読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

二年後。自然と芸術、そしてレイクエム

2013年03月05日 20時03分11秒 | ■見る
茨城県立近代美術館で開催中の美術展です。3.11の震災から二年が経とうとしている今、人間の営みである芸術と自然との対峙を様々な視点から捉えようとう展覧会です。(と私は理解しました)
印象深かったのは関東大震災直後の東京の情景を描いた作品群と、横山大観の作品ん「生々流転」です。他にも木村武山の杉の戸に描かれた作品群が圧巻ですが、これは、以前にも常設展で公開されていました。
ちなみに、常設展の作品がだいぶ入れ替わっており、日本画で何点か素晴らしい作品がありました。しかし、企画展は腹六分目といった感じでしょうか。
なお、一階のアートフォーラム展示コーナーで「ユニセフ 東日本大震災報告写真展」が3/20まで公開されています。3/11当日、テレビを通して津波の映像を見た際、私は自分が見ている画像の意味が分かりませんでした。川沿いに大きな波が上流に向かって進行し、やがて堤防を乗り越え、道路を走っている車を飲み込みました。何だろう??? 想定外の映像に、他の人たちも何の反応も示しませんでした。そして、暗闇の中で燃えるコンビナートのような映像。それから半年程の報道の映像に涙が止まりませんでした。でも二年が経って、記憶が次第に風化してしまいました。
ところが、この写真展では、当時の記憶が生々しく思い起こされました。被災地の惨状を大きな写真と簡潔な文章で示しています。特に印象深かったのは、母親が埋まったままの瓦礫の上で、年配の男性が慟哭している写真。やっと見つかった妻の遺体が生きているかのように膝を立てて横になっており、そこに覆い被さるようにして、妻の泥だだらけの顔に顔を寄せて叫んでいるご主人。抽象化した悲しみではなく、生身の鋭く重い悲しみに直面しながらも、撮影した記録カメラマン。恐らく、仕事でなければシャッターは切れなかったはずです。今という瞬間を切り取って記録する使命感によってシャッターを切ったはずです。キャパなどのカメラマンの優れた写真家の意識の一端を、今日理解出来たように思います。この写真展は必見です。なお、2013.2.24(日)13:30-15:30に、近代美術館の地階講堂で、記録したカメラマンの報告講演会が動行われる予定だそうです。
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URL => http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/exhibition/kikaku/index.html
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評価は3です。

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