大薗友和著、現代教養文庫刊
私は大した賞を受けていませんが、その少ない物も全て捨ててしまった程で、勲章に何らの魅力を感じません。
もっとも、職種や能力からいって、そもそも対象外ですが、危険職に携わっていた同級生が何人か叙勲を受けたので、勲章に興味を持ち本書を手に取りました。
本書は、勲章を中心とした日本における、国家による個人表彰制度ついて述べています。
人が人を表彰する事の是非ではなく、実際に表彰される際の基準となる制度と歴史的経緯、選考基準などを記しています。
大まかな選考基準が示されているものの、具体的な選考基準は公開されておらず、叙勲を求める諸活動が様々に噂されているそうです。
また、選考対象は、戦後日本の政策などと共に変わりつつあるが、重視される対象分野が時代の実情にそぐわないとの事です。(例えば、主力産業が、重厚長大型の産業から軽薄短小の産業へ移行し終わっていても、すぐには反映されないこと)
謂わば「世間の成功者」となった人々が名誉を求め勲章を欲しがり、出来れば一つでも上位の勲章を求め、業界も挙げてその叙勲を目指すそうです。
本書は1985年に文庫本で出版され、1999年に文庫化されたそうで、本書は、文庫本であり、経年により必要となった資料加えられたとのことです。
固有名詞がやたらと多くて閉口しましたが、叙勲に至る不透明な過程を長年に亘り取材して分析した過程で、それらの固有名詞は不可欠であったのだと思います。
また、巻末の資料の充実振りにも脱帽しました。
叙勲に至る過程が明かされていない中で、積み重ねた取材を元に執筆された力作と思います。
後書きによれば、叙勲の時期になると、著者に対する各方面からの取材が引きも切らないそうですが、尤もなこととおもいます。
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○勲章 (日本) ○勲章 ○勲章・褒章制度の概要
○勲章の種類及び授与対象
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評価は4です。
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