サイモン・シン著、新潮文庫刊
著者の著作「フェルマーの最終定理」を大分前に読んで感動しました。本書はその次に執筆した作品
です。スコットランドの女王、メアリーが処刑される映画「エリザベス:ゴールデン・エイジ」を見たことがありますが、本書の冒頭では、処刑をためらうエリザベス女王が、動かぬ証拠となった暗号文の解読を巧みに取り入れて描いており、思わず引き込まれました。
更に、古くから使われた暗号化のテクニックと用い方が順番に説明されますが、そこに登場する人々の人生を織り交ぜて、暗号が果たした役割を解明してゆきます。
終盤では、今日のインターネット環境に欠かせない暗号化技術の開発経緯が述べられていますが、その説明で「公開鍵」の意味が初めて明確に理解出来ました。これ程素人に分かり易く書くのは容易ではないと思います。この解説だけでも本書を読む価値があります。最後は、量子論に基づく量子化を用いた暗号化と量子コンピュータの解説です。
本書の原作は1999年に出版されましたが、その後、多くの技術革新があり、本文庫では、その後の展開に若干触れています。また、著者が出版に合わせて10問の暗号文を懸賞付きで公開したところ2000年にはスウェーデンのチームが全問の解読に成功したそうです。著者が関わるチームがその解読を検証しているそうで、その経緯も若干述べられています。この辺りはよく理解できませんでしたし、関心も途切れましたが、本文は文句なしに面白く分かり易い。お勧めです。
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○サイモン・シン => https://ja.wikipedia.org/wiki/サイモン・シン
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評価は5です。
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