HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

手詰まりの企画に地元もあきれ顔。

2013-12-01 20:12:06 | Weblog
 仕事が立て込んで2週間ぶりのコラムとなった。その間、地元業界ではだいぶ動きがあったようだ。3週間ほど前、福岡アジアファッション拠点推進会議から、来年3月に開催される福岡アジアコレクション(FACo)の出展ブランド発表されたとのリリースが届いた。

 例年通り、福岡ブランド部門とデザイナー部門に分けてあるが、新顔を見るとブランドにカミーシャ、フラックス、デザイナーにアルベブ、アンビバレントくらい。それも1メーカー、1デザイナーは共通するので、実質はたいして変わり映えしない顔ぶれだ。

 というか、推進会議発足当初の企画書に書かれていた「デザイナー育成」なんてもんは所詮、お題目に過ぎず、イベント主催者もそれを承知の上で、5時間以上に及ぶ「ショーの尺」を埋めるために、リリースには記載されていないNB(ナショナルブランド)を堂々と噛ませている。

 今年で言うと、ゴア、ヴィッキー、ディディカ、ディアプリンセス、サミールナスリ、レイミーなど、NBのてんこ盛りである。ことさらにプロデュースのRKB毎日放送は、自社の報道やパブ枠で「福岡発」「地元活躍のデザイナー」を強調しているが、それは行政からイベント資金を拠出させるリップサービスに過ぎない。

 現に今年のイベント翌日の早朝ニュースでも、福岡アジアコレクションの冠には「福岡発」「地元活躍のデザイナー」をつけて強調し、高島宗一郎市長も泊まりがけで見物して公務をサボタージュした「福岡アジアコレクションIN釜山」も、派遣の安部敏恵アナには同じようなニュース原稿を読ませていた。

 お笑いなのは、釜山での福岡アジアコレクションでは「福岡発、地元活躍のデザイナーの商品を」と強調しときながら、「押切もえさん、蛯原友里さんが…」と、東京から連れて行った三文タレントがショーに出演するという、何とも自己矛盾な内容。ここにもRKB毎日放送の偏向報道が見え隠れする。

 来年の3月には第2回目の「ファッションウィーク福岡」が開催される。7月はじめに代理店を集めてオリエンし、コンペで企画を集めたまではよかったが、総経費700万円で、10万部のパンフレットとWebサイト、ポスターやチラシを制作し、イベントまで仕込まなければならないというもの。オリエンの後、代理店からはラテや新雑など全くマス媒体を使えない「旨味のない仕事」との声が聞こえて来た。

 パンフレットの広告枠を百貨店やデベロッパー、一般の小売業者に販売して、制作費を捻出しなければならないリスクの高い仕事に、多くの代理店が音を上げたようである。それゆえ、ついに拠点推進会議の母体である福岡商工会議所自ら協賛社集めに奔走しているようだ。

 ただ、地元ファッション業界では、今年の状況を見ると大した集客も販促効果も期待できないのではとの声が多数を占める。手に取って見もしないゴミ屑同然のパンフレットとちんけなWebサイト、そしてインパクトのないポスター。おまけに来年は専門学校生レベルの青空マーケットがメーンイベントで、所場代まで要求されるのだ。

 先日、こうした愚策について某専門店の取締役と話す機会があったが、地元小売業としては全く評価していない様子だった。さらにもっと「福岡のファッション文化を醸成するような企画でないと参加できない」と付け加えていただいた。全く持ってそうである。

 地元ファッション業界を全くしらない三文ローカルメディアや代理店に参画を丸投げして、いい企画ができるはずがないのである。もっとも、その前に企画運営委員長が全くもってノー無しのセンスレスなのだが。地元は公金無駄遣いの批判を通り越して、もはやあきれ顔になっている。
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