神山裕右著、講談社文庫刊
神山さんは佳作のようです。下記URLによれば、出版されているのは、まだ三冊のようです。1作目の「カタコンベ」はしばらく前に読み、荒削りながら魅力的な作品で、24歳の作品とは思えないしっかりした取材に基づいた作品であると感じました。
本作は著者の2作目の作品です。親の再婚で兄弟となった弟が主人公です。そして、生まれ持った性向と屈折した生い立ち故に、上手く社会と折り合いを付けられない兄弟の再生の物語です。
物語の舞台は南極で、主人公の職業はカメラマンです。地質学者である兄は南極で遭難したはずなのに、その兄からハガキが届いたことから物語が始まります。独特の語り口は作者の個性とも言うべきで、モノトーンの風景を思い浮かばせます。ほの暗い夕刻の野辺の道をとぼとぼと一人歩んで行くような、丁度、ジブリ映画「ゲド戦記」で手嶌葵が歌う主題歌「テルーの唄」のようです。もしかして神山さんの精神世界の基調なのかもしれないと想像します。
この物語の救いは、悪事に手を染める人にも、それなりの主張がある事です。出版時、25歳と思われる作者の人間観が、これから更に深まり、新しい作品につながる事が楽しみです。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/神山裕右
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評価は4です。
神山さんは佳作のようです。下記URLによれば、出版されているのは、まだ三冊のようです。1作目の「カタコンベ」はしばらく前に読み、荒削りながら魅力的な作品で、24歳の作品とは思えないしっかりした取材に基づいた作品であると感じました。
本作は著者の2作目の作品です。親の再婚で兄弟となった弟が主人公です。そして、生まれ持った性向と屈折した生い立ち故に、上手く社会と折り合いを付けられない兄弟の再生の物語です。
物語の舞台は南極で、主人公の職業はカメラマンです。地質学者である兄は南極で遭難したはずなのに、その兄からハガキが届いたことから物語が始まります。独特の語り口は作者の個性とも言うべきで、モノトーンの風景を思い浮かばせます。ほの暗い夕刻の野辺の道をとぼとぼと一人歩んで行くような、丁度、ジブリ映画「ゲド戦記」で手嶌葵が歌う主題歌「テルーの唄」のようです。もしかして神山さんの精神世界の基調なのかもしれないと想像します。
この物語の救いは、悪事に手を染める人にも、それなりの主張がある事です。出版時、25歳と思われる作者の人間観が、これから更に深まり、新しい作品につながる事が楽しみです。
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URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/神山裕右
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評価は4です。
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