HAKATA PARIS NEWYORK

いまのファッションを斬りまくる辛口コラム

借金してコレクション。

2008-04-03 17:06:26 | Weblog
 前回は東コレのデザイナーの課題を書いた。でも、裏事情を見るともっと深刻だ。特にコレクション費用の問題がある。外国人モデルの起用と派手な演出に隠れてしまっているが、コレクションを開催するには莫大な資金がいる。会場費、モデルやヘアメイクとDJ、音響&照明スタッフのギャラ、DMやパンフの制作費、そしてメディアへのノベルティ費用。少なく見積もっても2000万円~3000万円はかかるだろう。
 若手デザイナーはこうした費用をどうして捻出しているのか。答えは借金だ。コレクションの費用は経費だから、通常は自分のブランドを売って得た利益の中から出さなければならない。つまり、春夏コレクションを開催するには、前回の秋冬コレクションが終わった後、実際に服になったブランドを売った「儲け」から捻出することになるというわけだ。
 では、実際にどれだけの若手デザイナーが自分のブランドを販売できているのか。セレクトショップに卸すことはできても、直営店をもって販売しているものはほとんどいない。店を出すにはコレクション以上にお金がかかるからだ。2000万円ほどの経費を自分のブランドを半年間売った儲けで賄うのは、正直言って無理な話だ。
 一例をあげよう。東コレのブランドに男&女デザイナーのコラボによるものがある。このブランドは誕生時からもう一人のスタッフが参画している。この人の親は某大手芸能プロダクションの幹部で、ここから数億円の資金がブランド運営につぎ込まれているという。当然、この中にはコレクションの経費も含まれているのだ。借金はしないにしても、どこからから資金を捻出しなければ、開催できないのがコレクションなのである。
 でも、これは日本に限ったことではない。パリもミラノも一部のメゾン系ブランド、また上場企業のコングロマリットを除いて、みんな「谷町」、いわゆるスポンサーがコレクションの費用を出してくれている。武器やダイヤモンドで稼ぐユダヤ人実業家、石油で儲かってしょうがないアラブの王族たちがそれだ。 
 ショーのエピローグで、ランウエイに登場するデザイナーの格好を思い出してほしい。華やかな衣装をまとったモデルの横で、喝采を浴びるデザイナーの多くがTシャツに擦れたジーンズ姿である。理由はもうおわかりだろう。…続く。
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