Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

見つめて、シェイクスピア!展

2014-10-23 18:01:00 | その他の映画・ドラマ・舞台
練馬区立美術館で開催中の「見つめて、シェイクスピア!展」ー美しき装丁本と絵で見る愛の世界 ー を見てきました。

この展示は2部構成になっていて

①「シェイクスピア」がテーマの2013年開催「第2回デザイナー・ブックバインダーズ国際製本コンペティション」の入賞作品・・・現代

②シェイクスピア作品を主題とした絵画と挿絵本・・・18世紀~1980年代 ← 私はこちらについて書きます

感心したのは、所蔵がおそらく全て国内という点です。イギリスやフランスの絵や本を日本の美術館や個人が所有していて、しかも美術館は県立、区立などが含まれ、日本人の税金がこれらを買うのに使われたということですよね。日本の公共施設もなかなかやってくれてたのですね!公共ではない施設に「うつのみや妖精ミュージアム」という所蔵主もあり、ぜひとも訪れてみたい名前じゃありませんか?

展示は「四大悲劇」と「夏の世の夢」「ウィンザーの陽気な女房たち」「テンペスト」の挿絵と絵画がメインです。

先日NTliveのハムレットを見て、あれが現代的なハムレット像ならば、古典的なのはどんな感じか見たかったのですが、ウジェーヌ・ドラクロワによるデンマークの王子はかぼちゃパンツをはきお顔すべすべのいかにも王子らしい容貌で大変に満足です。

19世紀の印刷物に比べ、20世紀にはアーサー・ラッカムやウォルター・クレインなどのほとんど少女マンガのようなイラストが華やかに本を飾っているのが好きです。あれが私にとって美化された西洋の図です。

展示は10月下旬で入れ替わるものもあるので、また行きたいです。でもまた行きたいのはこれから紹介する絵をもう1度見たいためでもあります。


「五尋の海の下」 by チャールズ・アルタモント・ドイル



サイズは30×35と決して大きくはないのですが、少女のような人魚、巨大な魚。その魚の人間のような顔。ピアノの足元に転がる骸骨。変な絵!

そしてこれはテンペストのコーナーに飾られており、このタイトルは、あれだ!ベン・ウィショーがエアリエルを演じた映画「テンペスト」で、ウィショーくんが歌った曲のタイトルなんです。歌詞はもちろんシェイクスピアです。

映画でこの歌が流れる時、エアリエルは水の中に漂っていて、しかもなぜかウィショーくんの裸の胸が少女のようにふくらんでいて、それは違和感ないのだけど、なぜ少女なのか私はわかりませんでした。それがここの場面をよく読んでみると、エアリエルはナポリ王子を騙してプロスペローの元におびき寄せていた。だから王子を魅了するため少女の姿を見せたんですね?!映画のシーンもよく見るとウィショーくんの腰から下に白いヒラヒラしたものが漂っていて、それは人魚の尾びれだったのか!絵を見てピンときた!

そしてね、この絵を描いたのは、ほら、見覚えのある名前でしょう?アーサー・コナン・ドイルのお父さんなんですって。ググると素敵な絵がたくさん出てきます。経歴も興味深いけど話がそれるので今回はやめておきます。

ではウィショーくんの歌うシェイクスピアの詩を、ここに残しておきます。The Tempest, act 1 scene2:
http://en.wikipedia.org/wiki/Three_Shakespeare_Songs

Full Fathom Five

Full fathom five thy father lies,

Of his bones are coral made;

Those are pearls that were his eyes:

Nothing of him that doth fade,

But doth suffer a sea-change Into something rich and strange.

Sea-nymphs hourly ring his knell:

Ding-dong.

Hark! now I hear them, – ding-dong bell.



「父は五尋の海の底」

父は五尋の 海の底に
その骨は今 珊瑚珠に
その両の目は 真珠玉
その身は朽ちず わだつみの
奇しき力に 変えられて
今は貴き 宝物
水の妖精 打ちならせ
弔いの鐘を ディンドンベル
お聞きよ お聞き あの鐘の音を
ディンドンベル ディンドンベル ディンドンベル・・・

伊藤杏里:訳「テンペスト THE TEMPEST」 新書館
この和訳詩はこちらから

ウィショーくんの歌声と少女の姿はこの動画に