Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

Layer Cake 感想

2014-10-20 17:13:00 | ベン・ウィショー


またやってしまいました。契約中のhuluで見られるのにDVDを買ってしまうということを。悔しいのでhuluにはない映像特典と監督のコメンタリーまで隅々と見て感想書きます。

なぜこの10年前の映画に着目したかですが、それはベン・ウィショー君の出演作だからです。でも出番の少ないチョイ役なので、後回しにしていたのです。(しつこいですがhuluで見られたのに!)しかも、ギャング映画らしい。私は普通の乙女ですので、やはり暴力シーンは苦手です。ガラの悪い不細工な男も大量に出て来そうだし・・・

確かに、ヤク中の不良や恐いオッサンも多かったのですが、助かったことに、ウィショー君の出てない間は、今から11年前年前、ボンドになる2年前のダニエル・クレイグと、華をそえる以外なんのためにいたのかよくわからない若トム・ハーディ(上の写真右端)と、こんなに可愛かったの?シエナ・ミラーと映画の格を底上げするマイケル・ガンボンが出て来るので、最後までドキドキ見ることができました。ラストもよかった。

ただ、ダニエル演じる主人公はギャングではなく、麻薬ディーラーを仕事としているビジネスマンなのがポイントです。なので、人が死ぬことは彼にとっても日常ではないし、売買人として依頼人や仲間、部下、取引先はいても、彼は暴力団のような組織に生きているわけではなく、しかもすでに大金を稼いだので引退を考えています。

しかしこの世界、彼が思っていたほど簡単に足を洗えない・・・というお話です。

すごく登場人物が多く、1回見ただけでは私には人物関係が全てはわかりませんでした。監督はハリウッド映画じゃないから少しは頭を使ってもらっていいとコメンタリーで言ってましたが、TTSSのゲイリー、ベネディクト、コリン、トムハ以外の登場人物が3~5倍くらいも名前つきで出て来た印象です。知っていたのは主人公の仲間(上の写真の右から2番目)モーティにジョージ・ハリス、BBCラジオ「Neverwhere」でBlack Friarsやハリー・ポッターでキングスリーを演じていました。麻薬強盗主犯のビッチな彼女を演じたサリー・ホーキンスは、英国で11/28に公開の「パディントン」でミセス・ブラウン(パディントンが住む家のお母さん)をやるんだ、全然違う役!ギャングのひとりにフレディ・マーキュリーの伝記映画の監督から降板したデクスター・フレッチャーも出ていました。ところで彼はデレク・ジャーマンのカラバッジオのポスターになった美少年だったんですね。2度びっくり・・・



ウィショー君の役は、麻薬強盗主犯の恐いオジさんデュークの甥っ子シドニーです。すっごいチャラいアクセントでしゃべる役で、もうチンピラそのもの!なんですが、なぜか美人のガールフレンド=タミー(シエナ)がいるんですよ。それがストーリー展開上大変意味があるのが嬉しいところです。監督はコメンタリーで「原作ではシドニーはデュークの従弟という設定でもっと普通にギャングだから、ベン・ウィショーは若くて痩せすぎていた。それがオーディションに来て台詞を読んだらすごく良くて、逆にあの世界で異質な存在感があったので、甥に変更して彼に決めた」と言っています。

タイトルの「レイヤー・ケーキ」は、麻薬売買を含む闇の組織が何層にも重なって一番上が一番美味しい、という意味だそうです。

それにもなぞらえ、舞台となるロンドンも色々な階層が重なる都会だと描くために色々なロケーションで撮影したとのこと。主人公の仕事の依頼人の自宅や、高級クラブハウスのような頂点の家はロンドン内ではありませんが、主人公のフラットは、ケンジントンのガイ・リッチーの家を使ったと監督が言ってマス。(ちなみにその近所に私は住んでいたことがあります)影の大ドンと主人公が会う秘密の図書館はパル・マルにあるジェントルマンズ・クラブ、タミーとデートしたセント・マーチンズ・ホテルは当時のブティックホテルとして最先端、そういうアッパーではないロンドンのもうひとつの顔として、キングスクロス(そこにも住んでました。どうりで当時キングスクロスに引っ越す、と人に話すと皆「大丈夫~?」と怪訝な顔をした)のスラムのようになったビルの麻薬巣窟、モダンな開発の象徴にカナリーウォーフの高層ビル、クラシックなグリニッジの丘から見下ろすマリタイム博物館の白い姿、バラバラだけれどどれも確かにロンドンの姿なのです。

いまひとつどの階層として登場させたのかわからないカフェがあって、その2件向こうに私が住んでたフラットがあるのです。撮影の年と私が住んでた時期が重なっていて、夫は何かの撮影をしていたのを見たと言っていたので、あの日、ダニエル・クレイグがいたんですね・・・見に行けばよかった~(そして、その同じカフェで、ベン・ウィショーが来年放送予定のBBCドラマLondonSpyを撮影しているという写真を今朝ネットで見た時の私の衝撃をお察しください・・・・)

DVDの特典として、「もうひとつのエンディング集」というのがありまして、本編と違う2通りのラストシーンが入っています。ひとつが、版権元のソニーが希望したというもの。もうひとつが本編の終わり方を予測させる終わり方。結局、本編のエンディングはソニーに内緒で撮って、見せたら良かったので許可が降りたそうです。

あと監督がしきりに言っていたのが、低予算だったということ。ストーンズの曲の使用料が製作費の40%になりそうでたいへんだったとか(結局は安くしてもらえた)言ってますが、今見るとキャストが豪華だし、金持ちっぽい家もデーンと出て来るので、まったくそうは見えないのがすごいです。10年前の俳優の出演費、みんな安かったのでしょうね。