ドミニク・パケ著、「知の再発見」双書82
古代から近代に亘る美女の諸相について語っています。「美女」のあり方は、個人の価値観や好みにより異なりますが、最も大きい要素は、時代の雰囲気と価値観のようです。たとえば、中世ヨーロッパでは、キリスト教の思想により、女性の美しさは、信仰への帰依の程度によるとされていたり、後の一時期、ふくよかな肉体が美女の条件であったが、それ以外の西欧史では、痩身の女性が美女として評価されているようです。
そして何よりも、現代が過去と大きく異なるのは、女性がより自由になったことで、これにより、多くの制約が取り除かれている。たとえば、服装も自由、誰かのためにではなく、自分自身のためにおしゃれをする、などです。
特に、本書では、美容のための凄まじいまでの努力の歴史を紹介していますが、いずれの時代にも、女性は、「美」を手にするために、多くの努力と労力を費やしてきたことは、驚く程です。そして、どの時代の「美女」も、現代の目から見て、それぞれに魅力的に見えます。したがって「美」は多様である、ということになりましょうか。
評価は3です。
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