セキュリティ集団スプラウト編、文春新書刊
現在は株式会社スプラウト(下記リンク一つ目)という会社になっているグループが、ネットの表層に現れない深みに潜んでいる闇のサイバー空間とそれを利用した犯罪行為の実態を中心に紹介しています。
私たちが普通利用してい表面上のサイバー空間は基本的に公開されており、必要であればIDとパスワードでアクセスをコントロールしています。
また、部外者が不用意にアクセスできない様に、グーグルなどのネット調査の対象にならない様にしておく方法もあります。
一方、反政府活動家がネット上で政府の追及を逃れたり、通信の遣り取りを隠すなど、秘密を保つ為に開発された、暗号化を前提とした特殊な通信手段を用いてしかアクセスできないサイバー空間を作りだし、それを「闇(ダーク)ウェブ」と呼ぶのだそうです。
ネット上で完全な匿名状態を実現できるその方法は、やがて犯罪者達が利用する所となり、今日では、様々な違法品の販売などに利用されているとのことです。
最近ではフィリピンなどで摘発された詐欺グループが、その事例でしょう。
本書は、更に様々なサイバー犯罪の実際と、取り締まる側の活動を懇切に解説しつつ、社会基盤として欠かせなくなったネットの安全性を確保することが非常に重要ながら、その体制が十分では無いと警鐘を鳴らしています。
なお、本書は2016年出版なので、6年前の状況ですが、社会のあらゆるサービスがネット上で遣り取りされる傾向が急速に強まっているので、信頼できる社会基盤としてのネット環境を作り上げ維持して行く為に、従来のハード的な社会基盤が保守点検と更新が必要なのと同様、地道で着実な取り組みが必要です。
また、個人にあっては、ネットの基礎知識や仕組みなどを理解することが必要で、不慣れな高齢者への啓発や青少年向けの学校教育の充実が必要と思います。
ある程度の知識を持っていれば、興味深く参考になる良書と思います。
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○株式会社スプラウト ○ダークウェブ
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