター・ベルテを先頭に、シスター達が客席へ降りてきます。
アンサンブルさんの中で低めの声の方、シスター姿のためか、どなたか解りませんが良い声です。
『朝の祈り』の終わりが近づくと、胸の高鳴りが。
ソワレで座った2階席の最前列からは、青空が描かれていたオーバルの中央に、草原に座るマリアの姿が絵画のように浮かび上がり、とても印象的です。
修道院の様子やラストシーンも含め、2階席も魅力的です。
『サウンド・オブ・ミュージック』のイントロが流れると、いよいよ智恵さんの歌声が響きます。
ソプラノの澄んだ歌声が響き、裸足で草原を走り、両手を広げて風を感じ、足下に咲く花に心を寄せるマリアが素晴らしいです。
後の修道院長ではありまえせんが、ずっと聞いていたい気持ちになります。
修道院のシーンでは、3人のシスター達の『マリア』は、テンポ良くそれぞれのマリアへの思いが伝わってきて楽しいです。
シスター・マルガレッタ役の矢野さんの、ちょっとポッチャリ目の印象とコミカルな役回りは、観ていて楽しいです。
『私のお気に入り』で院長が歌い始めたとき、周囲を気にして院長に「静かに」と言わんばかりに口元に指を当てますが、止める気配のないのを見ると、「しょうがないか」と言わんばかりの表情をしています。
さらに次の歌詞を教えるかのように、スカートをつまんだり、手を振り雪の降る様子を見せたりしないながら、一緒に歌いあげる様子も可愛らしいです。
笠松はるさんのマリアは、自分以上に大きな声で歌い始めた院長に狼狽した様子だった事と比べると、違いがわかります。
院長から服の話を切り出され、不安を感じたマリア。
さらに、修道院を出て家庭教師として海軍大佐の元へ向かう事を指示された時の不安と戸惑いの表情。
智恵さんの表情も良いのですが、はるちゃんのマリアの方がいっそう不安感が出ていました。
荷物をまとめ鼻歌をシスター・ベルテに咎められたとき、院長の許可があると言って笑顔を見せるものの、その後の表情に修道院を出て行く事の辛さが見えてきます。
そんな自分を奮い立たせるために『自信をもって』を歌い上げる表情は、マリア本来の明るさでしょう。
トラップ家のシーンでは、四季の舞台で観るのは初の鈴木綜馬さん登場です。
目が印象的で、厳格な海軍大佐です。
大橋さんのシュミットは、大佐の笛が鳴るたびに溜め息をついています。
「奥様が生きている間は、笛など使わなかった。」という言葉の中に、変わってしまった大佐への思いが詰まっているのですね。
大佐とマリアの最初のシーン、多少緊張の表情を見せるものの、マリアの明るさが出てきます。
Song&Danceで聞き慣れた、智恵さんの『ドレミの歌』。
歌われているシーンは異なるものの、素敵ですね。
最初は、マリアの歌に興味なさそうな子供たち。
興味を持ち始めても、照れくさいのか物陰に隠れたり、マリアから逃げようとしている子供達。
そんな子供達を従え、元気いっぱいに歌うマリア。思わず、一緒に歌いたくなります。
子供達7人分+マリアのドを加えた振りは、大変そうですね。
『ひとりぼっちの羊飼い』ではリーズルを含めて、子供達の心をすっかり掴んだマリアが素敵です。
歌いながら両手を広げたマリアの笑顔が、何とも可愛いです。
「ドレミの歌」とは、違った魅力が詰まった曲です。
マリアがカーテンから作った服を子供達に着せた事に怒った大佐とマリアのシーンでの、マリアの表情の変化も見所です。
子供達と遊びながら、笑顔で帰ってきた時の表情。
家庭教師解雇を言い渡され、マリアにとっては修道院に戻れるチャンスにも関わらず、子供達に目を向け愛情を注ぐ事を訴えるマリア。
エーデルワイスを歌う子供達に、以前の歌声が屋敷の中にあった頃を思いだし、子供達に目を向けることに気付いた大佐への優しい眼差しをするマリア。
改めて大佐から子供達のためにとどまる事を求められた時の、笑顔。
お菓子のつまみ食いのシーンも、良いですね。
エルザとのやり取りの後、お菓子を全部持って行ってしまうんのも笑えます。
ダンスシーン。
クルトにダンスを教えるシーンは、はるちゃんの教え方の方が良いかな。
大佐が見かねてマリアと踊るシーンで、初めて大佐への思いを意識する表情が良いです。
ブリギッタの言葉で大佐への思いを自覚し、大佐への思いから逃げ出したマリアに「自分の道は自分で探す」ことを諭す院長。
『すべての山へ登れ』を歌い上げる院長と、希望を見いだしたマリアを観ていると泣けてきます。
秋山さん、本当に素晴らしいですね。
1幕だけでも、ぐいぐいと作品の世界に引き込まれてしまいました。
やはり、これを期待していたんだと、改めて思いました。
2幕、マリア去ったトラップ家は、マリアの存在の大きさを誰もが認めざるをえない状態ですが、それ以上にマリアを意識していたのがエルザのようです。
ナチスに対する意識の違いから、結婚を断念した大佐とエルザ。
2人の前に現れたマリアを見て「マリア、戻ってきたの?」の一言に、エルザの思いが詰まっているようです。
『なにか よいこと』での、マリアと大佐のデュエット。
歌の素晴らしい2人だけに、もっと聴いていたいと思うのは、私だけではないはず。
「結婚の申し込みを誰にすればよいか?」の大佐の問いに、「もちろん子供達に!」と答えたマリアの笑顔が印象に残ります。
修道院でのウェディングドレス姿のマリア、奇麗です。
結婚式のシーンは、2階席からも魅力的です。
キスシーンではしゃいでいたのは、グレーテルだったか、マルタだったか、マリアに見とれていて確認し忘れてしまいました。
ハネムーンから戻ったマリア、大佐をゲオルグと呼んでいます。
ロイスが帝国海軍への招集電報を届けにきた後では、「あなた」と呼んでいます。
大佐の妻として、子供達の母としてのマリアの姿があります。
『もうすぐ十七歳(リプライズ)』で愛についてリーズルに歌う姿は、優しさに包まれています。
大佐にナチスの招集が届いてからは、大佐を助け、子供達を守る強いマリアに変わっています。
ザルツブルグ音楽祭のシーンへの転換は、一家全員が衣装の早替えをしていますが、子供達も含めた早替えだけに大変でしょうね。
綜馬さんの歌う『エーデルワイス』は、芝さんと比べると声室の違いがあるとは言え、大分イメージが変わってきます。
綜馬さんの澄んだ歌声と、芝さんの力強い歌声。
どちらにも、それぞれの思いが伝わります。
皆さんがどちらが好きか、お聴きしたいです。
『さよなら またね(リプライズ)』を子供達が歌っているとき、逃げる段取りか何かを大佐に耳打ちしています。
優勝のコールに姿を現さない一家と、ナチスの兵に取り囲まれたマックス。
自分の身を危険にさらして一家を逃がした事になり、彼の胸の内にある決心を思うと辛くなります。
修道院で大佐を見つけたロルフと、父を守ろうと間に入るリーズル。
リーズルの悲しみが、痛いほど伝わってきます。
修道院長の歌声と共に、迎えるラストシーン。
無事に国境を越えた家族の姿に、安堵を覚えます。
このシーンも、2階席がお勧めです。
マチソワでリーズルを除く子役達が、入れ替わります。
子供達の存在が大きく影響しているため、子役達の出来がポイントになります。
今日の場合、マチネと比較すると、ソワレはもう一頑張りという印象でした。
とは言え、智恵さんマリアを思う存分楽しめ、幸せな一時でした。
四季劇場[秋] | 2010年4月24日 |
マリア | 井上智恵 |
トラップ大佐 | 鈴木綜馬 |
修道院長 | 秋山知子 |
エルザ | 坂本里咲 |
マックス | 勅使瓦武志 |
シュミット | 大橋伸予 |
フランツ | 青山裕次 |
シスター・ベルテ | 佐和由梨 |
シスター・マルガレッタ | 矢野侑子 |
シスター・ソフィア | あべ ゆき |
ロルフ | 飯田達郎 |
リーズル | 谷口あかり |
フリードリッヒ | 笠原知也(昼)、海宝 潤(夜) |
ルイーザ | 今井莉奈(昼)、木村奏絵(夜) |
クルト | 川原一輝(昼)、ラヴェルヌ拓海(夜) |
ブリギッタ | 石井日菜(昼)、高地杏美(夜) |
マルタ | 内田花音(昼)、清水乃愛(夜) |
グレーテル | 平井花音(昼)、西山寿奈(夜) |
男性アンサンブル | 池田英治 |
井上隆司 | |
佐藤季敦 | |
北山雄一郎 | |
高橋基史 | |
天野 誠 | |
奥田直樹 | |
柳 隆幸 | |
女子アンサンブル | 黒崎 綾 |
倉斗絢子 | |
吉村和花 | |
松本菜緒 | |
長寿真世 | |
吉田千恵 | |
小島由実子 | |
伊吹 悠 | |
コンダクター | 平田英夫 |