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2012年がスタートしたが、初売り商戦の目玉、福袋は各店とも好調な売れ行きだったようだ。
筆者が小売りにいた頃、福袋は在庫処分とワゴン展開による客誘引の手段として利用していた。それが年々進化し、まずパッケージやネーミング(「Happy Pack」と読んでいた)に凝り、さらに肝心な商品は巻物やアクセサリーなどで素材感やトレンドデザインを重視。価格帯も3プライスを展開してバリエーションを出していった。それでも20年以上前の話しである。
そうした福袋商戦に百貨店が参入。ただ、こちらは基本的に「在庫」を持たないので、企画するとなるとわざわざ商品を仕入れなくてはならない。しかし、メーカーや問屋に対する取引条件では容赦しない。「いかにも売れ残り在庫のような商品はダメ」「カシミア入りのような付加価値が必要」「値入れ率でうちが利益をとれるように」等などを要求するのだ。
百貨店側が企画に入るのは早くても10月。しかも、売り出し期間は初売り3日間程度。できれば数量限定で初日完売というニュースにしたいという思惑もある。となると、百貨店系のメーカーや問屋にとって、それほどロットにはならないし、時季的にも新規の在庫を製造・調達するのは無理な話だ。
唯一、対応できるのはクイックレスポンスが信条の「ファストアパレル」や「キャッシュホールセール(現金問屋)」しかない。こちらはそこそこのクオリティをキープする商品を提供できるが、何せ相手は百貨店だし、その先にはお客がいる。
お客は事前の告知などを見て、「百貨店系の商品」「ハコブランド」とわからなければ、買わないだろうし、ましてリピーターにはならない。そこが在庫を主体にできるヤング系SPAの福袋とは違うところだ。
結果として、南充浩さんの「セール用・福袋用にも製品が製造されている」にもあるように、百貨店の無理難題を聞き入れるメーカーや問屋は、「安い商品を作らされ、出荷させられている。」のである。
ショッピングセンターのようにテレビや家具などの現物を事前に紹介して売り出す方法もあるだろうが、数量も限られ、売上げも利益もそれほど取れない。所詮、集客イベントの一貫でしかないのだ。
そんな中、福岡天神の3百貨店(岩田屋、福岡三越、博多大丸)が合同で計300個の福袋を販売した。企画の能書きは「3つの百貨店が相互サービスや共同企画商品を提供することで、天神の初売りのスケール感や利便性、お得感や楽しさを感じていただき、天神の魅力をさらに高めていきたい」ということだが、これは好調の博多阪急への対抗心とも言える。
それゆえ、岩田屋三越の大田垣、博多大丸の原田両社長自らが商品をセレクトし、「選び抜かれた『食品』が入るプレミア感」を打ち出した。売上げは東日本大震災の復興支援のために日本赤十字社を通じて全額を寄付するそうだから、一応ニュース性の目的も達成したと言える。ただ、博多阪急は元旦初売りで2万個の福袋も完売し、まんまと3店の出端をくじいたが。
3百貨店はともに「オリジナル福袋」も販売してはいるが、時季的にアパレルや雑貨の調達は容易ではなく、「売る方だって決して儲かっていない。販売店の従業員はヘトヘトになる。」のは学習しているはず。3店合同福袋の背景には、メーンターゲットである中高年をリピーターにするために、外れがなくヤング系にない「食品」シフトへの試み、政策転換という狙いもあると見られる。
元来、福袋は夢を売るような代物だった。百貨店の中にも子供向けに「1日店長」とか、「1日受付嬢」なんかの夢のある特典を付けたところもある。経営者がよく言う「モノからコト」の代表例だ。企画としては他にも「1日エレベーターガール」「1日アナウンス」「1日ウィンドウディスプレイ」などいろいろ考えられると思う。
もし、「1日バイヤー(1000万円仕入れ権)」なんて懸賞特典を付けたらどうだろう。メーカーや問屋が大挙して並び、初売りの光景が変わるかもしれない。ただ、公正取引委員会が出る前に百貨店の方が青くなるだろうが。
筆者が小売りにいた頃、福袋は在庫処分とワゴン展開による客誘引の手段として利用していた。それが年々進化し、まずパッケージやネーミング(「Happy Pack」と読んでいた)に凝り、さらに肝心な商品は巻物やアクセサリーなどで素材感やトレンドデザインを重視。価格帯も3プライスを展開してバリエーションを出していった。それでも20年以上前の話しである。
そうした福袋商戦に百貨店が参入。ただ、こちらは基本的に「在庫」を持たないので、企画するとなるとわざわざ商品を仕入れなくてはならない。しかし、メーカーや問屋に対する取引条件では容赦しない。「いかにも売れ残り在庫のような商品はダメ」「カシミア入りのような付加価値が必要」「値入れ率でうちが利益をとれるように」等などを要求するのだ。
百貨店側が企画に入るのは早くても10月。しかも、売り出し期間は初売り3日間程度。できれば数量限定で初日完売というニュースにしたいという思惑もある。となると、百貨店系のメーカーや問屋にとって、それほどロットにはならないし、時季的にも新規の在庫を製造・調達するのは無理な話だ。
唯一、対応できるのはクイックレスポンスが信条の「ファストアパレル」や「キャッシュホールセール(現金問屋)」しかない。こちらはそこそこのクオリティをキープする商品を提供できるが、何せ相手は百貨店だし、その先にはお客がいる。
お客は事前の告知などを見て、「百貨店系の商品」「ハコブランド」とわからなければ、買わないだろうし、ましてリピーターにはならない。そこが在庫を主体にできるヤング系SPAの福袋とは違うところだ。
結果として、南充浩さんの「セール用・福袋用にも製品が製造されている」にもあるように、百貨店の無理難題を聞き入れるメーカーや問屋は、「安い商品を作らされ、出荷させられている。」のである。
ショッピングセンターのようにテレビや家具などの現物を事前に紹介して売り出す方法もあるだろうが、数量も限られ、売上げも利益もそれほど取れない。所詮、集客イベントの一貫でしかないのだ。
そんな中、福岡天神の3百貨店(岩田屋、福岡三越、博多大丸)が合同で計300個の福袋を販売した。企画の能書きは「3つの百貨店が相互サービスや共同企画商品を提供することで、天神の初売りのスケール感や利便性、お得感や楽しさを感じていただき、天神の魅力をさらに高めていきたい」ということだが、これは好調の博多阪急への対抗心とも言える。
それゆえ、岩田屋三越の大田垣、博多大丸の原田両社長自らが商品をセレクトし、「選び抜かれた『食品』が入るプレミア感」を打ち出した。売上げは東日本大震災の復興支援のために日本赤十字社を通じて全額を寄付するそうだから、一応ニュース性の目的も達成したと言える。ただ、博多阪急は元旦初売りで2万個の福袋も完売し、まんまと3店の出端をくじいたが。
3百貨店はともに「オリジナル福袋」も販売してはいるが、時季的にアパレルや雑貨の調達は容易ではなく、「売る方だって決して儲かっていない。販売店の従業員はヘトヘトになる。」のは学習しているはず。3店合同福袋の背景には、メーンターゲットである中高年をリピーターにするために、外れがなくヤング系にない「食品」シフトへの試み、政策転換という狙いもあると見られる。
元来、福袋は夢を売るような代物だった。百貨店の中にも子供向けに「1日店長」とか、「1日受付嬢」なんかの夢のある特典を付けたところもある。経営者がよく言う「モノからコト」の代表例だ。企画としては他にも「1日エレベーターガール」「1日アナウンス」「1日ウィンドウディスプレイ」などいろいろ考えられると思う。
もし、「1日バイヤー(1000万円仕入れ権)」なんて懸賞特典を付けたらどうだろう。メーカーや問屋が大挙して並び、初売りの光景が変わるかもしれない。ただ、公正取引委員会が出る前に百貨店の方が青くなるだろうが。