Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

わたしを離さないで/Never Let Me Go

2016-02-06 21:48:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


少し前に、NHKでカズオ・イシグロが大学生を前に講演とQ&Aに応じる番組を見ました。映画「日の名残り」が好きだから見たわりに、彼の他の作品のことは勉強不足で「わたしを離さないで」もその番組で知ったくらいです、すみません。

キャリー・マリガンとキーラ・ナイトリーが出てるということで映画も見たいと思いました。が、グズグズしてたら、なんと日本でTVドラマ化され一気に世間の注目を集めレンタルできなくなり、DVDを購入してようやく見られました。

日本では2011年劇場公開されていましたがちっとも知らなかった。あの頃の自分を思うと、映画に行く気のない人には情報ってぜんぜん届かないものなんですね。


あらすじ

時間が未来ではない仮想現実のSFで、話が1978年から1994年と過去だが、そこはクローンと臓器移植によって平均寿命が100歳を越えた社会だった。クローンとして生まれた3人の少年少女の寄宿学校から成人して臓器提供しながら生きて短い人生を終える姿を主人公キャシー(マリガン)と友人ルース(ナイトリー)、キャシーが想いを寄せる少年トミー(アンドリュー・ガーフィールド)で描く。


感想

好きでした!
一度通して見て、気になったシーンを繰り返して、気になった台詞のとこは音声を日本語にしてみたり、英語字幕も出して。こういうことができるって購入した甲斐があったというもの^^(レンタルや配信でもできるかもね・・・)

3人の主人公達は、隔離された寄宿学校で育っているので、余計な世間の情報のない純粋培養の子達。しかしそんな所にもルースみたいな意地悪な子はいるというのがおもしろい。キャシーは誰でも感情移入しやすい、大人の言うことを素直に聞く情緒の安定した子。トミーは感受性が豊かで不器用なところがあり他の男の子からからかわれてしまう子。この3人のキャラクター達に胸キュン・・・・・!

そして純粋培養の子達にも思春期は訪れて、三角関係ができてしまうのです。彼らの世界には本当の家族もいないので、お互いが家族のような密接な関係の中、ある意味いい教育を受けている子達なので人間関係に互いの尊厳みたいな距離があるのが心地よかった。

ふたりの少女の間にいるナイーブな少年トミー、大人になったらえらいかっこいい?!と思って調べたら、この映画のあとスパイダーマンになってたのですね。だがしかし、この映画のような、かっこよくない役をやってこそイケメンは本領発揮なのだと私は信じていて、ようするにとてもかわいかったです。臓器のドナーの役だけれど、彼のような人は顔を移植してこそ人類に貢献できるのではないでしょうか。

そして少年時代の寄宿学校も、子供達のバラバラだけどグレーで統一されている制服も見応えありました。セーターひとつでも、同じようなグレーだけどみんな違うんです。毛糸も編み方も形も!グレーのカーディガンが欲しくなります。そしてそこの校長先生がシャーロット・ランプリングです!

後々、キャシーとトミーは学校の運営者のような女性の自宅を尋ねるのですが、そこに校長先生も住んでいたのを見て、この女性ふたりは何やらプライベートな関係もあるのかしら?とちょっと深読みしてしまいました。しかし英国あたりって未婚の女性ふたりが同居することってあるのでそのへんはそうとも限らないんですが。

もうひとり重要な役割をする先生がサリー・ホーキンスでした。パディントンのミセス・ブラウンの人。この方妙な存在感ありますね。

その寄宿学校を出てから3人が一時的に住んでた田舎の家も、イギリスの田舎が好きな人が萌えます。田舎ルックいいですよ!ゴム長靴にキルティングの上着に。世間とのつながりはほとんどない田舎に美男美女が隠れてるんですから、この映画の本筋やテーマなんかどうでもよくても、見て損はありません。

最大の疑問は、タイトルです。
劇中に出て来る曲のタイトルではあるのだけれど、そのシーンはとても好きなのだけれど、どうも「わたしを離さないで/Never Let Me Go」はこの話全体にしては甘すぎてピンとこないのですが、何か意味があるのでしょうか?このタイトルにピンとこなかったせいで映画を見るのが遅れましたよ・・・だって話全体はもっと恐ろしい緊張感があるのに、このタイトルでキャリー・マリガンのアップのポスターだと想像力の乏しい私にはどんな話なのかわかりません。

もっとも、恐ろしい話なのに、美しい田舎で少年少女の儚い感情が綴られていくところがこの映画の魅力ではあるのですが。

ところで、見て自分の人生に後悔したことがひとつ。
男の子って、自分の好きな女の子じゃなくても、誘われたらことわれないものなんだなあって!トミーの性格がとても誠実だからかもしれないけど、説得力あったので、これを私が10代の時に知っていたら好きな人に自分からアプローチしたのに~~~~。でもあの頃の私はルースじゃなくてキャシータイプだったから、好きな子と話はしても自分から性的なことはできなかった・・・できていたら違う人生になっていたかも。