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青山誠著、彩図社刊
数々の書物や映像に登場する戦艦大和は、日本人の心の中で独特の存在感を持っている。吉田満さんの「戦艦大和の最期」や「宇宙戦艦大和」など、媒体、分野が広く、信仰に近い存在かも知れない。そんな中でも本書のタイトルはユニークだ。大和が如何なる経緯で計画され、その建造と関連事業に要した莫大な費用の概算を、当時の国内の政治経済情勢を交え、幅広く整理している。更に、通常の維持費、作戦行動に要する燃料費、人件費、弾薬費など、端々にまで目が行き届いている。しかもなお、戦後の日本に与えた影響までも視野に入れているのには驚いた。お金の面から大和を分析するという得がたい視点を示していてユニークだ。
残念な点は、軍人恩給と遺族年金に関する記述だ。制度の存在理由を疑わせるような記述と感じた。年金額は、執筆時点の額と思われるが、下記URLによれば、「恩給年額の計算においては、退職当時の俸給を基礎とするのが基本。しかし、退職後の経済変動に対応して恩給の実質価値の維持を図るため、俸給年額を適切に増額し、これに基づいて年額を計算し直している。」とされており、普通の年金と同様、社会経済状況によって適宜改定されるものだ。受給している人達に対する十な配慮に欠けた記述と感じた。
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○恩給制度の概要 => https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/onkyu_toukatsu/onkyu.htm
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評価は4です。
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