なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺炎と肺癌

2014年06月19日 | Weblog

 76歳男性が4日前から続く発熱で内科新患を受診した。胸部X線でわかりにくかったが、胸部CTでは右下肺野に浸潤影を認め、肺炎と判明した。ついでに、右上肺野に腫瘤影があり、不整な辺縁と胸膜陥入を認めることから肺癌と診断される。CEAが軽度高値だった。50歳代までの喫煙歴があり、両側肺野に気腫性変化があった。

 まずは肺炎の治療が必要なので、入院してもらった。ふだん前立腺肥大で泌尿器科に通院していたが、処方は3か月分で、尿と前立腺の検査のみだった。健診も受けていないという。年齢と考えると、肺癌の治療は難しいかもしれないが、診断も含めて一度は専門医に紹介する必要がある。喀痰が出ないので、細胞診はとれそうもない。

 左頸部リンパ節転移を契機に診断された食道癌の66歳男性が、いよいよ食事をとれなくなって入院した。認知症があり、嚥下障害の訴えがないため、頸部~胸部~腹部のリンパ節転移がある状態で発見された。食道癌を専門にしている外科医とも相談したが、治療は困難ということになった。内視鏡を2回癌を通り越して胃まで挿入したが、意外なブジー効果を発揮して(腫瘍から出血はしたが)、検査の後は食物の通りが一時的に良くなっていた。これが唯一の治療になった。それから約2か月は在宅療養したことになる。左下肺野に誤嚥性肺炎を併発していた。さらに右胸部に帯状疱疹も出ていた。点滴と抗菌薬とゾビラックスで治療を開始したが、そのくらいもつだろうか。

 来月の医師会の講演会(糖尿病の治療)で座長をやることになったので、糖尿病の本を2冊読むことにした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

肺結核か

2014年06月18日 | Weblog

 昨夜63歳男性が呼吸困難で救急搬入された。かかりつけの国立病院機構の病院など数か所の病院にことわられて当院に搬入されたそうだ。左肺の中下肺野に浸広範な潤影と胸水を認めた。呼吸困難を自覚したのは1週間前だというが、数か月前から違和感はあった。白血球数は8000でCRPが2と意外に低い。亜急性から慢性の経過のようだ。通常の細菌性肺炎ではなく、空洞はないが結核が疑われる。さっそく出した喀痰の抗酸菌塗抹は陽性で、結核菌とMACのPCRを提出した。

 脳梗塞後遺症というが、ほとんど麻痺はない。奥さんが遠方の専門病院に関節リウマチで通院していて、車で送り迎えをしている。奥さんは車いすに座っていて、全体にむくんでいる。ふだん介護している夫が入院すれば、一人では生活できないので子供さんの家で面倒を見ることになる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

覚えきれない新薬ータケルダ

2014年06月17日 | Weblog

 選択的SGLT2阻害剤が次々に発売されている。既存の薬も合剤で次々出てくるので、組合せを覚えられない。循環器科では診察室の机と壁に合剤のパンフレットを置いて診療している。自分では数少ない合剤のみ使っている。武田薬品から新発売のアスピリンとランソプラゾール(タケプロン)の合剤(タケルダ)には驚いた。アスピリンの適応症には、新規に病名をつけなくてもそのまま使えるという。アスピリンが処方されると最近は合わせてPPIも処方されることが多いが、PPIは全部武田のランソプラゾールにしてほしいということなのだろう。まあ便利と言えば便利だ。

 循環器科や神経内科で抗凝固剤や抗血小板剤が処方される。消化管出血があると、消化器科の仕事(それも緊急の消化管出血)が増えるので、消化器病学会でもPPIを処方してもらいたいという意向のようだ。消化器病学会には「胃と腸」の関連でパリエットのエーザイが、GERDの関連でネキシウムのアストラゼネカが食い込んでいる印象があるが、業界のことは良くわからない。

 今日は内科再来をみていたが、神経内科の入院中に糖尿病の治療を担当した患者さん2名の血糖コントロールが悪くなっていた。ひとりは認知症の女性で食事は好きなように食べている。もうひとりの中年男性も入院中からまじめに治療に取り組む患者さんではないなあという印象があった(実際脳梗塞になる前は放置していた)。退院後最初の外来で、血糖がちょっと上がり、2回目の外来でぐっと上がるというパターンだ。何とかしなくてはと思うが、実際は難しい。

 糖尿病腎症の患者さん(60歳代男性)は血清クレアチニンが4を超えて、今日腎臓内科の外来に紹介していた。今すぐ透析導入ではないが、内シャントを作成するタイミングの問題がある。患者さんは絶対透析は受けないと言って、帰ったそうだ。2年前から、腎障害が悪化した時は透析になるという話を少しずつしていて、腎臓内科の外来もちゃんと受診したので、大丈夫かなあと思っていたが、ダメだった。奥さんは何としても透析導入して長く生きてほしいと希望している。患者さんのキャラクターから、病院側できつく言うよりも、奥さんの懇願でその気になってくれるのを待つしかない。糖尿病ではちゃんと通院しているが、これも奥さんに連れてくるというのが正確な表現かもしれない。現在はインスリン強化療法でHbA1cは6.0%になっているが、糖尿病の治療を放置していた時期が長く、当院初診時から腎症があった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

膀胱癌・肺癌で死亡

2014年06月16日 | Weblog

 4月半ばから入院していた79歳男性は膀胱癌と肺癌があった。6年前からの膀胱癌は、心臓手術後(心房中隔欠損・僧房弁閉鎖不全・冠動脈バイパス)ということもあるが、ご本人が治療を拒否していたようだ。今年になって肺癌(扁平上皮癌)も見つかった。入院は呼吸器科(大学病院からの応援医)から依頼された。外来で診ている循環器科医からは、言うことを聞かない患者さんということで申し送りがあった。

 病院嫌いで入院も拒否していたが、今回入院したのは自分からつらいので入院させてほしいと希望したもので、よっぽどのことなのだろうと思われた。オピオイドで疼痛が、ステロイドで食欲不振が改善して、自分でも驚いたようだった。幸いに小康状態になったことで、病棟ではいったん退院できるのではという意見が多かった。患者さん自身は病院にいた方が安心ということで、1回外泊したが、あとは入院を継続していた。先月肉眼的血尿が続いていたが、いったん治まった。今月になって再度血尿が続き、結局今日亡くなるまで続いた。

 途中までの緩和ケアはそれなりのうまくいったのではないかと思う。ただ最後の数日は穏やかにというわけにはいかず、ドルミカムによる鎮静をもっと早く始めるべきだったと反省させられた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今日は日直

2014年06月15日 | Weblog

 今日は日直で病院に来ている。金曜日に入院した多発性骨髄腫(まだ推定)の患者さんが、土曜日に輸血後に急性肺水腫になって、気管挿管・人工呼吸器管理になったそうだ。担当の若い先生が今朝も病院に出てきていて、教えてくれた。確かに、看護学校の血液疾患の講義で、輸血関連急性肺障害transfusion-related acute lung injury(TRALI)があることはさらっと触れているが、実際に診たことはなかった。ステロイドの投与で症状は改善しているので、月曜日には抜管できそうだという。蜂窩織炎(筋膜炎も否定できず)で意識レベルが低下した患者さんのほうが心配だったが、そちらは解熱して意識障害もすっかり回復していた。

 施設にショートステイ入所中の79歳男性が、著しい発汗と意識低下(開眼はするが発語なし)で救急搬入された。多発性脳梗塞後遺症で嚥下障害(ムセる)がある。昨年は誤嚥性肺炎で入院していた。糖尿病で治療しているので、低血糖かと思ったが、血糖は288mg/dlとむしろ高めだった。白血球増加はあるがCRPは陰性で、感染症の初期像のようだ。尿路感染症かと思ったが尿所見は正常で、見た目もきれいだった。胸部X線でははっきりしないので、胸部CTもみた。両背側に浸潤影ととれるような陰影があるが、絶対浸潤影とも言い切れない。大量の汗が出た後なので、発熱はなかった(すっかり冷えていた)。点滴を開始すると、発語が出るようになった。まだゆっくりした喋り方だが、家族の話ではふだんと同じらしい。頭部CTは陳旧性のラクナ梗塞が散在していた。すくなくとも出血はない。誤嚥性肺炎に準じて治療を開始して経過をみることになった。

 尿路感染症で1週間前に泌尿器科を退院した84歳男性が、高熱で受診した。肺炎はなかった。バイタルは発熱以外は正常で、胸部X線は立位で撮影できた。膿尿を呈していたが、尿中に細菌(-)という結果だった。この方は間欠自己導尿をしている。前回入院時も、受診時には尿細菌(-)で、入院後の尿検査で細菌(++)となった。両側水腎症になっている、間欠自己導尿がいいのか、尿カテーテル留置がいいのか。明日泌尿器科外来で経過をみることになっていた。付いてきた家族は、導尿は患者さん本人しかわからないという。家族は入院希望だった。泌尿器科で入院として、明日までの指示を出しておくことにした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

感染性心内膜炎

2014年06月14日 | Weblog

 小児科に13歳の男児が内科小児科医院から紹介されてきた。ぐっりして具合が悪そうという紹介理由だった。その医院は軽症でも気になると紹介してよこすので、受診数も割に入院になることは少ない。ただ今回は当院の小児科医が診ても、いかにもぐったりとして、これは何かあるという印象をもった。発熱があるが、血球数は8100でCRPが4.7と数値だけ見ると、それほどではない。問題は、大動脈二尖弁で経過観察されているということだった。

 以前は当院に大学病院小児科から、小児循環器の専門医が来ていて、心エコーを行って経過をみていた。その後は、大学からの応援はなくなり、当地域の基幹病院に小児循環器の専門医が来たので、そちらで経過をみていた。肺炎や尿路感染症などは否定された。咽頭発赤が目立ったが、溶連菌迅速は陰性だった。心内膜炎が疑われて、循環器科で心エコーを行ったが、vegitationはなかった。血液培養を6セット提出して、そのうち4セットから溶連菌が検出された(まだ中間報告)。小児科医が、心内膜炎として経過をみている基幹病院に連絡すると、敗血症だが心内膜炎ではないという返事で転院を断ったという(意味がわからない返事だが)。

 困って、こども病院に連絡すると、以前大学病院から当院に応援に来ていた先生が小児循環器のトップをしていて、快く引き受けてくれた。夕方主治医の小児科医に医局のラウンジで会うと、ほっとして様子で経緯を説明してくれた。当院小児科は、定年になった先生方2名が勤務延長でがんばっている。心内膜炎をみるのは酷だろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

多発性骨髄腫

2014年06月13日 | Weblog

 67歳男性が内科医院から両側下腿浮腫と貧血で紹介されてきた。血清蛋白は11と高値で血清アルブミンは1.9と低下していた。院内で検査できるIgAが増加していた。腰背部痛も続いていた。まず多発性骨髄腫で間違いないだろう。内科の若い先生が入院させて、貧血(Hb5弱)と高カルシウム血症に対して、ゾメタ点滴と輸血を行うことになった。免疫電気泳動の結果を来週みて、腫瘍内科のある病院に紹介することになった(今日電話で相談した)。

 以前受診した病名は、急性アルコール中毒だった。今回、4か月前から体調fは悪かったが、自分では受診していなかった。一人暮らしをしている。時々行き来していた兄弟がしばらく来ないので自宅を訪ねてみると、動けなくなっていたので、昨日内科医院に連れて行った。今日その医院の先生が、検査結果を見て(たぶん)驚いて当院に紹介したという経緯だった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

縦隔気腫

2014年06月12日 | Weblog

 特発性間質性肺炎の87歳女性が縦隔気腫になって、呼吸器科外来(大学病院からの応援)から入院依頼があった。やせたおばあさんだが、案外元気だった。一人暮らしで、家のことを全部自分でしていたので安静が保たれない。治療は安静とNSAIDで経過をみることになった。間質性肺炎自体は慢性的に少しずつ進行はしているが、急性増悪がなければ今のところは大丈夫ということだった。

 病棟の大部屋に入院としたが、実は個室希望だった(毎度ありがとうございます)。夫は随分前になくなっていて、ふだんは近くに住んでいる妹の子供たち(と言ってもそれなりの年齢)が世話をしていた。早く死んだ方がいいのにと患者さん言っていたが、半分本気というところか。回復した時に施設(ケアハウスなど)に入所できるような手配も進めながら入院治療を継続する。

 膀胱癌の患者さんがは肉眼的血尿が続いていて、貧血の程度はそれほど変わりなかったが、今日は一気に進行して、一時冷感・意識障害となった。点滴を開始して回復して、輸血をオーダーした。この方は肺癌もあって、最近痰とせき込みが目立つ。食欲不振・倦怠感で入院して、ステロイド・オピオイドで安定していたが、いよいよ緩和ケアからターミナルケアとなった。家族(妻と娘)に病状をお話しして、個室に移すタイミングを検討することにした。かなり気難しい方だが、入院してからは病棟になじんでいた。もう少しもたせたい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

術後の食欲不振

2014年06月11日 | Weblog

 外科医から紹介された66歳男性は今年の2月に胃癌の手術を受けていた。漿膜浸潤・リンパ節転移もあり、再発が予想される手術であった。その後、4月と5月に食欲不振で入院した。入院すると案外食事をとれて退院するので、家庭環境の問題も疑われたようだ。今月また食欲不振で入院した。CTでは明らかな再発の兆候はない。CEAが低めだが異常値を呈して、それが少しずつだが、上昇はしている。癌細胞が潜んでいるような所見だった。ただ転移として腫瘤を形成しているわけでもないし、腹水もなかった。それで食欲不振は合わない。外科でスルピリドを処方していた。あとは六君子湯と消化剤が処方されている。

 病室に診に行くと、いかにも元気というか活気がない。入院すると食事をとれるようになるというのは、器質的な疾患とは言い難い。うつ状態なのだろうか。ビルロートⅠ法で再検していて、胃切除術後症候群としての症状はないようだ。低蛋白血症になっていて両側下腿に浮腫がある。下痢が続いているという症状はない。甲状腺機能は正常だった。吸収不良というよりは栄養摂取不足だ。尿蛋白は陰性。

 さてどうしたものかと思う。抗うつ剤を開始して経過をみるしかないような気もする。普通はSSRIの処方から開始するものだろう。ジェイゾロフト25mgからかな、と思った。その気があれば、精神科を受診してもらう方がいいか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あれ黄疸だ

2014年06月10日 | Weblog

 89歳男性が誤嚥性肺炎で入院して抗菌薬投与で治癒した。嚥下の状態を見ながら、ゼリー食から食事を開始したが、また誤嚥性肺炎を起こして食事は中止した。点滴を再開して家族と相談していた。胃瘻造設は希望されなかった。しばらく点滴で経過をみることにした。末梢血管から点滴ライン確保は困難となった。高カロリー輸液にして状態が安定していれば療養型病床への転院というコースもあるので、今日CVラインを挿入した。その時、あれ黄色いと、黄疸に気付いた。

入院時に胸腹部CTを撮影していたが、特に問題はなかったはずだ。入院時には肝機能障害はなかった。今は発熱はない。明日再度胸腹部CTと血液検査を行うことにした。それにしても何だろう。ここ3週間は抗菌薬投与をしていない。何が出てくるのだろうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする