なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

筋緊張性ジストロフィーの両側肺炎

2014年03月20日 | Weblog

 大学から応援で来ている若い先生から、両側肺炎の患者さんが受診したと連絡があった。56歳女性で、神経内科に筋緊張性ジストロフィーで通院していた。特に、処方はなく、筋疾患の専門病院の時から在宅酸素が導入されていて、その書類記載が主な目的だった。ただし昨年末の予約日に受診せず、そのままになっていたそうだ。移動は車いす移動で、日常生活に夫の介助が必要だった。

 1週間前から発熱があり、発熱は軽快したものの、咳と呼吸困難が進行して、食事がとれなくなっていた。胸部X線で両側に陰影が散在していた。胸部CTで確認すると、かなり広い範囲に及んでいた。通常の肺炎としても、難しそうだが、ジストロフィーという基礎疾患があると自信がない。呼吸器科医と神経内科医が複数いる当地域の基幹病院に送りたいと思った。電話してみる、案外すんなりと受け入れてくれた。実は今日、その病院から結核性胸膜炎とC型肝硬変の80歳女性が治療継続目的で当院に転院していた。それもあって、配慮してくれたようだ。たまたま肺炎になっただけで治癒すればいつもの状態にもどるのか、肺炎を繰り返す時期の始まりなのかはわからない。

 その他には、90歳女性の誤嚥性肺炎(両側、今月初旬に肺炎が軽快して退院したばかり)が入院した。70歳台男性の血糖コントロール不良の患者さんも入院した。認知症の進行でインスリン注射や内服がきちんとできなくなっている。

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過多月経による鉄欠乏性貧血

2014年03月19日 | Weblog

 49歳女性が下腹部痛で救急搬入された。生理出血が始まり、以前から月経困難症があるが、今回はひどいという。救急当番は外科医で、腹部所見としては問題なかった。血液検査で鉄欠乏性貧血(Hb6g/dl、MCV60と小球性)があり、腹部CTで子宮筋腫があるため、婦人科に回した。婦人科外来を受診するころから嘔吐が始まり、内科にコンサルトされた。

 処置室に見に行くと、以前内科外来にきたことがある女性だった。15年以上前に結婚で中国から日本に来た人だった。心因性の症状で、安定剤を短期間処方していた。今回の症状は月経困難+心因性要素だが、貧血が進行している点が違う。

 一昨年に過多月経と月経困難で婦人科外来を受診して、慢性出血による鉄欠乏性貧血と子宮筋腫を指摘されていた。鉄剤を処方されて、あとは地元の(隣町だが、けっこう山の中)診療所で鉄剤をもらっていた。その後、鉄剤によると思われる皮疹がひどくなり、皮膚科に通院したという。こうなると、本当に鉄剤かどうか確かめこともできないし(再投与はためらわれる)、鉄剤で嘔気・嘔吐が出た時と違って、注射鉄剤でも同じことになる。

 婦人科で生理を止めるように治療をすることになるが、すばらく時間がかかるそうだ。この貧血で鉄剤が使えないと輸血するしかない。婦人科で入院治療となった。消化管出血ではないようだが、内科でも診せてもらうことにした。便潜血で陽性ならば消化管の精査になる。

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午後からの受診

2014年03月18日 | Weblog

 午前中の外来は思ったよりも早く終わった。午後になって、84歳男性が1週間前からの歩行時のふらつきを訴えて、かかりつけの内科医院から紹介されてきた。頭部MRIをみると脳血管障害はなく、脳萎縮と脳室拡大が目立った。年月日は大体答えられるが、出てくるまで時間がかかった。尿失禁はない。正常圧水頭症かどうか、明日脳外科で診てもらうことにした(今日は脳外科休診)。

 その直後に、60歳男性が胸痛と右肩への放散痛を訴えて、飛び込みで受診した。心電図でaVLにST上昇があり、Ⅱ・Ⅲ・aVFでST低下があった。循環器科は今日心カテの日で終わったばかりだった。診てもらうと、今から心カテをするという。1時間後に医局で循環器科医に話を聞くと、左冠動脈のかなり細い枝がつまったそうで、PCIの適応はないという。むしろ今まで放置していた高血圧症などの治療が必要だということだった。

 その後にくも膜下後遺症で施設入所中の79歳女性が数日前からの発熱で職員に連れられて受診した、胸部X線で誤嚥性肺炎を認めて入院となった。嚥下障害で近日中の胃瘻造設が考慮されていたそうだ。今回、肺炎が治ったら胃瘻にすることにした。

 今日は午後の方が疲れた。高校の看護科(専攻科)の講義(血液)が始まるので、準備をする予定だったが、ほとんどできなかった。

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認知症の診断をどうするか

2014年03月17日 | Weblog

 免許センターから認知症の診断依頼が来ていた80歳台男性は、血管性認知症と診断された。長谷川式と頭部MRIを施行して、神経内科外来に紹介したが、普通の神経内科医は認知症にあまり興味がないようだ。血管性認知症です、で終わりだった。治療についても、アルツハイマー型に比べると大したものがないので、まあ抗血小板薬くらいかなということだった。

 今後もこのような免許センターからの認知症診断依頼があるとすれば、診断の筋道をつけておく必要がある。認知症外来(物忘れ外来という名称もある)に紹介して、きちんと診てもらうのがいいのだろう。当地域の基幹病院には4名の神経内科医がいて、そのうち1名が高次機能障害の教室で研究していた。当市の医師会の講演会で話をしてもらったこともある。はたして、認知症疑いを全部紹介していいのかはわからない。患者数が多すぎて、そのくらいはそっちで診てくれといわれるかもしれない。当院のひとり神経内科医は脳血管障害とパーキンソン病だけで手一杯のようだ。

 当院内科もありふれた糖尿病の患者さんだけでも、多すぎて診きれない。何とかして、ある程度血糖コントロールがついたところで、内科医院(クリニック)に紹介したいと思っている。

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勉強することが多い

2014年03月16日 | Weblog

 「プライマリケア医の認知症診療入門セミナー」を読み終わった。内容はプライマリケアというには難しすぎるかもしれない。症例集のいう点ではいいのだろうが、ハンチントン病の分類がこまごまと記載されているのは無用だ。当院では頭部MRIとSPECTもできる。基本的には神経内科に診断を依頼することになるが、認知症も分類も知っておく必要がある。症例の病歴と診察所見、あらに頭部MRIとSPECTの画像を全例に入れて解説してほしいところだ。この本は多数の著者が参加していて統一感にかけている。もう一冊認知症の本を購入したので、そちらに期待しよう。

 市の医師会では毎月講演会を行っているが、来月の講演会の司会を依頼された。テーマは糖尿病で、今度発売される新規薬の話だ。ちょうど薬剤師向けの雑誌に新規薬の特集があるので、それを読んでおくことにした。司会は毎年1回は回ってくるので、そのくらいの頻度ならば引き受けるしかない。糖質制限食についても調べる必要がある。

 次々に勉強することが出てくるのは、退屈しなくていい。来月は内科学会と消化器病学会に行くので楽しみだ。4月から、金曜日の内科外来は大学病院から大学院生のバイトがもらえるので、内科3人のうち2人は内科学会に初日から参加できそうだ。

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ノロウイルス胃腸炎ー食品メーカー勤務

2014年03月15日 | Weblog

 木曜日の早朝に27歳男性が、前夜からの嘔吐・下痢・腹痛で受診した。当直の整形外科医が診て短期入院させた。金曜日の朝出勤して報告を受けたので、病棟に診に行った。点滴を1本しただけだが、症状は軽減していた。その日と土日の分の点滴を出して、食事がとれるようになったら退院していいことにした。この時期なので、朝に便のノロウイルス迅速試験をオーダーした。その後は内科外来を昼過ぎまで診て、週明けまでの指示を病棟で出した。来月の休日当番表をやっと作成して帰宅した。病棟から連絡があって、ノロウイルス陽性と判明したという。4人部屋に入院していたので、急遽個室にした。日中なかなか便が出なくてようやく出て提出したので、結果が遅くなってしまった。週明けまで入院してもらって、月曜日に退院にすることにした。

 ノロウイルス感染症では症状が軽快すれば、退院にするだけだが、この男性はパンのメーカー(大手)に勤務していた。そうなると、ノロウイルス陰性を証明しなければならない。月曜日に退院するとして、木曜か金曜日に外来に来てもらって、便検査をすることになる。

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卵巣癌と乳癌

2014年03月14日 | Weblog

 78歳女性が婦人科から回されてきた。昨年6月に卵巣癌(嚢胞腺癌)と診断されたが、脳出血後遺症もあり、手術はしないで経過をみることになった。1か月前から食欲がなく、嘔吐するという症状だった。最初に消化器科に回されたが、昼近くで消化器科医が今日は午後当直明けの半日休暇の予定だったので、内科で診ることになった。昨年の腹部CTから数か月経過しているので、CTを再検したが、腹腔内の「右半分から正中を超えて左側まで達する巨大な腫瘍があった。腸管と大動脈が圧排されている。腹水もあった。

 連れてきた娘さん(二女)と相談したが、患者さんは夫と三女と同居しているそうだ。家庭でも介護は無理になったので、入院を希望された。患者さんは脳出血後遺症で失語があり、会話はできない。入院で点滴して経過をみることにしたが、1か月くらい持つだろうか。

 午後になって、59歳女性が嘔吐が続いて食事がとれないと受診した。大学病院の乳腺外科で術前の抗癌剤治療を受けていた。大学病院に連絡したら、近くの病院で診てもらう様に言われた。大学病院に紹介したのは別の病院だった。とりあえず、点滴500mlを2本して、土日にも外来で点滴できるようにオーダーを入れておいた。当院の外科医が乳癌治療をしていて、大学病院の乳腺外科医に来てもらっていっしょに手術している。大学入院までの間体調の悪さが続く時は、当院に短期間入院して大学病院の入院待ちもできるはずだ。嘔気嘔吐が続く時は、月曜日に来てもらって外科医と相談することにした。

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脳梗塞ー隣人に助けを求める

2014年03月13日 | Weblog

 74歳男性が救急搬入された。昨日までは何でもなかったらしい。朝からいつもと違うことに気づき、20mほど離れた隣家までフラフラと歩いて行った。どうしていいかわからない、助けてくれと隣人に訴えた。受け答えが普段と違うので、隣人が救急要請した。

 この方は東京在住だが、15年前から趣味の釣りをするために当地の山沿いに古家を買ってひとりで住んでいた。奥さんと子供は東京にいる。半年に1回東京に戻り、ほとんど当地で過ごしている。名前は言えたが、生年月日が言えなかった。3人の息子の名前も出なかった。明らかな麻痺はない。心電図で心房細動を認め、脳塞栓が疑われた。発症時間がはっきりしないが、頭部CTですでに左後頭葉に脳梗塞を認めた。頭部MRI・MRAでは同部位の脳梗塞が確認できて、左後大脳動脈の閉塞を認めた。神経内科に治療をお願いした。救急隊が東京の妻に連絡していて、こちらに向かっているという話だった。運動機能にはそれほど支障はないのだろうが、同名半盲もあり認知力も低下するので、気ままな釣り生活はもうできないだろう。

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インフルエンザでした

2014年03月11日 | Weblog

 一昨日の日曜日の夜に、88歳男性が腰痛で動けなくなって救急搬入された(もともと腰痛がある)。糖尿病でインスリンをしているので、血糖をみながらNSAIDで経過をみることにしてた。昨夜腰痛で動けなかったはずだが、ふらふらと廊下を歩いていた。看護師さんとの受け答えがおかしかった。息子さんが呼ばれて、付き添った。今日息子さんから、ある程度動けるので退院にしてほしいと希望された。慣れない環境に入ったためにおかしくなったので、自宅にもどれば良くなるでしょうということで、午後退院の予定となった。

 ところが、昼の検温で37.8℃の発熱が出現した。咳などの上気道症状はない。流行っているのでインフルエンザ迅速試験を行うと、B型陽性と出た。急遽退院延期となった。吸入薬はうまくす吸えないと思われ、補液もしたいのでラピアクタ点滴静注とした。救急搬入された時から、インフルエンザに罹っていたはずだ。腰痛でNSAID(セレコックス)を内服していたので、発熱がマスクされていた。昨夜の不穏も、インフルエンザのためということになる。この方は年齢の割りにしっかりしていて、ふだんインスリン自己注射と血糖自己測定をしている。インフルエンザの症状が軽快すれば、元に戻るのだろう。病棟では、やっぱりふだんちゃんとしていても入院すると高齢者は、という話をしていたが、いやいや失礼しました。

 今日3月11日は東日本大震災から3年目となる。病院でも院内放送が流れて、1分間の黙祷が行われた。医学部の同級生が、石巻市で診療所をやっていて、川をさかのぼってきた津波の犠牲になった。端正な顔立ちで、寡黙な人だった。

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高齢者の脱力?

2014年03月10日 | Weblog

 昨夜当直をしていて、午前4時ごろに80歳女性が「脱力」として救急搬入された。もともと認知症が進行していて、発熱があるために、ふだんより一層応対はおかしかった。特に麻痺はない。救急隊は「脱力」と表現していたが、高熱でぐったりしていて動けないというのが正確なところだ。最近この「脱力」の患者さんとして救急搬入される高齢者が多い。たいていは高熱があって、ふらふらして動けないという意味だ。

 今回の患者さんはインフルエンザA型が陽性だった。点滴とラピアクタを投与したが、途中で2回点滴を抜かれた。病棟には事情を話して、短期の予定で(数日で帰すからと言って)入院させてもらった。

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