なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

新型コロナのメディカルチェック

2021年06月10日 | Weblog

 先月地域の基幹病院から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の外来メディカルチェックを行うので、協力してほしいと依頼があった。

 当地域では県庁所在地のように、COVID-19患者の外来でのメディカルチェックをしていなかった。要するに重症度をチェックして、入院かホテル療養か判断するというものだった。

 ただメディカルチェック自体がこなせず、チェックするまで自宅待機する日数が長くなってしまう。それで県のコロナ本部は、症状と酸素飽和度だけで判断して、問題なければホテル療養になっていたはずだ(悪化時の入院先を輪番にした)。

 

 チェックの内容は胸部CTで肺炎の有無・程度を診る、というものだった。感染者を次々にCT撮影することはできないので時間がかかる。それで当院でも胸部CTを撮影して、画像をWebで基幹病院に送るようにしてもらいたいという依頼だった。

 その後、血液検査もしてほしいと言われた。採血する場所がないので、CT撮影時に感染管理の看護師が採血することにした。その結果はFAXで送る。

 いかにも紹介病院だと思ったのは、定型文でいいので当院から診療情報提供書も出してほしいという。紹介率を高めるのに貢献することになる。定型文の文面も送られてきた。

 

 昨日初めて依頼が来て、COVID-19の16歳男性(高校生)のチェックを行った。通院している高校でクラスターが発生して、発熱などの症状が出た。PCR検査を受けたが陰性で確定されなかった。

 その後、母親が発熱が続いて病院を受診したところ、COVID-19と判明した。濃厚接触者として一家でPCR検査となった。この高校生だけがPCR陽性で、他の家族(父親と兄弟姉妹3名)は陰性だった。

 順番としては、通学している高校でCOVID-19に罹患して、家で母親にうつした、ということになる。

 胸部CTで両側肺背側に淡いすりガラス陰影が少しだけ散在していた。すでに症状はない。入院にはならないので、ホテル療養だろう。他の家族はPCR検査陰性なので、自宅待機になる。

 

 基幹病院では、新型コロナ診療の全体を統括する先生、外来PCRを担当先生(複数)、メディカルチェックを担当する先生(県のコロナ本部に出入りする)、実際に患者を診る先生(呼吸器内科医複数)という体制になっている。

 当院は当方がほぼひとりでPCR検査と入院担当をしているので、うらやましい限りだ。もっとも当院は病院管理者(市長)の「もうコロナは扱わない」という発言があり(基幹病院での県と保健所も参加した会議で)、今後当院でコロナは診なくなる(はず)。

 おそらく県の指示だと思うが、基幹病院では今回COVID-19のベットを倍に増床した。やはり呼吸器内科医が複数いるような病院で診療してもらう方がいいと思う。

 市長は東京主張で新型コロナに罹患して、家族内で小さなクラスター(妻子と親も罹患)も発生した。コロナの患者さんを差別してはいけないと言っていたが、病院経営上はコロナの診療は赤字を増やすだけなので別の話になるのだった。

 

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肺疾患?、心疾患?

2021年06月09日 | Weblog

 今日の午後は、初めて新型コロナのワクチン接種会場に問診係として行ってきた。当市では大規模集団接種だけで、個別接種はしていない。

 市から医師会と市内の病院に医師・看護師の派遣依頼が来て、当院からは医師2名・看護師4名を出している。医局から月2回は義務として割り当てられて、あとは希望者が入る。

 当初は、少ない人数の看護師さんを出せるかという話があった。しかし2万ちょっとの手当が出るので、案外不満はなくすぐに派遣の割り当てが決まった。

 医師は予想以上の金額が出て、これは自治体ごとに違うらしい。当市の医師会はけっこうな金額に決めていた。

 

 昨日喘鳴・酸素飽和度低下の37歳女性を当院に紹介したクリニックの先生も来ていた(水曜午後は休診日)。この患者さんは知的障害があり、そして病的ともいえる肥満がある。

 クリニックでは喘息の吸入薬だけ処方して、睡眠時無呼吸症候群(SAS)でCPAPを施行していた。(病院勤務医の時からSASの管理を得意としていた)2019年に急性心不全として、当時はあった当院循環器科に紹介していた。

 年齢的に先天性心疾患が疑われたが、検査では時に指摘できなかった。心電図は洞調律で不完全右脚ブロックがある。心エコーでは、肺動脈弁閉鎖不全症を指摘されたが、ASD・VSDはなかった。

 両下腿浮腫があるが、心不全なのか肥満のためなのか不明だ。血液ガスでは高二酸化炭素血症があり、肺疾患があるのだろうがよくわからない。

 循環器科入院時の治療は酸素吸入で経過をみるというもので、軽快退院していた。クリニックの先生は期待した検査もなかったと言っていた。(心エコーもクリニックで施行しているというので、していなかった)

 

 胸部X線は今回撮影条件の問題もあり、肺うっ血~水腫がひどいようだが、CTで見るとそうでもない。肺うっ血・わずかな胸水はある。心不全の症状は肺性心?で、肺疾患は肥満による肺胞低換気諸侯群?、原発性肺高血圧症?。

 デキサメサゾンの点滴とフロセミド10mgを外来でして喘鳴が軽減はした。入院を勧めたが、付き添いの母親も本人も入院したくないという。やむなく、翌日外来を受診して、治療を継続することを約束して帰宅とした。

 精査するとして、具体的に何の検査をすればいいのか。専門医に紹介するとして、循環器内科で心臓カテーテル検査をしてもらえばいいのだろうか。たぶん母親も本人も希望しないとは思うが。

 

 

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インスリン依存状態

2021年06月08日 | Weblog

 先月末に施設から食欲不振(摂食困難)で紹介された85歳女性は、嚥下訓練をしていたが、経口摂取は難しかった。

 感染症併発でもなく、新規の脳血管障害でもなかった。頭部CTでは以前からあった脳委縮が進行していた。結局、今回は内視鏡的胃瘻造設術を行って経管栄養とした。

 ただ糖尿病があり、血糖コントロールが難しい。インスリン強化療法が必要だった。胃瘻による経管栄養とインスリン強化療法となると、施設に戻せず、療養型病床のある病院にお願いするかもしれない。

 

 もともと当院の糖尿病外来(大学病院から糖尿病科の医師担当)に通院していた。2009年にインスリン注射が開始されたが、ヒューマログミックス25朝夕2回打ちだった。当時はミックス25・50が出て、流行った?ころかもしれない。

 インスリン注射を行っても、血糖コントロールは悪く、2019年もHbA1cが10%台で推移していた。

 2019年12月に肺炎で入院して、当時来ていた若い先生(地域医療研修の内科専攻医・自治医大義務年限)が担当した。肺炎は軽快したが経口摂取が進まず、高カロリー輸液にして、2020年1月に療養型病床のある病院へ転院していた。

 その後、経口摂取が可能になって、老人保健施設に入所になっていた。そしてまた経口摂取できず、入院したという経緯だった。今回はお楽しみ程度の経口摂取も難しそうだ。

 末梢用の点滴でも血糖が300mg/dlを越えていた。血清Cペプチドを測定すると、0.21ng/ml(<0.6)と完全にインスリン依存状態だった。

 2019年5月に血清Cペプチドが測定されていて、0.74ng/mlと低下していた。そこからさらに自己インスリンが枯渇してきたことになる。その時の抗GAD抗体は陰性で緩徐進行1型糖尿病とはいえなかった。

 単純CTなので分かりにくいが、膵臓は細々とあるようだ。

 

 今日は午後から、保健所から依頼された新型コロナ濃厚接触者のPCR検査が多数入っている。たぶん疲れて、他の仕事はあまりできなくなるだろう。

 

 

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urinoma

2021年06月07日 | Weblog

 先週末(金曜の当直から日曜日の当直まで)は内科の当番だった。人数が少ないので、土日を別々に当番にすると毎週のように当番になる。まとめて当番にすると、当たった時は休めないが、当たらない時には一応休める。

 すでに医師数が減少して11名になっているが、もうすぐさらに2名抜けてしまう。救急搬入で受けられる疾患が限られるのと、このコロナ禍でウォークインの受診も減少しているので、受診数・入院が減っていてその点は助かる。

 

 土曜日の当直の先生(大学病院外科からのバイト)は、内科にひとり入院させたが、後は地域の基幹病院と県内有数の市立病院に搬送していた。

 施設に入所している82歳女性は、3月末に尿路感染症(急性腎盂腎炎)で内科に入院していた。左腎臓にurinoma形成があり、入院後すぐに、地域の基幹病院泌尿器科に搬送した。

 尿管ステント留置が行われた。退院して施設に戻っていて、ステント交換の予約日が決まっていた。

 土曜日に発熱と腹痛で当院の救急外来を受診した。胸腹部CTで腹腔腔・後腹膜腔に液体貯留があり、尿が漏れていると判断される。

 当直医はすぐに転送の依頼をしたが、受け入れが難しいといわれてしまった。ちょっと遠方の市立病院が受けれいてくれて、搬送できた。

 これは外科的な(泌尿器科的な)処置はできないのではないか。保存的にみると、予後は悪そうだ。

 

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陰性感情

2021年06月06日 | Weblog

 加藤温先生の「診察室の陰性感情」(金芳堂)が出たので早速購入した。CareNeTVの国立国際医療研究センターの講義の中に、加藤先生の「陰性感情を考える」がある。

 CareNeTVを繰り返して見たが、自分が精神疾患に罹患したり悩みがあれば、この先生に診てもらいたい、と思わせるような雰囲気だった。

診察室の陰性感情

 

陰性感情を考える」  CareNeTV
 国立国際医療研究センター病院
  総合診療科/精神科 加藤 温

診察場面における感情
 治療者と患者の間で、お互いに陽性感情(好意)陰性感情(嫌悪)をもつ

精神分析の世界では
 転移(陽性/陰性)
  患者が治療者に向ける感情
 逆転移(陽性/陰性)
  治療者が患者に向ける感情

逆転移
・治療者の無意識的な葛藤が患者に向かうこと
→治療の妨げになる
 治療者は自己分析により葛藤の解決努力を
  ↓
・患者に対する治療者の感情や態度全般をさす
 ・治療者の無意識的葛藤
 ・患者とのコミュニケーションに連動
 →治療に生かすことができるのでは?

陰性感情を抱いたら
1.陰性感情はあってもいい 消すことは不自然
→抱いた自分自身に自覚的であること
→俯瞰する目を持つ
(診察室の様子を外から見るような視点)
離見の見=りけんのけん」世阿弥
 能役者が観客からどう見えるかを考える
2.患者の行動にも何か理由があるのでは?
→立ち止まって考える
・治療者側の問題
・器質因、薬剤など
・環境因(仕事家族)など
3.すべてを請け負わない 解決しようとしない
→できることは何か?
 自分にしかできないと思わない
 無理せず長く付き合っていくことも
4.ひとりで抱えない 共有する
→同僚に話す 愚痴でもいい
 書いてみることも有効
「今日はひどい患者さんが来て困った」?と言ってみる

話が長い患者さんに
・もともとそういうタイプ(病的ではない)、器質因(迂遠、保続)、双極性障害(躁状態)など
<対応方法例>
・閉じた質問
「よく眠れてますか?何時間?」
・共感して区切る
「…ところで…」
・後回しとする
「…それは後ほど…」
・時間を区切る
 あと診察できる時間は10分
・物理的
 身体診察を始める、血圧測定をする

身体症状へのとらわれ
・いわゆる身体表現性障害
 医学的に説明がつかない
 →苦痛、反応性の異常重視へ
<対応の基本>
・「症状がある」ことを認める
・命にかかわる重篤な身体状態でないことを保証
・症状を持ちながらも生活を意識していく

参考書
「内科で診る不定愁訴」國松淳和著
「状況別に学ぶ 内科医・外科医のための精神疾患の診かた」加藤温著

アルコール多飲
・アルコール依存患者は自己評価が低く、注意されることに敏感に反応しやすい
<対応の基本>
・飲酒継続の害、減らした場合の効果を説明
・専門医療機関が必要なことを伝える→無理なら継続通院としてタイミングを
・完全断酒→節酒という方向性もあり

いわゆるボーダー系
・境界性パーソナリティー障害
 情動不安定 理想化とこきおろし 見捨てられ不安
・留意すべき情報
 年齢性別、自傷・過量服薬歴、多剤処方、病院を転々
・ボーダーと診断されているなかには
 軽度知的障害、未熟性格、双極Ⅱ型もまじる
・本物は本物の顔をしていない 

  陽性感情のち陰性感情
 何とか力になってあげたい
  ↓(二社関係への埋没)
 診てあげられるのは自分だけだ
  ↓(病理の開花)
 こんなはずではなかった…
  ↓(困惑、無理難題に耐える)
 どうすることもできない…
  ↓(治療者が「裏返し」に)
 悪いのは患者 見捨てられて当然だ
(成田善弘「精神療法を学ぶ」から)

 対応の基本
・普段から安定した診療の構え(態度、枠)
・俯瞰する目
・「治療」だけではなく「援助」の視点

 →あらゆる患者に対する基本的構えと同じ
 原則論をふまえつつも治療者なりの「型」

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カテーテル関連血流感染症~MRSE

2021年06月05日 | Weblog

 4月21日に記載した、地域の基幹病院から転院してきた肺胞低換気・慢性呼吸不全の90歳女性のその後。

 嚥下障害はないが、認知症による拒食があった。点滴をしようにも末梢の静脈があまり見えない。血管確保として中心静脈カテーテルを挿入して、そのまま高カロリー輸液に移行していた。

 もともと糖尿病でインスリン強化療法を受けていたので、ヒューマリンRを点滴製剤に混合して、さらに血糖測定で皮下注の補正をしている。

 しばらく落ち着いていたが、数日高熱が続いた。血液培養2セット(カテーテルからと末梢静脈)から表皮ブドウ球菌(MRSE)が検出された。中心静脈カテーテルを別ルートで再挿入して、最初のカテーテルを抜去した。

 バンコマイシン投与で解熱(カテーテル抜去だけでも解熱はしたかも)している。血液培養を2セット再提出して、血液培養陰性化から2週間以上の投与となる。

 

 高炭酸ガス血症があり、先方の病院ではNPPVを行っていた。年齢的に気管挿管・人工呼吸まではしないので、NPPVが最終的な治療手段になる。

 再増悪時の治療について家族と相談したが、お任せしますと、いうことだった。増悪時の状況によってNPPVを当院で再施行するかどうか決めるが、認知症があり実際には難しいかもしれない。(短期間なら抑制してできるが)

 酸素飽和度の調整は「94%以上にはしない」にしている。酸素吸入量は精密の0.25Lずつ調整できる方を使用している。90%前後の88~92%を目標にした。先方の病院では「80%台前半も許容とした」だった。

 電子カルテの指示コメントに記載しているが、病棟看護師さんは酸素飽和度が低下すると、反射的に酸素量を挙げてしまう。カルテに赤(重要事項)で付箋を付けて、画面を開くと上記の酸素投与量(飽和度)調整が出るようにした。

 

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血清アンモニア高値

2021年06月04日 | Weblog

 木曜日の昼前に、地域の基幹病院救急科の先生から連絡が入った。当院内科に通院している64歳女性が、意識レベル低下で救急搬入されたという。

 検査の結果、血清アンモニアが211(30-80)と高値で、肝硬変による肝性脳症と考えられるということだった。

 外来は糖尿病と高血圧症で通院している。糖尿病はDPP4阻害薬だけ、高血圧症はARBだけの処方で、血糖も血圧も良好だった。

 変形性股関節症で左股関節は拘縮していた。左下肢はほとんどまっすぐなまま固まっていて、夫が介護していた。年齢の割に認知力も少し低下しているような印象がある。

 それにしても、これまで肝機能は正常域で、HBVもHCVも陰性だった。肝硬変というのは本当だろうか、と思った。

 先方の病院からは介護タクシーでやってきた。診療情報提供書によると、点滴500ml2本とBCAA含有アミノ酸製剤の点滴をしていた。ぼんやりとした感じはあるが、会話は可能だった。

 胸腹部CTの画像がCDで送られてきた。脾腫はあるが、肝の画像は肝硬変といえるだろうか。

 肝硬変を来す肝疾患とすれば、自己免疫性肝炎か原発性胆汁性肝硬変だが、あるのか。肝機能検査は正常域だが、血清蛋白7.3g/dl・血清アルブミン2.6と高γグロブリン血症がるかもしれない比率だった。抗核抗体と抗ミトコンドリア抗体を外注に提出した。あとは珍しい門脈・肝静脈の血流異常をきたす疾患だが、診断は難しい。

 アミノ酸製剤の点滴静注が効いているようなので、入院翌日以降も継続することにした。血清アンモニアのフォローする。尿路感染症もあるので合わせて治療する。

 救急科としては、意識障害の原因検索でルーチンの血清アンモニア測定だろうが、検査してもらってよかった。急性期の1週間くらいを入院で診てもらってから当院に戻してくれると、もっとよかったが(肝臓精査として消化器内科には頼みにくい?)。

 

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外来で心肺停止

2021年06月03日 | Weblog

 昨日は外来(再来)の受診数が比較的少なかったので、午前1時半に病棟に上がった。中心静脈カテーテル関連血流感染症を来した90歳女性のカテーテルを抜去して、入れ替えた。

 救急外来のエコーを借りていたので、返しに行った。救急外来では内科の若い先生が、外来で心肺停止になった77歳男性を診ていた。気管挿管して人工呼吸器を使用していた。

 呼吸器科外来(大学病院からバイト)に通院している肺気腫の患者さんだった。以前からADLは低下していたが、数日前から食欲不振が続いていた。

 呼吸器外来担当の先生から、内科新患をみていた入院治療をお願いされた、という経緯だった。胸部X線・CTで両側肺野に粒状・斑状影が散在していた。肺炎併発による増悪として入院になる。

 低酸素血症があり、酸素吸入2L/分が開始された(高二酸化炭素血症はない)。入院にあたって、新型コロナの検査と血液検査をしようとしているうちに、心肺停止に陥った。

 心肺蘇生術が開始されて、居合わせた外科医が気管挿管をしてくれていた。アドレナリンを3回投与したところで、自己心拍再開して血圧も測定できた。そのうちに自発呼吸も出て来て、人工呼吸をいったん休止した。

 しかし意識は戻らなかった。3桁の昏睡状態で、瞳孔は散大していないが、対光反射も出ない。短時間だが心肺停止による脳障害を来したと思われた。

 血圧が低下してきて、昇圧薬を開始したが、あまり効果を発揮していない。心電図12誘導を見たが、虚血性心疾患が発症してようには見えない。(急変時、心電図モニターは装着していないので、致死的不整脈が出たかどうかは不明)

 病院には奥さんが付いて来ていた。どこまで治療をするか相談したいと伝えると、家族(息子)が来てから相談したいという。午後1時を回って、午後の予定(COVID-19の新規入院など)があるので若い先生にお任せした。

 

 意識は戻らず、家族と相談の上、そのまま自発呼吸・自己心拍が続くところまで経過をみることになった。病棟の集中治療室(に相当する看護室隣りの病室)に入院したが、夕方に亡くなった。

 肺炎併発による慢性閉塞性肺疾患の増悪だが、酸素吸入後は酸素飽和度は回復していた。何かが加わったようだが、よくわからない。患者さんは本当に「骨と皮」に状態で、余力がなかったのだろうか。

 

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楽なCOVID-19の患者さんがほしい

2021年06月02日 | Weblog

 新型コロナウイルス感染症で入院していた86歳男性は、しだいに酸素吸入量が増えて、先週末には10L/分になっていた。家族には、人工呼吸はしないことで同意は得ていた(病状悪化時は、DNRの方針)。

 週末ダメかと思ったが、何とか持ちこたえた。今年の初めから、県のコロナ本部に連絡しても、80歳代後半~90歳代のCOVID-19の患者さんは人工呼吸器管理の適応はないでしょう、と言われていた。(相談自体も、約束違反といわれたりした=高齢者は入院した病院で最期まで診る決まり?)

 現在入院している2名の高齢女性(94歳、86歳)は、それでも酸素吸入10L/分までいってから、幸いに(奇跡的に?)回復に向かい、現在酸素吸入は不要となっている。

 86歳男性は通院(他院)している脳神経内科からドネペジル5mgの処方を受けている、軽度の認知症はあるが、普通に会話は可能だった。糖尿病があり、デキサメサゾン投与でさらに上昇した血糖コントロールを行っているが、食事を食べていた。(中止すべきかもしれないが、食事を要求されて、明らかなむせもない)

 時々自分で酸素マスクを外していた。意識清明なので、酸素10L/分リザーバー付きは圧迫感があり、ずっと付けるのはつらいだろう。画面(カメラ2台で病室を観察)で外しているのが見つかると、看護師さんに注意されて、ゆっくりとまた付けていた。

 昨日は酸素10L/分でも酸素飽和度が90%未満が続くようになった。ダメもとで、県のコロナ本部に連絡してみると、ネーザルハイフローまでなら高次医療機関で行うという返事だった。

 県から指定された医療センターに診療情報提供書を送ると、さっそく受けてもらえることになった。感染症対応の救急隊が来て、搬送となった。(気管挿管・人工呼吸器管理まではしない方針)

 県内の病棟逼迫が軽減したこと、県本部の先生と、受け入れ先の先生が特に親切だったという幸運が重なった結果らしい。

 

 今日は、COVID-19の77歳男性が感染病棟に入院した。胸部CTでは、両側肺野に軽度のすりガラス陰影が斑状に散在している程度だった。血液検査で炎症反応、重症化の指標も軽度の上昇のみだ(今のところだが)。

 認知症がなく、ADL完全自立の患者さんは久しぶりだ。感染病棟の看護師さんは、このところ重症相当+認知症(かなりの介助量)の患者さんが続き、疲弊している。

 高齢で入院扱いとなっただけで、自然経過で軽快退院できる患者さんの入院で、ちょっと一息つきたいところだ。

 

 大学病院や県内有数の医療機関でも、中等症Ⅰ相当の酸素吸入を要しない患者さんを診ている。そういう患者さんは当院のような病院で受けたい。。高次医療機関では中等症Ⅱ(酸素吸入あり)から重症の患者さんに対応してほしい。

 まあ、コロナは経過中に悪化するので、入院時の病状では重症度が決まらないから仕方がないのかもしれない。それでも高熱が数日続いている患者さんは確実に悪化するので推定はかなりできると思う。

 

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うつだと思うが

2021年06月01日 | Weblog

 内科医院から40歳男性が紹介されてきた。先週末に、地域医療連携室から受診依頼が来ていると言われて、紹介状を見た。

 不眠症で精神科病院に通院している。症状は頭重感・息苦しさ・口渇・尿の出が悪い・両足の疼痛などとあった。心因性だと思ったが、今週新患で来てもらうことにした。

 今日外来を受診してみると、思ったより普通?の方だった(もっと心気症的な方かと思った)。特に困っていることは何ですか、と尋ねた。

 両足と足底が痛いと言う。足関節は問題ない。足全体の症状で痛風発作のようではない。あとは、両肩が充分には上げられないようだ(日常的には支障がない)。

 精神科病院で処方された薬を見せてもらった。ゾルピデム10mg、エチゾラム1.5mgと、コントミン12.5mgも出ていた。(コントミン?)

 仕事と生活について訊いてみた。大手自動車会社の販売店に勤務していた。もともとは整備士だが、1年前に昇進して受付をするようになった。職場はもとの職場の向かいにある系列店に移った。

 最近細かなミスが続いていて、職場とお客さんに申し訳ないと思っているそうだ。職場で他の人にそれを指摘されるのかと訊くと、そうではないらしい。

 不眠は入眠障害もあるが、中途覚醒・早朝覚醒もある。午前4時には目が覚めて、その後は朝まで起きている。朝に職場に出かけるのに、意を決して行くという感じだという。夕方もう少しで終わると思うと若干気持ちが楽になる。死にたいと思ったことはない(と言っていた)。

 これはうつ病ではないか。ふだん精神科病院ではどの程度症状を話してのだろうか。臨床心理士と面接をしているというが、それよりは薬の問題だと思う。

 精神科病院に通院している患者さんを、うつ病と思われるので治療してほしい、と紹介するのはやりにくい。時々当院から認知症の患者さんを紹介したり、入院させてもらっている病院だった。

 器質的な異常とは思えない身体症状があり、うつ病ではという印象をもつような症状があるが、当院では治療できないので御高診いただきたい、という感じで診療情報提供書を提出した。

 患者さんは予約日の前だが、調子が悪いので今日行ってみると言っていた。当院からの診療情報提供書で、行きにくくなったりしたら、他の精神科の病院やクリニックへ紹介してもいいと伝えた。

 (追加)

 精神科病院を予約外で受診して、担当医からうつ状態として治療する、と返事が来ていた。

 

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