なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

93歳の心不全

2020年04月30日 | Weblog

 昨日の夜、当直をしていた外科医(大学病院からのバイト)から入院依頼の連絡がきた。93歳女性に心不全だった。

 内科外来に高血圧症・慢性腎臓病(CKD、血清クレアチニン1.3mg/dl)で通院していた。1週間前から両下腿浮腫と労作時の息切れがあった。先週木曜日が予約日で、胸部X線で両側胸水を認めた。

 4月から担当してもらっている腎臓内科医がトリクロルメチアジド(フルイトラン)を追加して、経過をみることにしていた。症状が続いて、昨夜は救急搬入となった。

 酸素飽和度が80%台(室内気)で、救急隊が酸素5L/分マスクにして搬入した。連絡がきた時は酸素飽和度100%になっていて、酸素量を下げられそうです、と言っていた。血圧は150で保たれている。電解質はNa・Kが正常よりやや高めだった。

 救急外来のソルラクト500mlの点滴を、5%グルコース500ml・20ml/時でキープして、フロセミド(20㎎)1Aを静注してもらうことにした。

 現在内科病棟は、新型コロナウイルス感染症患者が多数入院するのに備えて、入院10名にしぼっている。新規入院は循環器科病棟になり、内科系が全部そこに入れるしかない状況になっている。

 当院の循環器科は平日時間内営業なので、その日は内科で入院にして、翌日(今日)循環器科扱いにしてもらうことにした。幸い入院後の尿量が1200mlあり、酸素吸入1L/分で(ベット上安静では)特に息苦しくないと言っていた。難聴があるが、小柄なかわいいおばあさんだった。

 心電図は正常洞調律で心房細動はない。昨年のと比較して、肢誘導の電位と胸部誘導のT波減高があるが、心筋梗塞をおこしたようではない。聴診で明らかな心雑音はなかった。

 心エコーでEF63%と良好な値だったが、画面でLV motionを見ると、(素人目にも)左室の収縮はもっと低下いているように見えた。午前中に胸部CTも行ったが、結構な胸水貯留だった。心不全の原因は、”年齢的に弱っている?”。

 炎症反応陰性でCKDの悪化もないので、循環器科の扱いになって、フロセミドの点滴静注が開始された。

 左が昨年の、真ん中が先週木曜日の、右が昨夜の胸部X線。今日の胸部CT。先週フロセミドやダイアートを処方していたら、何とかなっただろうか。年齢的には入院なので、その時点で循環器科紹介がよかった。

 

 4月からが大学病院の腎臓内科の若い先生が交代で応援にくることになった(3名が4か月交代で1年間)。勤務は月~木で、金曜日からの週末は大学に戻る。当初は内科の手伝いということだったが、実際は透析を2日診るので、内科としては内科外来を1日手伝ってもらうだけになる(入院は持たない)。

 腎臓内科常勤医なし(毎日バイトでつなぐ)で透析患者120名超を診ているので、腎臓内科医が院内にいる(月~木の日中)というだけでもいいのだろう。

 

コメント (1)
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