金子哲雄著、中公新書ラクレ刊
タイトルの軽さにつられて手に取りましたが、内容は、簡にして要で幅広い知識と深い見識が窺えるものでした。
第1章の「激安」の現状では、激安とされる製品を生み出す仕組みと工夫を解説し、第2章の「激安」の人物史では、戦後の著名な激安の仕掛け人、中内功氏、激安を定着させた鈴木敏文氏、激安を深化させた柳井正氏、ゲリラ的激安の生みの親、安田隆夫氏(位置付けはいずれも私が感じたもので、著者はそのようには紹介していません)を取り上げ、それぞれ方々の活躍を紹介しています。
第3章の「激安」のこれからでは、激安の本質と意義、更には負の側面を指摘しつつ、「激安」の今後を占っています。
随所に掲載されているコラムは、関連する知識の深掘り以外に著者の見解や好みを発露していて本書の魅力を増しています。また、本書は2010年に出版されており、日本がデフレスパイラルのただ中にあった時で、本書の素材に事欠かない時期であったでしょうが、役立つ知識の寄せ集めでも迎合的な内容でも無く、独自の取材と見識が生かされた良書と思います。10年経っても、本書の価値は一向に衰えていないと思います。
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○金子哲雄
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評価は5です。
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