今日は当直。日直が小児科医なので、午前11時から病院に来ていた。肺炎の高齢女性が入院して、救急車の対応もしていた。当直帯になって、88歳男性が高熱で受診した。肺炎はなく、尿路感染症でもない。各種培養を提出して、入院とした。肝胆道系か前立腺が疑われる。別の88歳男性が動けなくなって救急搬入された。腰痛のためのようだが、この方は4年前に側頭動脈炎・リウマチ性多発筋痛症で入院した既往がある。今回は頭痛も近位筋痛もない。動けないので入院とした。糖尿病の治療はインスリン強化療法なので、血糖を調整しながらNSAIDで経過をみることにした。準夜帯はずっと忙しかった。深夜帯はどうなるか。
今日は漢方のセミナーを聴きに行った。サイエンス漢方処方セミナーの3回目で腎疾患と循環器疾患の漢方治療だった。この領域では、漢方薬は補助的なものになる。腎疾患は免疫や炎症によるので、ステロイドや免疫抑制剤との併用で効果を期待できる。また高齢者でステロイドや免疫抑制剤の治療ができない場合に使用できる。循環器疾患では、通常の利尿剤に利尿効果のある漢方薬を加えてみたい。漢方薬の分かりやすい本を探しているが、古典的な漢方理論に基づくものが多く使いにくい。
嘔吐下痢で受診した22歳男性は、便のノルウイルス迅速試験が陽性だった。周囲に胃腸炎の人はいなかったという。食事も水分もとれないので短期入院とした。2-3日で回復して退院するのではないか。
87歳男性が消化器科の外来を受診して入居しているケアハウスに戻った。昼食に麺を食べて、ムセって呼吸困難となり、救急搬入された。酸素飽和度が下がっていたが、胸部X線・CTで明らかな肺炎の陰影はなかった。早すぎてまだ浸潤影は出ないのだろう。入院で誤嚥性肺炎として治療することにした。この患者さんは胃癌と腸骨大動脈瘤があるが、どちらも手術は無理と判断されて経過観察になっている。すでに胃癌の診断から2年が経過して、腹水も少量あった。
夕方に80歳男性が施設から救急搬送されてきた。5日前から発熱があり、今日は腹部膨満(鼓腸)が出現した。胸部X線で肺炎があった。腹部CTでは、大腸ガスが増加しるが、明らかな腫瘤はなかった。腸管の動きが悪いだけなのかもしれない。脳梗塞後遺症で左不全片麻痺がある。認知症があってじっとしていない。病棟の看護師さんが苦労することになる。
最初の若者のような患者さんだけだと楽だが、高齢者+認知症の患者さんがいないと病院はやっていけない。
施設に入所している71歳女性が低ナトリウム血症(108)で入院した。脳血管障害の後遺症で寝たきりで胃瘻による経管栄養を受けていた。ふだんも単語人るくらいの発語だが、発語がはくなっていた。四肢の拘縮がひどい。何が原因かと検査した。尿路感染症は間違いなくある。経管栄養食の塩分が少ない可能性はある。内科の若い先生が主治医となった。浮腫は目立たない。(酢酸)リンゲル液で点滴を開始して、今日は血清ナトリウム117だった。ちょうどいいようだ。このまま4-5日かけて、ゆっくり補正していくことになった。
今日は内科再来の患者数が多かったので、午後1時半までかかった。昼食後に内科の先生方と施設から紹介になった低ナトリウム血症(109)の患者さんの話をしていた。その時、地域の基幹病院呼吸器科の先生から電話がきた。「いつものお願い」ということで、93歳男性の肺膿瘍の患者さんを引き取ってほしいというものだった。感染症は軽快したものの、食事摂取はできず点滴だけだという。「お看取りでいいんですか」という、これもいつもの会話があって、明日引き受けることになった。その後にFAXで診療情報がきたが、CVカテーテルが入っているらしい。高カロリー輸液にできるのであれば、病状が安定していれば療養型病床に送ることになる。
今日は用事があったので、年休をとって午後3時過ぎに病院を出た。用事を済ませた後、ドトールでいつものブレンド+ジャーマンドックを頼んで、認知症の本を読み始めた。「プライマリケア医の認知症診療入門セミナー」で、これはわかりやすい。
100歳男性が内科医院から心不全・貧血として紹介されてきた。2月中旬にショートステイで施設に入所したが、その際にインフルエンザに罹患した。そのまま自宅に帰された。その後から、夜間に発作性に呼吸困難になり、認知症+不穏も加わって介護が大変になったそうだ。主に長男夫婦が世話しているが、その兄弟も交代で手伝って世話をしていた。介護も限界(病状というより対応が)となり、内科医院を昨日受診した。心不全として著しくひどくなかったので、翌日の今日当院に紹介受診となった。
全体に浮腫はある。両側肺に胸水が軽度に貯留していた。貧血がHb6g/dlと目立ち、正球性だった。何かでたまたま受診した時の検査をみると、5年前がHb9g/dlで、昨年がHb8g/dlだった。消化管出血というより、骨髄自体の問題のようだ。おそらく骨髄異形成症候群ではないかと思われた。骨髄穿刺をするかどうか迷ったが、結局しないことにした。輸血を4単位(今日と明日)して、酸素吸入と利尿剤は経口で投与して経過をみることにした。4人部屋の最長老だが、寝たきりの80歳台の患者さんが入院しているので、その中では一番元気だ。
64歳男性が心窩部痛~左季肋部痛で早朝に救急外来を受診した。血液検査で血糖が485mg/dlと高値で、HbA1cが15.0%だった。心電図は完全右脚ブロックで虚血性変化が読みにくい。心筋逸脱酵素の上昇はなかった。当直の神経内科医が、糖尿病放置からの急性冠症候群を心配して循環器科医に相談した。心エコーと心臓冠動脈CTを至急で行ったが、冠動脈の狭窄はなかった。
糖尿病の家族歴はなかった。1か月で7Kgの体重減少があり、1~2週間は口渇・多尿がひどかったそうだ。意識は清明で一見何でもないように見える。高血圧症で内科医院に通院しているが、糖尿病とは言われていないという。膵癌を疑って腹部エコーを行ったが、異常はなかった。CA19-9は正常域。この患者さんは、いつから糖尿病になっていたのだろうか。
グルコースを含まないヴィーンF500mlを点滴して、昼前の血糖を測定すると160mg/dlだった。ヒューマリンRで血糖を補正することにしていたが、意外に低値で拍子抜けした。まずは日内変動をみてからだが、内服薬にインスリンの補正で経過を見ることになりそうだ。
今日日曜日は内科の当番だった。日直が小児科医なので、内科で入院する患者さんを診るため、午前中から病院に来ていた。90歳女性が左半身のしびれで内科クリニック(当番医)から紹介されてきた。頭部MRIで右視床に脳梗塞(ラクナ梗塞)があった。麻痺はないようだが、入院治療とした。リハビリはいらないがしびれは治療が難しいだろう。
87歳女性は先月末から食事摂取できなくなって、息子夫婦が連れてきた。検査したが、血液検査でも、CT(頭部と胸腹部)でも異常はなかった。認知症で元気に怒鳴っていることろをみると食べられそうに思われた。日中息子夫婦が仕事で家にいないという事情もあり、入院して1週間点滴してみることにした。病棟の看護師はいやがっていたが。先週入院した90歳女性も認知症で、扱いに苦慮している。他の先生方が診ている認知症の患者さんもいて、内科病棟は大変だ。
脳梗塞後遺症の57歳男性が基幹病院神経内科に入院した。そこで急性期の治療を受けて、当院の神経内科に転院となってリハビリを開始した。HbA1cが12%の糖尿病があり、インスリン強化療法で治療されていた。糖尿病治療を依頼されて、内科で診ることになった。Cペプチドは1.8で、自己インスリンは充分だった。インスリンだけの治療だったので、エクアとメトグルコを追加した。最終的にはインスリンは中止できると思われた。ところが、思ったほど血糖は下がらず、あまり処方したくなかったSU剤(グリミクロン20mg/日から40mg/日)も追加したが、目標はでは下がらない。
食前血糖が150mg/dlから180mg/dl(時に200mg/dl)だった。リハビリとしては、そろそろ退院も考慮する時期になった。インスリン中止は困難だが、退院後に強化療法はできにあので、持効型のランタスのみと継続するBOTにすることにした。早朝空腹時血糖が120mg/dl程度を目標にすることにしたが、実際はまだ150mg/dlだった。患者さんから昼食後1時間するとリハビリ中に低血糖の症状が出るという。リハビリ病津なので、内科病棟のように症状がある時は追加で血糖測定するということがないので、その時の血糖は正確にはわからなかった。夕食前の血糖が180mg/dlなので、70mg/dl以下の低血糖になっているとも思えないが、ずっと高血糖で経過していたので、血糖が100mg/dl前後でも出ると推定された。グリミクロンはやめてグルファストにする方が、低血糖がなくていいのかもしれない。