なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

高血糖

2020年04月14日 | Weblog

 金曜日の夜間に85歳女性が救急搬入された。夕食後から嘔吐・下痢(水様便が)が続いて、一時的に意識低下した。

 搬入時は意識は戻っていた。血圧145/101mmHgと血圧低下はなかったが、自宅では低下して横臥によって回復したのかもしれない。

 市内の内科医院に心房細動・高血圧症・心不全・糖尿病で通院していた。血糖は460mg/dlと高く、HbA1cも9.9%だった。当直の外科医(女性医師)は点滴を開始して、まずヒューマリンRを8単位皮下注して、生食50ml+ヒューマリンR50単位の点滴静注を開始していた。

 土曜日の日直で病院に来た時に、入院したことを聞いた。朝の血糖が69mg/dl(病棟での簡易血糖測定では60mg/dl)と低下したと病棟からの連絡があり、50%グルコース20mlを静注したという。

 土曜日に日直の時は金曜日の内科当番を兼ねることにしている。当直医が外科医でも、内科疾患で入院した患者さんの朝までの指示治療をしてもらえるのはありがたい。

 土曜日の午前中は内科医院は診療を行っているので、当直医が電話で普段の血糖を問い合わせてくれた。院長ではなく、大学病院から来ていたバイト医が出た。当地域随一のご盛業なので、土曜日はバイトを頼んでいるのだった。

 最近は随時血糖300mg/dl・HbA1c8~9%で血糖コントロールは悪かったそうだ。悪いとは思っていたが、具体的にどうしようかと思いながら、そのままになっていたということか。

 脱水症による急性腎前性腎不全になっているので、点滴してもらったのはよかったが、インスリンは皮下注だけでよかった。検査上に高浸透圧高血糖症候群にも当てはまらないので、急激な血糖低下はけっこう危険になる。

 例の高血糖クライシス時の生食50ml+ヒューマリンR50単位は(ヒューマリンR50単位=0.5mlを引いた、生食49.5mlにするとプロっぽい)、糖尿病性ケトアシドーシスで5ml/時高浸透圧高血糖症候群で2ml/時になる。どちらの場合も補液が優先される。

 いったん点滴をソリタT3・500mlにして、血糖が200mg/dlちょっとに戻っていた。食事摂取はできるので、点滴はグルコースを含まないヴィーンF(ソルアセト)500mlにして脱水症の治療を継続した。

 内科医院の治療はDPP4阻害薬だけだったので、土曜日の昼から再開した。とりあえず、インスリン量少な目の強化療法(トレシーバ3単位+ヒューマログ2~4単位のミニスライディング)として、週明けまで経過をみることにした。

 月曜日の検査では脱水症は軽快しており、その日までで点滴は終了とした。空腹時血糖が140mg/dl、昼夕の血糖が200mg/dl前後になっている。

 高齢なのと、今回脱水症で入院したことを考えると、SGLT2阻害薬は使用し難い。外注検査で血清Cペプチドを提出した。自己インスリンがある程度出ていれば、DPP4阻害薬+持効型インスリンのBOTを目標にする。

 夫と二人暮らしで、ご本人は認知症があるが、夫はしっかりしているので、1日1回のインスリン注は頼めそうだ。インスリン注射無理となれば、DPP4阻害薬+SU薬極少量にするしかない。

 

 

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